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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2000年12月12日

シアター21『川を越え、森をぬけて』12/08-17紀伊國屋サザンシアター

 期待通りでした・・・!!とめどない優しさ。この上ない上品さ。プロフェッショナルのお芝居。
 (2009/02/25に再掲載)

 気持ちよく笑いました。ゲラゲラじゃなくて、クスクス微笑んで。のど元が熱くなり、目からぽろぽろと涙が流れました。

 舞台美術および照明はさすがでした。飾りすぎず、しかし見せるところは見せて。あくまでもストーリーと役者の背景になりつつ、なくてはならない必須条件でもあり。

 映画でもお芝居でも、素晴らしい作品を観たときは、お話が終わって暗転して最後の音楽が大きくなる時、つまりカーテンコールの前あたり、その時に涙が止まらなくなります。出会えたことに感謝するからです。

 思い出すたびに嬉しさがこみ上げてきます。必見!!

 主演の松田洋治さんのHPでチラシが観られます。すっごく素敵なチラシです。
 松田洋治(自作ホームページ) : http://happysize.com/matsuda/

《↓ネタバレあり感想》

 主役の松田洋治さんはとってもハマリ役。キュートな男性であることが必要だったと思います。姿勢が良くない時がちょっと気になるかな。とにかく人がいい!めちゃくちゃ性格の良い人だと勝手に断定!!

 赤と黒の大きなチェックのシャツにGパン姿のおじいちゃま。ターコイズ・ブルーのチョッキ、半袖でロング丈の花柄ワンピース、真っ赤な蝶ネクタイ・・・。衣装がちゃんと田舎のアメリカ人っぽくて、ダサさ加減ばっちり(笑)。

 舞台はシンプルで立体感のある抽象的な造り。その中に食べ物、家具の具体性。アンティーク・ランプが美しい。正面のカーテンの効果的な使い方。照明の繊細さ。ミラーボール自体を隠してあったのがうれしかった。

 おじいちゃまが昔話をすると、カーテンの後ろにお祭の電球がぼんやり現れます。あの独白で泣いてしまいました。イスの位置がいい!

 音楽は鳴ったことに気がつかないほど自然に溶け込んで。ラストに流れる曲では涙ぼろぼろでしたが・・・・。

 脚本(&演出)。素晴らしかったです。決して押し付けず、しかし主張はこっそりとしたためて。感情豊かに優しく、笑いもふんだんに取り入れて進めながら、最後は畳みかけるようにクールな終わり方。小気味よくドライで粋だと思いました。日本のお茶間用TVドラマにならなかったのはそこだと思います。

 書いても書いても足りません。出会えてよかった。

≪東京、大阪≫ "Over the River and Through the Woods"
出演:松田洋治 松下砂稚子 板倉加代子 魏涼子 織本順吉 小鹿番
作:ジョー・ディピエトロ 翻訳:小田島恒志/平川大作 演出:鵜山仁 美術:堀尾幸男 照明:勝柴次朗 音楽:久米大作 音響:秦大介 衣装:伊藤早苗 ヘアメイク:林裕子 演出助手:佐藤万里 舞台監督:北条孝 プロデュース:中谷友和 芸術監督:山崎正和 企画:シアター21制作実行委員会 後援:フジテレビジョン(東京公演) 関西テレビ放送(大阪公演) 制作:博報堂 R・U・P 製作:ネオテック・エンタープライズ
RUP:http://www2u.biglobe.ne.jp/~rup/kawawokoe.html
http://www.rup.co.jp/backnumber/kawawokoe.html

Posted by shinobu at 2000年12月12日 23:42 | TrackBack (0)