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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年12月20日

東宝・SHINKANSEN☆RX『ROCK MUSICAL SHIROH』12/07-29帝国劇場

 劇団☆新感線が初めて作るロック・ミュージカルです。しかも会場がミュージカルの殿堂、帝国劇場。
 終わってみてまず頭に浮かんだ感想は、「え?これが新感線??」。カーテンコールにいつもかかる音楽がありますよね(曲名は知りません)、あれが流れてやっといつもの新感線気分になりました。

 江戸時代の天草四郎時貞をモチーフにした、社会派作品でした。あらすじはこちら
 豪華キャスト、エキサイティングなストーリー展開、パワフルな照明、デコラティブな衣裳&ヘアメイク等のいつもの新感線クオリティーに加えて、いい歌、いい曲、そして毅然とした主張。私にとっては新感線作品の中で『髑髏城の七人(アカドクロ)』に次ぐ感動でした。

 日本で上演されるミュージカルというと翻訳ものがほとんどなので、言葉が音楽に合っていないことが多いんですよね。私はそれがすっごく苦手なんです。この作品は、最初に中島さんの脚本があって、そこから音楽を作り、音楽に合わせて日本語の歌詞を付けているので、言葉が音楽にぴったりフィットなんですよ。だから全然つっかかることなく楽しめたました。

 セリフでのやりとりは非常に少なく、次々と途切れることなく歌い続けられた印象です。曲数はアレンジ曲含めて46曲。とりあえずずーっと歌尽くしだったため、メロディーとかは全然覚えていません(笑)。でも、いい歌ばっかりだったなー。和製ミュージカルでこんなに感激したのは音楽座ミュージカル『アイ・ラブ・坊ちゃん2000』以来かも(そんなに本数観てないんですけど)。ライブCDが出るらしいです。買っちゃうかも。

 上演時間は約3時間45分(25分間の休憩を含む)。これが会社帰りの私にはキツかった・・・。終演後の帰り道はもうフラフラで、家に着いたとたんにソファに倒れこんでしまいました。休憩時間にちゃんと腹ごしらえすべきでしたね。これから平日夜に行かれる方は、どうぞその心構えで!

 ここからネタバレします。

 舞台上にテレビのモニターが多数設置されていて、地図、文字映像、グラフィック合成映像、ライブ映像など、さまざまな種類の画像・映像が写し出されます。わかりづらい歌詞を字幕で補う役割もありましたが、もっとも主張していたのは日本の繁華街およびイラン戦争などのライブ映像でしょう。四郎とシローの戦いは、私達が暮らす現代の地球で起こっていることと同じなのです。

 クライマックスは呆然だったんですよね・・・。以前は人々が殉教するのを止めていたシローが、兵糧攻めにされて仲間を殺されると、自ら仲間に殉教をうながすようになり、彼自身もあっけなく殺されてしまいます。十字架に架けられたシローの後ろに、大砲を撃ちまくる戦車が何台も出てきたのには戦慄が走りました。
 そして、主役が2人とも死ぬってすごくない!?これが新感線??

 チラシのビジュアルと同じ絵が、舞台の上手と下手の壁と、緞帳に使われていたのも良かったです。宣伝画は山本タカトさんの作。

 アンコールでは全員で一曲(「歌おうぜ、ANTHEM!敵の大将、ガッデム!」みたいな曲)を歌ってくださいました。中川晃教さん(通称:アッキー)のソウルフルな声にシビれます。新感線(演劇)ファンがアッキーに出会い、ミュージカル・ファンが新感線の新作オリジナル・ロック・ミュージカルに出会うという、素晴らしい邂逅(かいこう)になったのではないでしょうか。

