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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2005年09月30日

絶対王様『猫のヒゲのしくみ~映画は感動も絶望も希望も与えてくれる~』09/15-21シアターグリーン メインホール

 絶対王様は笹木彰人さんが作・演出される劇団です。シアターグリーンのこけら落とし上演ということで、初めてメインホールに伺いました。高さがありますね~。映画上映も兼ねている企画でしたが、私は残念ながら観劇のみ。
 公演は終了していますので、ネタバレします。

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 ≪あらすじ≫
 心優しい若者の唐沢(入山宏一)がネット等で人材募集をして、「5分後が見える人」という映画を撮る現場。唐沢の友人(加治木均)がその現場のドキュメンタリー・フィルムも同時に撮っている。わがままなスタッフとキャストを引っ張っていくカリスマも度胸も無い唐沢は、良い作品を作りたいという気持ちと、チーム全体で仲良く楽しく創作をしたいとうい気持ちのギャップに悩む。
 ≪ここまで≫

 唐沢(入山宏一)が「みんなと仲良くやっていきたいのに、どうしてうまくいかないんだろう・・・」と嘆く声にはかなり共感しちゃいます。集団創作って厳しい世界ですよね。
 きっと作・演出・出演の笹木彰人さんもそういうことで悩まれるんだろうなぁと想像しました。前説で登場した時も、猫園長役で登場した時も、笹木さんの人柄の良さというか、にじみ出る優しさを感じて、私の顔は自動的ににっこりと緩んでしまうんです。どうしても憎めない、愛すべきキャラクターなんですよね、笹木さんご自身が。こけら落としだからということで劇場の素舞台をそのまま美術に採用していることにも、劇場主や観客、そして他劇団への心遣いが感じられます。あと、折り込みチラシに挟まれた文章にも感動。

 でも、絶対王様は紀伊國屋ホールやこのシアターグリーンのメインホールで公演を打つような名のある劇団です。やはりそれなりの尺度で私も観劇せざるを得ないんですよね。これがTHEATER/TOPSだったら別なんですけど。

 役者さんの個性や持ち味を生かしたキャラクターおよび配役で、全編とおしてしょぼ~い雰囲気が漂っていました。映画を作る現場も、登場する人たちも、そもそも設定がしょぼ~い感じだからです。意図的にそういう空間を作られていました。
 それが苦笑を誘って面白い部分ももちろんありましたが、私は「もっとしっかり作って欲しい」という気持ちがぬぐえませんでした。役者さんたちが実際に「仲良しである」ということが伝わってきて、それは微笑ましいことなんですが、作品としては不要だと思うのです。この作品で描かれるジレンマは、絶対王様のジレンマそのものなのかもしれません。

 出演者およびテーマ曲紹介のオープニング映像はおなじみのこととは思いますが、もっと質を高めてもらいたいですね。手作り感や劇団の持ち味をアピールしているのかもしれませんが、絶対王様ぐらいの知名度から考えると単に「未熟である」という印象が強く残ってしまいます。映像はものすごく発達しちゃってますからね。

 唐沢のお父さん(青木十三雄)が死んじゃうのにはがっかりしました。さらにラストで唐沢と女優(星遙子)のカップルも事故にあって・・・簡単に人を殺さないで欲しいんですよね。そこまで積み上げられたものがぶっつりと途切れてしまいます。まあ、詐欺で捕まったはずの猫園長(笹木彰人)も仲良く上映会に参加しちゃってたりするので、最後はストーリー重視ではないのでしょう。そうやって、どんな試練も熱狂も何もかも無かったことの様に、ブチ切れになってしまう現代・・・というのを描きたかったのかしら。納得できるオチではなかったですね。

 照明のジャイヤン(笑)役の有川マコトさんの演技が良かったです。
 売れてない漫才コンビのウッピーとチッピーがネタをやった後に「ウピチッピー」と決めポーズするのが可愛かった。

『猫のヒゲのしくみ』大改定版・シアターグリーン メインホール こけら落とし上演
『柿落とし』×『演劇の映画』×『映画の演劇』
出演=有川マコト/入山宏一/加治木均/郡司明剛/菜葉菜/笹木彰人
ゲスト出演=青木十三雄/関根信一(劇団フライングステージ)/藤井樹/ワンダラーズ(沖本達也・土井よしお)/星遙子/永井正子
作・演出=笹木彰人 舞台監督=西廣奏 照明=橋本剛(colore) 音響=高橋秀雄(SoundCube) 劇中撮影=三本木久城 香月達行(汎企画) 山口大輔(トリックスターフィルム) 演出補=寺谷久美子 菊地奈緒 CG・宣伝=檜山佐知子(S Factory) 写真=榊原泉 衣裳協力=秋葉美木子 制作=藤本美由紀(マシン) 竹内佐江惣川久代(マシン) 企画=T-artist 絶対王様 プロデューサー=浅野博貴(T-artist)
テーマ曲=シベリウス作曲『フィンランディア』
8回公演 前売り3,700円 当日4,000円(映画と芝居の共通チケットのみ販売/芝居のみ日時座席指定)前売中高生シート 1,000円(絶対王様のみ取扱い) チケット発売日 2005年7 月25日(月)
園子温監督映画作品『夢の中へ』と同時上演。
公式=http://www013.upp.so-net.ne.jp/zettai/

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Posted by shinobu at 2005年09月30日 13:02 | TrackBack (0)