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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年09月20日

SHINKANSEN☆PRODUCE INOUE-KABUKI『吉原御免状』09/08-10/05青山劇場

 劇団☆新感線の新作は、隆慶一郎さん原作の時代小説の舞台化です。堤真一さんと松雪泰子さんを主役に迎え、劇団☆新感線のメンバーも勢ぞろい。立見席も完売した大人気公演です。
 キャストも装置も何もかもが超豪華な作品なのですが、私は面白みを感じませんでした。別に劇団☆新感線で舞台化しなくても・・・と思いながらの約3時間でした。

 舞台写真あり↓(2005/09/29追記)
 SHINKANSEN☆PRODUCE いのうえ歌舞伎『吉原御免状』公開舞台稽古
 大胆松雪泰子…舞台「吉原御免状」でナマ脚露出!

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 ≪あらすじ≫
 赤ん坊の頃に宮本武蔵に救われ、肥後の山で剣術を学んで育った松永誠一郎(堤真一)は、師匠の遺言に従って江戸の遊郭「吉原」の創設者・庄司甚右衛門(藤村俊二)をたずねる。
 家康より与えられた“吉原御免状”を奪おうとする裏柳生(古田新太ら)の激しい攻撃に立ち向かう中、「吉原」の本当の姿が浮かびあがる。そして誠一郎の出生の秘密も明らかになり・・・
 ≪ここまで≫

 原作小説はこちら↓。あらすじ等も詳しく載っています。

吉原御免状
吉原御免状
posted with 簡単リンクくん at 2005. 9.15
隆 慶一郎著
新潮社 (1989.9)
通常2~3日以内に発送します。

 舞台が吉原ですので艶やかなおいらん・遊女尽くしです。そりゃーもーキレイですよ。美術はダイナミックな回り舞台で、立ち回りにしても場面転換にしても見事な演出でした。でも・・・面白くなかったんだな~・・・。役者さんでかっこ良かったのは堤さんだけだったし・・・・。

 私は新感線が大好きなので毎回欠かさず観たいと思っています。誰も真似できないようなダイナミックな舞台装置、豪華絢爛な衣裳、ムダなほど大音量のロック・ミュージック、それを背負っても負けないシンプル&男意気のあるストーリー。キャスト・スタッフに日本演劇界の頂点ばかりが集結しているのに、「大の大人が何やってんの!?」と目を疑いたくなるようなおバカな笑いの連発!これらの新感線にしかないもの、新感線にしか創ることができない世界に、私は10,000円ものお金を喜んで払っています。

 だけどこの『吉原御免状』では、私が期待している新感線らしさが見つけられませんでした。新感線は、正面切ってキバって男らしさを見せている所に、完全にハズれるような笑いを創ってくれるからかっこいいと私は感じています。シリアスな歴史ものとか、時代ものとか、遊女のエロスとかは他の劇団(団体)の方が得意だと思うんですよね。だから何かにつけ中途半端に見えました。

 笑いがほぼゼロっていうのはリスクが大きいですよね。『SHIROH』などとは違って新感線所属の役者さんが重要な役どころに採用されているのですから、新感線らしい笑いを入れないと荒が目立つと思います。古田新太さんがただの悪役っていうのは物足りないです。古田さんじゃなければ出来ない役ではありませんでした。高田聖子さんの出番が少なかったのも残念。

 見得を切るところで「チョーン」と拍子木の音のような効果があるのですが(いのうえ歌舞伎ではおなじみ)、役者さんがガツンと勝負してくれている時は合うのですが、自信なさげで段取りを超えられていない時は鳴ること自体に寂しさが漂います。そのためか、音楽もちょっとダサいなぁと思いました。殺陣も精彩を欠きましたね。どうしたのかな。

 2大ヒロインの一人の京野ことみさんが、おいらん役なのに着物を着こなせていなくて、セリフにも心が入っていませんでした。衣裳がものすごく重たいのでしょうし、こっぽりは歩きづらいでしょうし、大変なのはよくわかります。でもそこは女優さんなんですからもっと頑張ってもらいたいですね。

