REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2004年09月27日

らくだ工務店『かりすま』09/24-26新宿シアターモリエール

 仲良くさせていただいてる らくだ工務店は、石曽根有也さんが作・演出・出演する劇団です。今年3月に第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルに出場されました。
 石曽根さんはホームページ製作やチラシ・デザインもお仕事にされている多彩な方です。

 あまり流行っていない商店街の中の、本当に流行っていない理髪店「バーバー富士(だったと思う)」が舞台。1年前に父親を亡くして跡継ぎになった長男 (一法師豊)は、相変わらず冴えない毎日を過ごしている。そこに妹の(長峰稔枝)への見合い話が飛び込んできて、平凡な日々にちょっとした波風が立つ。
 商店街の出し物を決めるために、魚屋、酒屋、居酒屋、喫茶店の跡継ぎの若者たちがいつもどおり散髪屋の2階に集まる。商店街の悲喜こもごも。

 物語が進む途中で数分間の映像が数回挟まれました。舞台に登場する役者さんが映像でも同じ人物として登場し、衣装も髪型もぴったりそろっていますので、映像と舞台とが同時進行しているような作りでした。

 床屋の長男(一法師豊)が、恋心を寄せる花屋の女の子(瓜田尚美)にギターの弾き語りでザ・スパイダースの「なんとなく なんとなく」を歌う演技がすごく良かったです。最初はプレーンに→ちょっと気取って→そしてノリノリになっていく彼を見て、ぐんぐん引いて(冷めて)いく女の子も良かった(笑)。
 喫茶店(エンペラー?)の跡継ぎの中国人(たしか広東省出身)のワンちゃん(兼島宏典)のキャラクターが面白かったです。
 舞台にいる役者さん優しいお人柄が伝わってきて、観ている内にほんわかと嬉しくなってくるのが、らくだ工務店のカラーとして定着してきた感があります。

 いつもながらのリアルな舞台美術(福田暢秀)が嬉しいです。昔から何も変わっていない床屋さん。椅子が電動でちゃんと上に上がったのには驚きました。私も小学校低学年の頃に通っていたお店にそっくりでしたねぇ・・・懐かしい。
 “ソクラテス”と呼ばれていた女性の横顔イラストの味のあるポスターは一体どこから調達したんだろう、誰かが描いたのかしら?と思っていたら、なんと劇団員の私物だそうです。草刈正雄さんの若かりし頃のギラギラしたポスターが数枚壁に貼ってあったのですが、それも同じ方の私物だとか・・・すごいコレクションですね(笑)。

 日本語の歌にこだわった選曲が良かったです。歌詞を味わいました。ただ、曲に合わせるためにシーンを長くしているのではないかと思えるところが数箇所ありました。特にラストの、全員が床屋さんに集ってスローモーションになるシーンは長く感じましたね。

作・演出:石曽根有也
出演:一法師豊 志村健一 今村裕次郎 兼島宏典 石曽根有也 瓜田尚美 山内三知 福島悠騎 長峰稔枝(ペテカン)
舞台美術:福田暢秀 美術製作:F.A.T Studio 音響:菊池秀樹 照明:三瓶栄 宣伝美術・映像:C-FLAT 制作:音光堂・高橋邦浩 協力:ペテカン・株式会社クリオネ 企画・製作:らくだ工務店
らくだ工務店:http://www.rakuda.onkoudo.gr.jp

Posted by shinobu at 2004年09月27日 15:20 | TrackBack (0)