 中川晃教さん。天草のシロー役。やっぱり歌がすごい。演技が熱い。居るだけで光ってます。
 上川隆也さん。益田四郎時貞役。ストレートな二枚目ができる方ですよね。殺陣もかっこよかったです。歌はテクニックの意味ではあまりお上手ではありませんが。まっすぐ通る声が非常に気持ちよかった。
 秋本菜津子さん。まったく・・・何でも出来るスーパー女優さんだなーっ。かっこ良いい。
 大塚ちひろさん。最初は誰だかわかりませんでしたが、ものすごく声がきれいなので、出てくる度に期待が膨らみました。

 ※なんと、席が余っているんです。やっぱり年の瀬の平日18:30開演は難しいから?チケット入手方法についてはメルマガ号外をご覧ください。座席によってはテレビ画面が見えづらいかもしれません。

 @niftyシアターフォーラムより
 『SHIROH』稽古場風景 1
 『SHIROH』稽古場風景 2
 『SHIROH』稽古場風景 3
 開幕! ロックミュージカル『SHIROH』舞台稽古&会見

《東京公演後→大阪》
作:中島かずき 演出:いのうえひでのり 音楽:岡崎司
出演(メイン):シロー :中川晃教 益田四郎時貞【ますだしろうときさだ】:上川隆也 山田寿庵【やまだじゅあん】:高橋由美子 レシーナお福【ふく】:杏子 リオ:大塚ちひろ お紅【こう】:高田聖子 柳生十兵衛【やぎゅうじゅうべえ】 :橋本じゅん 益田甚兵衛【ますだじんべえ】 :植本潤 三宅蔵人【みやけくらんど】:粟根まこと 板倉重昌【いたくらしげまさ】:吉野圭吾 ゼンザ:泉見洋平 津屋崎主水【つやざきもんど】 池田成志 お蜜【みつ】 秋山菜津子 松平伊豆守信綱【まつだいらいずのかみのぶつな】 江守徹 松倉勝家【まつくらかついえ】 右近健一 渡辺小左衛門【わたなべこざえもん】 河野まさと マツ ・・・・・・ 山本カナコ
出演(サブ):中谷さとみ 保坂エマ 川原正嗣 前田悟 安部誠司 蝦名孝一 奥山寛 小暮清貴 五大輝一 杉崎政宏 須田英幸 田澤啓明 中山昇 林洋平 横田裕市 飯野めぐみ 飯田容子 関根えりか 高谷あゆみ 拓麻早希 玉置千砂子 坪井美奈子 豊福美幸 林久美子 ももさわゆうこ 岡崎 司 (guiter) ルーク篁 (guiter) 松崎雄一 (keyboard) 石黒彰 (keyboard) 岡部亘 (drums) 前田JIMMY久史 (bass)
作詞:デーモン小暮閣下 山野英明 いのうえひでのり 振付・ステ―ジング:川﨑悦子 美術:堀尾幸男 照明:原田保 音響:井上哲司 山本能久 音効:大木裕介 殺陣指導:田尻茂一・川原正嗣・前田悟 (アクションクラブ) アクション監督:川原正嗣(アクションクラブ) 歌唱指導:矢部玲司 衣裳:竹田団吾 ヘアメイク:高橋功亘 小道具:高橋岳蔵 特効:南義明(ギミック) 音楽助手:右近健一 宇賀村直佳 演出助手:小池宏史 舞台監督:芳谷研 宣伝美術:河野真一 宣伝オブジェ:中田彰輝 宣伝画:山本タカト 宣伝写真:渞忠之  宣伝ヘアメイク:渡邊昭一 制作:市村朝一(東宝芸能)細川展裕(ヴィレッヂ) 吉田訓和(東宝) 柴原智子(ヴィレッヂ)
『SHIROH』:http://www.toho.co.jp/stage/shiroh/
天草四郎:http://mypage.naver.co.jp/ouji/
劇団☆新感線:http://www.vi-shinkansen.co.jp/
空席状況:http://www.toho.co.jp/stage/shiroh/kuuseki.html

Posted by shinobu at 2004年12月20日 22:13 | TrackBack (0)