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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年06月27日

tpt『時間ト部屋』06/20-07/13ベニサン・ピット

 tpt(Theater Project Tokyo)は見逃さないようにしています。

 ・・・・とにかく難解でした。1幕なんて何がなんだか全くわからなかったです。だいたい俳優さんがわかって演技していません。これは残念なことですが。パンフレットがいつも500円のところ1,000円で、戯曲が全部載っていたのにも頷けました。読んでもわからなかったんだけど・・・(泣)。

 2幕ではtptらしさもだんだん出て来て、POPにスタイリッシュに知的に楽しめる内容には、かろうじてなっていました。1幕よりも随分わかりやすい脚本だからっていうことが主な原因ですけどね。

 脚本はボートー・シュトラウスさん、演出はトーマス・オリバー・ニーハウスさん。お2人ともドイツ人です。もしかすると言葉の壁とかがあったんじゃないかな~。役者さんに迷いがあるのがあらわでした。

 音響がかなり珍しい演出でしたね。ある意味、突出していました。役者が舞台上(ストーリーの中)に出てくる度にエンヤのケルト音楽のような効果音が鳴るんです。まるで2時間ドラマで犯人が出てくる時の「ジャジャジャーン!」みたいに。最初は度肝抜かれましたが、だんだんその音が鳴るのを楽しみに待つようになりました。だって出てくる人、出てくる人、エキセントリック(異常)なんだもの。とにかく予定調和ゼロ。

 舞台美術は、非常にコンセプチュアル。いろいろ削ぎ落としてミニマムにまとまっていました。ロビーから劇場へつづく廊下が徐々に黒から白くなっていって、客席内の壁を直接白に塗ってしまっていました。客席の床は白。天井に近づくにつれて部分的に黒。白と黒とのコントラストは1幕の衣裳にも反映されていました。客席が白いのって、明るくなっちゃってちょっとつらいですが、演出上、理解できる範囲でした。

 衣裳は冒険してましたね。冬物のコート、超かっこいい。昔のマサキ・マツシマとかジュンヤ・ワタナベみたい。「全く素性の知れない男」(池下重大)の靴がFILAとポルシェのダブルネームのスニーカーでした。ヘアスタイルもそれにあわせて赤のトサカで、めっちゃくちゃかっこ良かった~・・・(ため息♪)。羽の生えた靴も面白かった。あの一瞬しか見えないのがまた心憎いです。中嶋朋子さんが着替えまくりますが、白を基調とした舞台とうまくコントラストになるように、色使いが洗練されていました。

 俳優については、女優と男優の明暗を分けたステージだった気がします。難解なテキストに四苦八苦する男優と、自らの持ち物だけでも光り輝く女優。比べて見ると面白かったです。

 中嶋朋子さん。きれーー・・・。色白で小さくてスタイルGOOD。気まぐれだなー。情熱的だなー。はすに構えてるなー。女優だなー。大好きです。
 大浦みずきさん。「待ちきれない女」という役でした。キャラがすごい。度胸の据わりようが大女優ですね。かっこいい。

 手塚とおるさん。セリフがすべってました。いつものキレがなかったです。
 塩野谷正幸さん。上手いなー・・・・。『涙の谷、銀河の丘』でのダメ男役を思い出すと、それも鳥肌もの。
 池下重大さん。『BENT』の主役での素晴らしい演技が記憶に新しいですが、今回も良かったです。劇団唐組を経て桟敷童子という劇団に旗揚げから参加されているそうです。今度観に行こう。
 田中哲司さん。セリフをあれだけ不完全なまま舞台に乗せてしまうとは・・・しかもtptで・・・ショックでした。第2幕では超かっこ良かったので少しはホッとしましたが、ダメージでかし。

キャスト:ユーリウス/手塚とおる オーラフ/田中哲司 マリー・シュトイバー/中嶋朋子 時計のない男/アンスガー/塩野谷正幸 待ちきれない女/同僚の女/大浦みずき フランク・アルノルト/第一の男/深貝大輔 眠る女/女社長/宮田早苗 冬のコートを着た男/ルードルフ/第三の男/顧客/真那胡敬二 全く素性の知れない男/第二の男/グラフィックデザイナー/池下重大
作/ボート・シュトラウス 訳/広島実 台本/木内宏昌 演出/トーマス・オリバー・ニーハウス 美術/松井るみ 照明/沢田祐二 衣裳/原まさみ 音響/高橋巖 ヘア&メイキャップ/鎌田直樹 通訳/薛珠麗 舞台監督/小川亘 萬寳浩男
tpt : http://www.tpt.co.jp/

Posted by shinobu at 2003年06月27日 15:28 | TrackBack (0)