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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年10月08日

東宝『ツキコの月 そして、タンゴ』10/05-30帝国劇場

 森光子さんと東山紀之さんの“ゴールデン・コンビ”を初めて拝見するべく、帝劇にお邪魔致しました。演出が栗山民也さんですし、何か私に響くものをくださるだろうと期待して。

 ぐ~、やっぱ退屈だなぁ・・・と思った途端に素早くてかっこいい転換が用意されていたり、ものすごく普通の新劇っぽい世界だなぁ・・・と思ったら突然何かを象徴するダイナミックな演出が現れたり。結局、途中で帰らずに最後まで飽きずに居られました。

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 アルゼンチンから命からがら日本への帰国を果たした日本人移民の姉(森光子)と弟(東山紀之)の悲劇。姉のツキコは女優を目指し、弟はタンゴ・ダンサーを夢見ます。
 大正、昭和の東京を舞台にしており、いわゆるアカ狩り(共産主義者への厳しい取締り)も描かれます。プロレタリアート演劇への弾圧シーンには胸が苦しくなりました。

 最近強く感じるんです。言論の自由や思想の自由ってすごく大切だって(当然のことなんですけどね)。それは憲法や法律で定められているのだから、国が守るべきだというのはもちろんなのですが、一般の人間が常にそれを気にかけていないと、無意識に自分がそれを破ってしまっていることがあるんじゃないかと不安を感じています。まずは自分自身から、日々気をつけていたいです。

 ここからネタバレします。

 森光子さん。少女役もこなしてらっしゃいまして、やはり可愛らしい方。ツキコは舞台女優になって成功してからも、脚本・演出家の河合(石田純一)と弟(東山紀之)を一途に想っているという設定でしたが、恋心のようなものが感じられませんでした。
 弟が死んだことを気づいたシーンでは、見えない弟に向かって名前を呼びながら「私のそばにいて」とにっこり笑って言い、その直後に「あーーー!」と叫び声を上げたのが凄かった。あの、不幸な時にニコっと笑うのがセクシーなんですよね、『櫻の園』の時もそこがかっこ良かったんです。

 東山紀之さん。テレビで見ていたのと同じイメージでした。背が高い。
 石田純一さん。脚本・演出家の河合役。優しくて繊細な感じだったので共産主義運動をしてそうには見えなかったですが、真面目でまっすぐな姿勢は良かったです。

 雛形あきこさんと馬渕英里何さんはいつもの感じでした。馬渕さんは恋人(東山紀之)が死んでしまったシーンの叫び声がよかった。雛形さんは神経質すぎたかな、と。もうちょっとゆとりが欲しかったですね。

 1920年生まれの森光子さんが舞台に出ているのを目撃できるだけで、私は文句は無いです。休憩30分を挟んで3時間ある芝居の主役で、しかも昼&夜の2ステージある日もあります。もー超人。
 ただ、そういう個人への尊敬などは抜きで考えると、あまりお薦めできる作品ではないですね。ラストシーンで死んでしまった弟と、残されたツキコが2人でタンゴを踊るのですが、森さんが踊れるところだけ2人一緒に踊って、他は東山さんが一人で踊ってました。しかも「上手くなったわね」って姉が弟を褒めるんです。そりゃないでしょう。いくらファンサービスといえども不自然すぎるよなぁと思いました。

出演=森光子/東山紀之/石田純一/中田喜子/雛形あきこ/馬渕英里何/野村昭子/山本學 ほか
原作=伊集院静 演出=栗山民也 脚本=堀越真 演出補=鈴木ひがし 装置=堀尾幸男 照明=勝柴次朗 音楽=福井峻・周水 効果=秦大介 衣裳=宇野善子 単語振付=フェルナンダ・ギ/ギジェルモ・メルロ アクション=渥美博 ステージング=田井中智子 製作=白杵吉春/岡本義次 主題歌=竹内まりや(作詞)/山下達郎(作曲)
S席12000円 A席7500円 B席3500円
公式=http://www.toho.co.jp/stage/tsukiko/welcome-j.html

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Posted by shinobu at 2005年10月08日 16:44 | TrackBack (0)