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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年08月25日

We Love Dance実行委員会『WE LOVE DANCE FESTIVAL』08/17-08/29パークタワーホール、全労災ホール スペースゼロ

 私はチェルフィッチュ目当てで『ユーモアinダンス 東西バトル編Aプログラム』08/23パークタワーホールに行きました。4組が出場しており、それぞれが25分間ぐらいの作品を披露します。

①ズンチャチャ『ラムネ』from 岡山
 出演:江口久美子、大高真砂子、斉藤佳子、須原由光、西本千奈美、松永亜紀子、山口佳子、山田暢子
 小学生の夏休みのイメージのコラージュ。炭酸ドリンクのラムネ、高校野球など。なんで関西の人たちはこういう手法になっちゃうんだろう・・・。自分が関西出身なのでしみじみと悲しくなります。「ほら、あなたもこう思うでしょ?」「ね、ね、こんな気持ちってわかるでしょ?」と人懐っこくヅカヅカ迫られると引きます。あと、女の子はブサイクにならないでください。

②まことクラヴ『ニッポニア・ニッポン』from 東京
 出演:江戸川卍丸、遠田誠、太田博久、斉藤栄治、長井江里奈
 全員スーツを着ていてちょっとクール&シュールでした。スーツ・フェチの私にはど真ん中です(笑)。カフェでお茶した後に男二人で請求書を取り合いするのが面白かった。ダンスだけでなく普通に劇場でコントもやられているようです。

③北村成美『ラベンダー』from 大阪
 ラベンダーの花を表現するダンスでした。ひっそりと育ってやっと咲いた可憐なラベンダーは、咲いた途端に露出狂のように自己顕示欲の塊になります(客席まで行ってデカパンツとゴージャス・ブラを披露しちゃう)。だけどそんな華やかな時期はたちまち過ぎ去り、花は衰えていくんですよね。じわじわと身震いしながら枯れていく様はかっこ良かった。
 女の子がたった一人でコレだけがんばってたら、そりゃ拍手もしたくなるよねって思いました。でもまた観たいとは思わないなぁ。あ、やっぱり関西の人だ・・・。

④チェルフィッチュ『クーラー』from 横浜
 作・演出:岡田利規 出演:山崎ルキノ 山縣太一
 チラシの作品解説が完璧なので引用します↓
 「ある男女の、際どさも切なさもない単に弛緩した20分間を描く、台詞のたくさんある、普通のお芝居みたいな、しかし見方によってはダンスに見えなくもない、そしてほんの一瞬ではあるがはっきりとしたダンスでもある、ダンス作品。」
 オフィスの冷房の効きすぎを訴えるOLと、それにサラリと受け流すサラリーマン。「設定が23度で強風なんておかしい」VS「てゆーか暑いっすよね」の延々と続くやりとり。繰り返しすぎ~っ。不毛~っ。あーイライラした。あー楽しかった。
 ダンサー(役者)さん、こんなに膨大な繰り返しのセリフと振付をよく覚えられるなぁ~と感心します。
 京都公演でもウケてたそうです。どんどんチェルフィッチュが好きになっていく私。

平成16年度文化庁国際芸術交流支援事業
主催:We Love Dance実行委員会 提携:全労済ホール/スペース・ゼロ 助成:フィンランド外務省 協力:京都造形芸術大学舞台芸術研究センター、彩都IMI大学院スクール 会場協力:パークタワーホール、オリベホール、ART COMPLEX1928 後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター、アメリカ合衆国大使館 会場:パークタワーホール、全労済ホール/スペース・ゼロ、オリベホール、日本体育大学第2体育館 京都芸術劇場春秋座、アートコンプレックス1928
《地方公演→京都》
フェスティバル公式サイト:http://www.welovedance.com
チェルフィッチュ:http://homepage2.nifty.com/chelfitsch/

Posted by shinobu at 01:31 | TrackBack

tpt『シカゴの性倒錯/カモの変奏曲』08/12-29ベニサン・ピット

 アメリカの劇作家デヴィッド・マメット作の短編の2本立てです。
 男2人 VS 女2人のセクシーで知的な現代の会話劇です。笑いもいっぱいあって、大人の最高の娯楽時間を過ごせました。だからtptは絶対に見逃せないんです。

『カモの変奏曲』
 訳:広田敦郎 演出:木内宏昌
 出演:松本きょうじ 山本亨

 シカゴの公園のベンチ。目の前には湖がある。二人の男が対してどうということもない会話を続けている。お昼から夕方までずっと二人っきりで。

 短編集のようなつくりになっており、一つの話のやりとりが終わるとチェンバロの優しい音楽が流れて、次の話の最初のセリフの文章が舞台奥の壁に映写されます。カモにまつわるさまざまな話は人間の姿を現しており、かなり聞き応えがありました。

