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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年09月30日

新国立劇場演劇『黒いチューリップ』09/27-10/09新国立劇場 小劇場

 劇団唐ゼミ★による唐十郎作品の2作品日替わり上演(『盲導犬』はA、Bの2バージョンあり)です。新国立劇場のようなきれいな劇場でっていうのが面白いですね。エントランスにちょうちんを下げたり、ロビーを装飾したり、入場する観客を役者さんが出迎えてくれたり、暖かいサービスをしてくれていました。
 でも3時間10分(休憩2回を含む)って・・・・辛すぎ。開演してから30分で帰りたくなったんですが、なんとか我慢して最後までいたら、ラスト20分ぐらいは面白かったです。アングラが苦手だからなのかな~・・・。 

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトから全て引用。(役者名)を追加。
 騒音鳴り響くパチンコ店に、売れない声帯模写芸人エコー(土岐泰章)がやってきた。彼は営業先で拾った十万円を落とし主に返すべく、そのお金を包んだ封筒を頼りにやってきたのだ。
そのうち、エコーはその店のパチンコ台の中でも一際異彩を放つ台、その台の“黒いチューリップ”に恋してしまう。すると台の裏から現れたのは、落とし主である女、ケイコ(椎野裕美子)。
 彼女にとって、落とした十万円は、タクシーの無賃乗車をはたらいて牢に入れられた姉ノブコ(禿恵)を釈放してもらうための大切な金であった。ノブコは昔刃傷沙汰で刑務所に入り、一度出所したにもかかわらず、すぐタクシーの無賃乗車で牢獄に舞い戻ってしまっていたのだ。
 ノブコはなぜ陽の光と春を恐れて自ら刑務所へと戻ってしまったのか。そして、彼女が大切に育てていたという“黒いチューリップ”とは。姉が託した一鉢に、いま黒い花弁が実を結ぶ!
 ≪ここまで≫ 

 アレクサンドル・デュマの小説『黒いチューリップ』のこともチラリとは出てきますが、あんまり関係なかったですね。パチンコの台の中に組み込まれてる、銀の玉を飲み込むチューリップと、鉢植えの花のチューリップがかけられています。

 何をやっているのか、意味がわからなかったです。ストーリーとか辻褄とかではなくて(むしろそんなことは重要ではないと思います)、「コレだ!」っていうものが、伝わってこなかった。
 全てにおいて、おとなしすぎるんじゃないかしら。めちゃくちゃ変な世界の、現実には起こりえない出来事が描かれている脚本ですから、普通に素直にやってもその世界は立ち現れないと思います。若い役者が大勢、舞台上にすし詰め状態だというだけで、吹き出す欲望とか、行き所の無い怒りとか、命の躍動感とでもいうような、何かしら自動的に湧き出てくるものがあるはずだと思うのですが、それがなかったです。なんか、みんな仲良しだったんだな~。もっと尖がってる人が見たいな~。

 ここからネタバレします。

 第一幕でパチンコ屋、二幕でタクシー会社の寮(?)、三幕では老女が集まる場所(一体何だったのかよくわからない)という風に、休憩時間にセットを入れ替えてくれています。装置は劇団メンバーによる手作りだそうで、そういう味わいは良かったです。
 よく水が出てきて役者さんはびしょ濡れになりますが、必要性が感じられませんでした。水を超える(味方につける・家来にする)パワーがなかったからだと思います。

 終盤で、黒い傘を持って黒い服で登場したノブコ(禿恵)には惹きつけられました。坂の上から登場した時、赤い照明を浴びても絵になっていました。動きも演技も面白かったです。あれぐらい一人で世界を背負ってくれないとね。

 ラストにまたパチンコ屋が現れた舞台転換は楽しかったです。ケイコとエコーがキスをして、二人の口と口が白い紐でつながって、二人が離れていくに従って紐も伸びて、そして舞台も広がっていく・・・。お芝居が始まって初めて空間に魅せられました。

THE LOFT 小空間からの提案・新国立劇場“ちっちゃ長屋”日替わり公演。「黒いチューリップ」と「盲導犬」A、Bバージョン。
出演=椎野裕美子(ケイコ・女)/禿恵(ノブコ)/新堀航(泡小路)/前田裕己(天魔)/古川望(少年)/土岐泰章(エコー)/渡辺幸作(春太)/安達俊信(菊池)/小川尊(警官)/伊東しげ乃(やよい)/田村団(グリコ)/伊吹卓光(ナルヒサ)/小林佑基/山﨑雄太/関緑/杉山雄樹/石川智美/大谷唯史/小野里美/菊池弥子/小島真樹/児玉僚助/齋藤晶允/柴崎めぐみ/住吉五月/辻沢綾香/西田梨枝子/仁科友希/堀内大助/松下浩/松田尚之/望月千廣/山本葉子
作・監修=唐十郎 演出=中野敦之 音楽=猪俣公章 照明=劇団唐ゼミ 音響・衣裳=劇団唐ゼミ 大道具・小道具=劇団唐ゼミ 美術=久保井研 舞台監督=鳥山昌克
全席指定3150円 Z席1500円
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/s275/s275.html

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Posted by shinobu at 2005年09月30日 00:00 | TrackBack (0)