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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年12月13日

プッチーニ作曲『トスカ』11/9-16新国立劇場オペラ劇場

 『トスカ』はプッチーニがどうしても作曲したくて、ねばり勝ちで手に入れた作品だそうです。

 こんなに情熱的で残酷なお話だとは知りませんでした。今も昔も変わらず、人間の心は熱いと思います。
 私がオペラを観るたびに必ず涙してしまうのは、その素直さからです。特に恋慕う気持ちが素直に歌い上げられると、それだけで感謝の気持ちが湧いてきます。ここは現代の舞台作品とはちょっと違うところですよね。新しいタイプのお芝居を観ている時などは、屈折すればするほど面白くてゾクゾクしたりします。それはそれで感涙もの。

 トスカがスカルピオ(悪徳総統)をナイフで刺し殺し、逃げようとするけれど、スカルピオの死体がストールの上に乗っかってしまって、なかなかストールを引っ張り出せない、という演出は非常に効果的でした。そこで逃げられないまま幕が下りるのも素敵です。

 牢屋から処刑台へと移る演出は新国立のオペラ劇場の装置だからこそ出来る仕組みだとか。演劇で見慣れているので特に気にならなかったのですが、舞台が互い違いに上下するというのはオペラでは珍しいのかも。かっこ良かったです。

 名曲「歌に生き、恋に生き」をやっと生で聴くことができました。あー・・・感涙。これを聴くために観客は待ってたという感じですね。『トスカ』ではソプラノのアリアがこの曲しかないそうです。

 マリア・カラスの一番の当たり役が『トスカ』だとか。

新国立劇場HP : http://www.nntt.jac.go.jp/

Posted by shinobu at 2003年12月13日 14:22