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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年01月31日

ONEOR8『最後の恐竜』01/28-2/4下北沢駅前劇場

 ONEOR8(ワンオアエイト)は田村孝裕さんが作・演出をする劇団です。いろんな雑誌にも取り上げられていますね。「静かな演劇」と言われるジャンルに入るのではないでしょう 
 参考:「「静かな劇」をめぐって」扇田昭彦
     「現在の演劇状況」中西理(演劇コラムニスト)

 舞台は雪山の中のベースキャンプ。雪男(イエティ)を捜索するために雪山生活をしている男6人、女3人の登山家チームと、それを取材する記者1人。コツコツ地道な捜索にも関わらず雪男は全然見つからない。

 舞台美術に味があって良かったです。チームのみんなが食事をしたりするテントはとてもリアルで生活臭が漂っていました。その前(舞台のツラ)が雪の地面なんですよ、ふわーっとパウダースノー。素敵です。テントが斜めに配置されているから広がりがあります。

 作品全体の雰囲気は、ちょっとソフトにした青年団、という感じかな。青年団よりも笑いが多めです。私は笑えなかったんですが、客席はけっこう受けていたと思います。

 ポップな民族音楽系の曲が何度もかかりました。おそらく音楽はあの1曲だけですね。オープニングの登場人物紹介のBGMとして大音量でかかったのが楽しかったのですが、だんだんとあざとらしさが鼻についてきて残念でした。曲の狙いとしてはペンギンプルパイルズ『不満足な旅』(2002年01/16-20下北沢OFF OFFシアター)に似ているように思いました。

 期待を胸いっぱいにして雪男探索に行ったのに、残念ながら何の形跡も見つからず、ベースキャンプに帰ってからみんなで雪合戦をするシーンが良かったです。祭りのパワーはすごい。あそこで終わるのかなーと思ったら、またしっかり暗転してエピローグのようなラストシーンがありました。雪男にしても女の子達の人間関係にしても、きれいに丸く治めてしまって、顛末としてはちょっと安直だったんじゃないかなーと思います。

 昔(1、2年前)に比べるとずいぶんお話がわかりやすくなったそうです。一度見ただけではわからないような観劇玄人向けの作品だったとか。ということは今は変わられたんですね。確かにとってもわかりやすかったです。

作・演出 田村孝裕
出演:冨塚智 野本光一郎 恩田隆一 平野圭 今井千恵 和田ひろこ 冨田直美 古屋治男 正村嘉浩 モロ師岡
舞台美術:小野寺綾乃 照明:和田典夫 音響:今西工 舞台監督:村岡晋、藤林美樹 宣伝美術:美香 宣伝写真:岩田えり 制作:今井千恵 票券・受付:上田郁子

ONEOR8 : http://www17.big.or.jp/~oneor8/

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Posted by shinobu at 2004年01月31日 22:33