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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年12月16日

InnocentSphere×Afro13『QUO VADIS(クオヴァディス)』12/15-19シアターVアカサカ

 InnocentSphere(イノセント・スフィア)の西森英行さんの脚本を、Afro13(アフロ・サーティーン)の佐々木智広さんが演出し、両劇団の俳優が出演するという合同企画公演です。

演出、照明、音響、衣裳はAfro13、脚本、脚色、宣伝美術はInnocentSphereという風に分かれていたそうで(美術は?)、なるほど納得でした。チラシビジュアルがInnocentSphereっぽいので、てっきりInnocentSphereの公演を観に行く気分だったのですが、演出がAfro13ですものね、作風は完全にAfro13色でした。

 脚本は5年ほど前に書かれたものらしいので、内容はちょっと古いですね。キーワードはワーム、駆除ソフト等。あらすじはこちらです。
 ライブ感覚を持ち味にしているAfro13と、きっちりと作り上げられたフィクションの世界が売りのInnocentSphereの合同創作という時点でハードルがかなり高いんじゃないでしょうか。共通点は・・・アクションをやること?役者さんははっきりと色が分かれていました。あくまでも真面目に堅実な演技をするInnocentSphereと、体を使って若さと情熱とノリでやりきるAfro13というように。

 意図不明の前説と途中休憩があり、観客が戸惑ってしまっていました。込み入ったストーリーをわかりやすく説明する演出を心がけたのはわかりますが、方法を精査すべきですね(笑)。オープニングで「うぃーす」と言って山本卓さんのおにぎりをゲットしたのは私です。

 ここからネタバレします。

 ネットの世界を生身の人間が旅したり、ワームを撃退するワクチンソフト(?)が注射器の形だったりするのは、テレビで放映されたポケモンの「でんのうせんしポリゴン」(特殊な映像効果のために多くの人が倒れた、あのエピソード)と同じです。つまり、演出がちょい子供向けだなーと思います。
 自分たちの得意な方法で舞台表現をするのは悪いことではないのですが、果たしてそれが望まれるような効果を生むのかどうかを、もうちょっと慎重に考えた方が良いと思います。

 仲間だった若者達が10年後に敵同士となって出会ってしまうというのはヒーローものの王道で、私は大好きです。全体的にもうちょっとシンプルになれば、そのドラマも伝わりやすくなるのではないでしょうか。

 俳優の動きと照明をたくみに使った場面転換が面白かったです。
 InnocentSphereの看板男優の狩野和馬さんが、ちょっと抜けている自信のない男の子役(主役)だったのですが、とてもキュートでした。Afro13の自由な空気のおかげで自然なゆとりが出やすかったのかもしれません。
 結果として互いの劇団の良いところを吸収しあえればいいですね。

原作:西森英行(InnocentSphere) 脚色:永安大海(InnocentSphere) 演出:佐々木智広(Afro13)
出演:狩野和馬 倉方規安 坂根泰士 日高勝郎 足立由夏 四十八願智子 黒川深雪 林尚徳 三浦知之 八敷勝(以上 by InnocentSphere)中原真治 我妻誠 松崎史也 山本卓 能登まり子(以上 by Afro13) タイソン大屋(劇団☆新感線)
照明:浜崎亮(LUPO) 音響:ヨシモトシンヤ 作曲:有馬一快 衣裳:松岡絵理(チャコット株式会社) 宣伝美術:風見尚子(InnocentSphere) 宣伝写真:浜田泰介 小道具:蕪木久枝 小道具助手:信貴千春 ビデオ撮影:宇田川伸一 舞台写真:伊東和則 票券管理:萬代純子(penguin jam) 制作:大幡雅代 プロデューサー:佐竹香子 斎藤努 演出助手:長谷川智子 舞台監督:筒井昭善 協力:株式会社アティス・コミュニケーションズ チャコット株式会社 企画・製作:InnocentSphere×Afro13
InnocentSphere:http://www.innocentsphere.com/
Afro13:http://www.afro13.net/

Posted by shinobu at 2004年12月16日 13:27 | TrackBack (1)