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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年08月23日

青年座スタジオ公演『化粧する君の背中が小さく見えて僕はフタコブラクダと砂漠を渡る』08/20-26青年座劇場

 長いタイトルですね~。散歩道楽の太田善也さんの作・演出です。私は初見。青年座の佐野美幸さんの企画・製作で、新劇と小劇場の境を越えた公演のようです。

 決して裕福ではない、中流よりちょっと下の家。元・霊媒師のおじいちゃんのボケが進んでいる。面倒を見ているのは姉と弟。姉は銀座のホステス。弟は定時制高校に通っていて、友人と詐欺まがいの商売(?)をしている。

 日本を舞台にした現代劇ですが、普通の良い話ではなく、特にコレとわかる盛り上がりもありません。だからといって「静かな演劇」というジャンルには決して入りません。緩急が独特の間合いで作られます。

 出てくる人出てくる人、ちょっとクセがあってわがままです。まあ人間は誰しもそうなのかもしれませんね。ストーリーをどう進ませようとしているのか、全く予想がつかない登場人物たちばかりでした。今考えるとそれってすごいことだと思います。

 間が長すぎたところが多くて、私は何度も眠たくなってしまいました。上演時間が2時間20分ぐらいあったのもちょっとつらかったです。

 太田善也さんの作品について「上手いと思うけど、好みじゃない」というレビューを読んだ事があります。私もそうかもしれません。会話の間や空気の作り方にセンスを感じますし、太田さんの物事への視点は独特だと思うのですが、どこか上から見下ろしているようで、厭世的な香りがするのです。ただ、これは好みの問題です。登場人物のキャラクターがきちんと掘下げられた脚本ですし、細かいところまで行き届いた演出で、役者さんものびのびしていました。

 エッチなネタが大人向けで非常に良かったです。私はお芝居の初めの方の、台所の小さな窓から手しか見えないラブシーンがめちゃくちゃ好きでした。あの強引さに惚れます。あと、2段ベッドの上から生足がドロリと落ち、そこに赤い照明が当てられるオープニングも味がありました。 

 松田昌樹さん(KAKUTA)。金髪の弟役。松田さんというと気が弱くて優しくてちょっとドジなおにいちゃん、というイメージの役をよく拝見していたように思うのですが、今回のあの悪っぽさは、かっこよかったですね~。あんなにダメ男なのに、きらいになれない。もちものが良いのです。
 瓜生和成さん(東京タンバリン)。元・アイドル“ダッチ”役。面白い~っ!期待を裏切らない~っ!“情けない気弱キャラのようで、実は強引・傲慢だからちょっとムカつく、いじめられっ子タイプ”を自由自在に演じてくださいました。突発的に出現する度に笑いが起きていました。

[キャスト] 名取幸政、 吉本選江、 椿真由美、 佐野美幸、 高松潤、 黒崎照、豊田茂、 布施幾子 いしいせつこ(散歩道楽)、松田昌樹(KAKUTA)、瓜生和成(東京タンバリン)
[スタッフ] 作・演出:太田善也 装置:阿部一郎 照明:上村啓子 音響:オフィス新音 舞台装置:今村智宏 宣伝美術:川本裕之 宣伝写真:相川博昭 ポートレート撮影:北川大 制作協力:長尾純子 協力:散歩道楽 KAKUTA 東京タンバリン 企画・製作:佐野美幸
Myu2佐野美幸企画公演(公演オフィシャル)HP:http://www006.upp.so-net.ne.jp/myu-myu/kesyou/
青年座スタジオ公演:http://www.seinenza.com/performance/studio/

Posted by shinobu at 00:00 | TrackBack