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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年04月15日

チャリT企画『ドウニモタマラナイ』4/14-18早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ』

 チャリT企画は早稲田大学演劇研究会のアンサンブル(内部劇団)で、chari-T(楢原拓)さんが作・演出をする劇団です。私は初見で、劇研アトリエに初めて行きました。
 今年のパルテノン多摩演劇フェスティバルにも出場します(4/23 19:00開演)。

 とある駅前の道端が舞台。自衛隊のイラク撤退を求める署名集めをしているヤマンバ女子高生、待ち合わせをしているのに一向に会えないOLらしき女2人、ギター1本で尾崎豊を歌っている音痴の若者、サークルの新歓コンパの集合を一人待ち続けている大学生、カラオケ屋の勧誘、自転車を大量に運んでくる謎のサラリーマンなど、さまざまな人々が行き交います。そこに少しずつ異変が起きて・・・。

 1時間弱で終わるコンセプチュアルな作品でした。役者さんが何度も何度も着替えて多くの人々の往来を表現していますが、全員が携帯電話を持っているのが象徴的です。何もなかった道にどんどんと放置自転車が増えていくことや、女子高生をDVDデッキだと思って操作する家族が出てきたのはすごかったです。リモコン操作をしたりDVDソフトを入れようとしたりして、最後に電源を切ると彼女がフリーズしたのも面白かったなぁ。

 他人を思いやる心のない人、自分自身のことを自覚しない人、他人との係わり合いを拒否する人、自分の目先の楽しみにしか興味のない人、ゴミを放置する人、ロボット化する人・・・現代の人間のありのままの姿を、人格のない通行人を通して描いているのにとても好感が持てました。宇宙人(?)が出てくるのには未来と夢が感じられました。幕切れはあくまでもブラックに、ということだと思います。
 時事ネタを扱うのが常のようで、イラク情勢もからんで初日と千秋楽では内容が変わっている可能性もあるそうです。そういう姿勢の劇団が大学構内で活動しているのはステキだなーと思います。

 ただ、アイデア勝負というか、批判的な考えを提示するにとどまっているので、もう一歩欲しいなと思いました。また、会場ではたくさん笑いが起きていましたが私はほぼ笑えなかったです。笑えなくてもいいと思いますしね。気持ちよく観させて頂きました。

構成・演出/chari-T
出演/吉本菜穂子・松本大卒・山本和香子・内山奈々・伊藤伸太朗・高見靖二・楢原拓・千葉淳・熊野善啓・鴫山知広・恩田和典
音楽/ヨダケンイチ 照明/伊藤孝 音響効果/佐藤春平 (Sound Cube) 小道具/清水克晋(SEEMS) 音響スタッフ/高橋秀雄・上野雅(SoundCube) 宣伝美術/BLOCKBUSTER スチール/金丸圭 ビデオ撮影/柴山一人(Y.P.K) 音響操作/赤津光生 照明操作/三浦英幸 スライドCG・WEB/楢原 拓 舞台装置/S二 舞台監督/甲賀 亮 制作/田中有希子
チャリT企画:http://www.chari-t.com/

Posted by shinobu at 2004年04月15日 12:19