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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年12月13日

流山児★事務所『ハイ・ライフ』12/2-10下北沢ザ・スズナリ

作:リー・マクドゥーガル 訳:吉原豊司
台本・演出:流山児祥 音楽:トムソン・ハイウエイ

 モルヒネ中毒の男たちの4人芝居。
 熱い男たちでした。ものすごい汗とテンション。いい年したいい男達が汗だくで繰り広げる渋いお芝居でした。 

 疲れましたねー・・・。観ている方も大変です。あんなに走って暴れて、殴り合うんだもの。私はそもそもジャンキーの話って好きじゃないんです。恐いし、つらいことが多いから。だから素材として扱っているんだと理解して、他の見所を探すことにしています。

 開場時間に映画「荒馬と女」の映像がずっと流れていました。マリリン・モンローのあまりの美しさにすっかり心を奪われて夢見ごこちになっていると、いきなり映像が消えて、乱暴で騒々しくて殺伐としたお芝居が始まりました。最初はその激しさに身を少々引いていたのですが、慣れてくると腕の良い俳優さんたちのユーモラスな側面に惹かれて楽しくなってきました。そのユーモアは、登場人物はもちろん、私たちのささくれだった心を包み込んでくれました。その暖かさが胸に痛いです。こういうワルのお芝居の、流山児祥さんの演出はしっくり来ますよね。

 黄色い壁と白い床。大きくて古い冷蔵庫。4脚の丸イス。何もない空間に部屋、銀行、車の中などが現れました。みんな役者さんたちの迫真の演技のたまもの。
 ラストに真ん中の床を透き通って照明が当てられていたのがかっこ良かった。

 塩野谷正幸さん。キレたら何をしでかすかわからない(とりあえず殺してしまう)バグ役。『涙の谷、銀河の丘』での生き残り兵士役が強烈な印象だったのですが、今回間近で拝見してその凄さをさらに実感しました。恐いくらいの技術。
 千葉哲也さん。リーダーのディック役。ごっついワル役をやらせると右に出る人がいないですよねー。でもちょっとそういう役ばかりが続いている気がするので他のも観たいです。
 若杉宏二さん。病気もちのドニー役。見事なお間抜けさんでキュートでした。こういう役ははじめて見たなー。クールなワル役ばかりを拝見していたので、そのギャップが素敵だと思いました。
 小川輝晃さん。美形ホモのビリー役。踊る踊る。脚が上がる。ATMできどってしゃべるシーンは笑えました。他の3人に比べるとやっぱりちょっと浅めかなー。

 千葉さんのファンでらっしゃる演劇依存症さんは、何度もご覧になってるのかしら・・・?

流山児★事務所 : http://www.ryuzanji.com/

Posted by shinobu at 2003年12月13日 14:24