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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年07月31日

ク・ナウカ『サロメ』07/25-31日比谷公園 草地広場

 『サロメ』はアール・ヌーボー時代のフランスでオスカー・ワイルドによって書かれた戯曲です。宮城聰さん率いるク・ナウカの代表作の一つで、1991年初演。今までにいろんな外国でも上演されていますし、今年もつい最近に上演されたばかりです。ただし、構成・演出はまったく新しいものになっています。

 うーん・・・・いろんな意味で期待はずれでしたね。まず音が悪すぎる。野外公演とはいえ、あれはスピーカーが悪過ぎるんじゃないの?と思うほど。生演奏にしてほしかったな~。いつものパーカッションとか。全編とおしてノイズ音が消えることはなかったのを考えると、意図的な演出なのでしょうね。単に私の好みじゃないだけだとはいえ、不快でした。

 もしかすると、一番最後のサロメのセリフだけが生の声だったので、それを強調するために他の全ての音をスピーカーから流すことにしたのかな?そういえば、音だけではなく他の様々な演出についても、ラストシーンのために突き進んでいく感が強かった気がします。

 「ヨカナーンの首が実は大きな卵だった」という演出を見た時にも、そのシーンのためだけに、全ての登場人物が虫の格好をしていたのでは?と思いました。その卵が実は地球を表していて、蝶々のサロメがその卵に吸い付きチューチューと中身を吸い出した末にオエっと吐き出すのは、非常に面白かった。そのシーンを見たときに、それまでのムカデや化け物蜘蛛の中途半端なたわむれが全て帳消しになったぐらいです。

 あ、私の好みじゃなかったんですよ、あの虫たち。だって笑えないし集中もできないし、とにかく演出意図がうまく伝わってこなかった。でも、前回の東京デザインセンターでの『サロメ』よりは面白かったです。比べることになってさびしいけど。

 美加理さん。美しいです。間近で観られて幸せでした。ただ、真顔で蜘蛛の巣にブラブラぶら下がる白い蝶々っていうのは、うっとりもできないし笑えもしないです。最後の最後に卵型の地球を地面に放って、一人佇む姿が一番好きでした。

 日比谷公園の草地広場での野外公演。雨天決行です。たしか7/25(金)は夕方に大雨があったはず。大変だっただろうなー・・・。都会のど真ん中でこんなことやらかすってこと自体が面白いし貴重ですよね。

Ku Na'uka Theatre Company : http://www.kunauka.or.jp/

Posted by shinobu at 2003年07月31日 00:41 | TrackBack (0)