 運がいいのか悪いのか、「新感線でこんなに良い席なのは初めてだよ!!」っていうぐらい良い席だったのに(前から6列目のど真ん中)、こういう感想なのがまた悲しい。

 堤さん演じる松永誠一郎の素朴でさわやかなキャラクターが新鮮でした。ふくらはぎと太ももを堪能致しました(笑)。

 ここからネタバレします。

 庄司甚右衛門(藤村俊二)が誠一郎に言う「優しさはワルだ」というセリフに強く共感!藤村俊二さん、どうぞお体を大切にしてください。心から応援しています。

 勝山(松雪泰子)に対する残虐な私刑シーンがありましたが、松雪さんの顔はそのままでしたよね。女なのだから顔を傷つけるのは必須じゃないのかと。ちょっと興ざめ。しっかしひどい私刑でしたよね。あんなに下劣なことは新感線の舞台では観たくなかった、というのが一ファンの感想。
 ★読者の方からメールを頂戴しました。原作でも顔は傷つけていなかったそうです。失礼いたしました。(2005/09/22)

≪言及ブログ≫
 某日観劇録
 →こんなに褒めている方もいらっしゃいますので、もしかすると日が経って良くなったかもしれませんね。私が拝見したのは9/13(火)ソワレです。


出演=堤真一/松雪泰子/古田新太/京野ことみ/梶原善/橋本じゅん/高田聖子/粟根まこと/藤村俊二/逆木圭一郎/右近健一/河野まさと/村木よし子/インディ高橋/山本カナコ/礒野慎吾/吉田メタル/中谷さとみ/保坂エマ/村木仁/川原正嗣/前田悟/二木奈緒/田畑亜弥/金子さやか/鶴水ルイ/熊本梨沙/鈴木かすみ/長谷川静香/武田みゆき/中間千草/仲里安也美/嶌村織里江/横山一敏/藤家剛/武田浩二/佐治康志/矢部敬三/三住敦洋/富永研司/吉田和宏
原作=隆慶一郎 脚色=中島かずき 演出=いのうえひでのり 美術=堀尾幸男 照明=原田保 衣裳=小峰リリー 音楽=岡崎司 音響=井上哲司 音効:末谷あずさ/大木裕介 振付=川崎悦子 殺陣指導=田尻茂一/川原正嗣/前田悟 アクション監督=川原正嗣 ヘアメイク=河村陽子 小道具=高橋岳蔵 特殊効果=南義明 大道具=俳優座劇場 歌唱監督=右近健一 演出補=小島靖 演出助手=山崎総司 舞台監督=芳谷研 宣伝美術=河野真一 宣伝写真=野波浩 宣伝画=東學 宣伝衣裳=小峰リリー 宣伝ヘア=河村陽子 宣伝メイク=内田百合香 協力=日本刀専門店銀座長州屋 宣伝=ディップス・プラネット 広報・票券=脇本好美(ヴィレッヂ) 制作協力=サンライズプロモーション東京(東京公演) 制作助=川辺美代 瀬作補=小池映子(ヴィレッヂ) 協力=新潮社 企画=前田三郎(キョードー東京) 制作=柴原智子(ヴィレッヂ) エグゼクティブプロデューサー細川展裕(ヴィレッヂ) 企画・製作=劇団☆新感線・ヴィレッヂ
*劇団☆新感線が初めて小説原作の舞台化に挑戦。原作は隆慶一郎の時代小説『吉原御免状』。
S席¥10,500 A席¥8,400 Z席¥5,500 立見席¥5,000
≪東京、大阪≫
公式=http://www.vi-shinkansen.co.jp/
イープラス特集=http://eee.eplus.co.jp/s/yoshiwara/

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Posted by shinobu at 2005年09月20日 13:44 | TrackBack (1)