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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年08月03日

岸田國士 作・宮田慶子 演出『紙風船/蝶のやうな私の郷愁』08/02-08シアター風姿花伝

 椎名町から徒歩6分のところに、新しく「シアター風姿花伝(ふうしかでん)」という劇場がオープンしました。そのこけら落とし公演です。
 夫婦の二人芝居の2本立て。演出は2本とも宮田慶子さん。出演者も超豪華です。桟敷席や補助席を含めて115人という小さな劇場で見られるなんて、ものすごく貴重です。

松田正隆 作『蝶のやうな私の郷愁』出演:赤堀雅秋・那須佐代子

 六畳と台所だけの小さなアパートに暮らす若夫婦。
 ある大雨の夜のいつもの風景。質素な食卓。
 ことごとくすれ違いながらも、心でつながっている二人のやりとり。そして突然の停電・・・。

 ちょっぴりイライラさせられながらも微笑ましく見つめていました。緊張しましたね。あまりに小さい声だし小さい動きだし。客全員が舞台中央に吸い込まれるようでした。

 赤堀雅秋さん(THE SHAMPOO HAT)。シャンプーハットから毒を抜いた感じ。ぶっきらぼうな態度の奥底に果てしない優しさを表現されていました。渋いな~。
 那須佐代子さん。この女優さんがこの劇場のオーナー?『浮標(ブイ)』でも拝見しましたが今回のほうがソフトで良かった気がします。赤堀さんと呼吸が合っていました。


岸田國士 作/『紙風船』出演:森塚敏・東恵美子

 「結婚して1年経った夫婦の、とある日曜日」を「結婚して50年の・・・」に変えた演出でした。
 岸田さんの名作短編での大ベテランの役者さんの演技合戦が見ものでした。

 森塚敏さん。おそらくお年は80歳代?演技をされている姿を見られるだけで感動。コミカルな演技が荘厳。こんなに間近で拝見できて幸せです。
 東恵美子さん。昔ならではの「奥様」。絵に描いたような良妻賢母。籐のイスに腰掛けて着物であみもの。あぁ理想の大和マダム像でした。

 2つとも、こういう小さい劇場ならではの演目でした。ありがたいことです。ただ、残念なことにこの劇場へはもうしばらくは来ないんじゃないかなーと思いました。次回や次々回公演のチラシにあまり魅力を感じないからです。大変かとは思いますが、劇場側が演目を選ぶスタイ
ルをぜひ実現してもらいたいですね。

シアター風姿花伝HP : http://www.fuusikaden.com/

Posted by shinobu at 2003年08月03日 20:01