 二人が登場してなんだか山本さんの目が泳いでいるように見えました。セリフも「間違ったのかな?」と思う瞬間がちらほら。うーん集中できなかったですねー・・・。上演中、何度かウトウトしてしまいました。
 一人芝居よりも二人芝居の方が演じるのが大変だと言われる所以が解った気がしました。観てる方も結構緊張しますね。

 コミカルなやりとりも楽しかったです。山本さんはタバコを一本だけ持っている。だけどライターがない。松本さんはライターは持っているが、タバコは切らしてしまった。最後に山本さんのタバコに松本さんが火をつけてあげようとするのだけど、油が足りなくて点火しない・・・。


 ~15分の休憩~
 あぁ、なんて豪華な客席なんだ・・・・!!千葉哲也さん、北村有起哉さん、長谷川博さん、池下重大さん等、tpt出演歴のある役者さんが勢ぞろい。目移りしながら、いつものドーナツとホットコーヒーで腹ごしらえ。


『シカゴの性倒錯』
 訳:青井陽治 演出:アリ・エデルソン
 出演:真中瞳 小山萌子 山本亨 松本きょうじ

 遊び人のバーナード(松本きょうじ)と奥手のダン(山本亨)。二人は同じ職場(おそらく図書館?)の同僚で親友。ある日、調べ物をしているデボラ(真中瞳)に声をかけ、二人は恋に落ちた。デボラは小学校女教師のジョウン(小山萌子)と同居していたが、引っ越してダンと同棲を始めるが・・・。

 『カモの・・・』とは全く違う雰囲気のオープニング。軽い!思わず吹き出しそうになりました。特に山本さんのキャラクターの変化にはヤラれちゃったな~。重々しい頑固そうな中年男から28歳の青年に早代わり!なんて可愛いんだっ!

 ダンがデボラに声をかけるシーン、つまり男から女にモーションをかける手順を見るのはめちゃくちゃウキウキします。こっそり覗き見している気分です。真中さんは清潔感があってキリっとした理性も光って本当に魅力的な女性に映りましたし、山本さんはどぎまぎした初々しい感じが出ていて、本当に上手いと思いました。2人の初めての夜のベッドでの会話が微笑ましくて胸きゅんでした。

 2人のベッドシーンは、テレビで活躍されている女優さんにとっては、いわゆる“体当たりのベッドシーン”と表現されてもおかしくない激しさでした。あんなことして、こんなことやっちゃって・・・んもうっ、私だったらR-18にしちゃうわっ(笑)。でも、ちょっと欲張りを言えば、もっと激しく大胆な方がリアルだったんじゃないかとも思いました。同じくtptの『ブルールーム』での秋本菜津子さん VS 内野聖陽さんのめくるめくラブシーンは圧巻でしたからね~。真中さんは表情がちょっと硬いし、山本さんには遠慮が見えました。まあ、恥じらいがあったことも良かったのかもしれませんけど♪

 ダンとバーナードが男2人っきりでビーチに行くシーンでは、女のおっぱいやお尻のことしかしゃべりません。なんとも潔いというか、苦笑の連続(笑)。そして、
 「見ろよ、あの尻!母親からの送金みたいだ」「うん。来ると安心する。」
というやりとりに爆笑。

 松本きょうじさん。両方の作品でのキャラクターが似てました。だから正直なところ物足りなかったです。松本さんは加藤健一事務所公演での“良い人”役もきっちり演じられる俳優さんなので、もっと色んな表情が見たかったです。
 山本亨さん。なんてステキなんでしょう・・・いつも見とれてしまいます。ただ、時々お顔に何か迷いのような物が見えた気がしました。全身全霊で役に向かっていっていないような。ちょっと疲れてらっしゃるのかな。椿組『一天地六』@花園神社が終わって間もないですものね。

 真中瞳さん。お顔がきれ~い。下着姿もきれ~い。目がぎらぎらしてるラブシーンが良~い。演技は十分にお上手なのですが、まだまだこれからももっと良くなる気配がします。青さがまぶしいです。ベージュ系に統一された洋服が美しかったです。
 小山萌子さんが完全にコミカルな役になってたのはちょっと退屈かな。それにしてもコメディエンヌとしての定着はすごい。『こんにちは、母さん』での中国人留学生の役に似てましたね。そして言葉がすごく正確に伝わってきます。難しいセリフを気持ちよいぐらい滑舌よく発音されます。BARで松本きょうじさんに口説かれる女役は、高飛車で色っぽい役として演じられても良かったのではないでしょうか。

作:デヴィッド・マメット
美術/松岡泉 照明/笠原俊幸 衣裳/原まさみ 音響/藤田赤目 舞台監督/久保勲生
出演:真中瞳 小山萌子 山本亨 松本きょうじ
tpt(シアター・プロジェクト・東京) :http://www.tpt.co.jp/

Posted by shinobu at 00:09 | TrackBack