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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年12月28日

パルコ・プロデュース『12人の優しい日本人 The Gentle Twelve』11/27-12/30(11/27-29はプレビュー)パルコ劇場

 とうとう拝見してまいりました。オープンから1ヶ月経っているんですね。1990年初演で映画化もされている名作です。テレビ・映画のスターや、三谷幸喜作品常連の熟練舞台俳優などの超豪華キャスト。今年もっともチケット入手が困難だった公演なのは間違いありません。
 充分に面白かったんですが・・・映画でストーリーを既に知ってたのが悔しい。何も知らなかったらもっと楽しめただろうな・・・。
 ★1/28(土)19:00よりWOWOWで生中継されます。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより引用。一部漢字をひらがなに変更(問い正し⇒問いただし)。
 もし、日本にも陪審員制度があったら・・・。
 ある事件の審議のため、12人の陪審員が、無作為に選ばれた。職業も年齢も異なれば、互いに名も知らぬ、12人の一般市民。陪審員たちは、多数決で「無罪」に一致、審議は早々に終了するかに見えた。しかし陪審員のひとりが、無罪の根拠を問いただし始めて・・・。
 評決には、全員の意見の一致が必要だが、次第に有罪の可能性も浮かび上がり、審議の様相は混迷を呈していく。果たして彼等は、「真相」を究明し、全員一致の議論に辿り着けるのか。
 ≪ここまで≫

 ここから少しネタバレします。ストーリーには直接は触れません。

 2時間15分の上演中に暗転は一度もなく、音楽もエンディングだけ。役者さんは全員がずっと出ずっぱりの会話劇です。
 舞台は裁判所の中の一室。数個の弧型の机が中央に並べられ、丸い円を描いています(舞台写真はこちら)。少し薄汚れた白い漆喰の壁と天井に包まれた部屋は、広いんだけど閉じ込められているように見えるのが良かったです。吊られている照明が梁(はり)で全く見えないのが凄いですよね。

 無作為に選ばれた一般市民は、誰が何をしゃべっても少しカルチャーショックを受けるぐらい、それぞれに住む世界が全く違います。そんな人たちが12人も閉じ込められているというシチュエーションが滑稽で、それだけでも面白いです。陪審員制度って実際に施行されたらこうなるんですよね。怖いな(笑)。

 パルコ劇場で9,000円のお芝居としたら全く文句はないし、観られただけでも良かったとは思うのですが、好きかどうかというと・・・特に私の心に残る作品ではなかったですね。見かけも中身もひっくるめて全体が、きらびやかな包装紙とプレゼントボックスの中にきちんと納まってしまっているように感じました。

 ここからネタバレします。

 事件の被告は若い女性で、別れた夫を突き飛ばしてトラックに轢き殺させたという容疑がかかっています。トラックの運転手、事件の目撃者のおばちゃん、そして被告の女性の3人の証言から真相を探っていくのですが、舞台に居るのは12人の陪審員だけなのに、証言した3人の姿もリアルに現れてきました。脚本が凄いのだと思います。

 筒井道隆さんが「(被告は)どうしても悪い人には見えない」と主張し続け、堀内敬子さんが「何かがひかっかる」と言って、決して「有罪」側に折れない様子は、見た目はかなり子供っぽく映ります。でも自分の直感を信じ続けることってすごく大切ですよね。その直感を頭ごなしに否定する論理的思考は、ただただ放棄するしかありません。論理の土俵に立った瞬間に直感なんて存在できないですものね。
 彼等がかたくなに「理由はわからない。だけど無罪だと思う。」と言い続けたことは、すっごく勇気が有ると思いました。かっこ良かったな~。自分もそういう「優しい日本人」であることを、逃げとかあきらめではなく、積極的に受け入れたいです。だからといって論理的思考を全否定しちゃダメですけど(笑)。 

 温水洋一さんのイスだけ異常に小さかったのは、「それ反則だよっ!」って叫びたくなるぐらい面白かったです。腰掛ける後姿が愛らしすぎました。
 小日向文世さん。本当に歯医者だった性悪オヤジ。めちゃ渋です。松尾スズキさんがサディスティックなキャラで小日向さんを使うのがわかる気がしました。
 石田ゆり子さんは細くて美人で居るだけで幸せにさせてくれるような女性でした。でも役柄としてはもうちょっと何か欲しかったですね。
 江口洋介さんは背が高かったです。超かっこ良かったです。

"The Gentle Twelve"
≪東京、大阪≫
浅野和之/石田ゆり子/伊藤正之/江口洋介/小日向文世/鈴木砂羽/筒井道隆/生瀬勝久/温水洋一/堀内敬子/堀部圭亮/山寺宏一(五十音順)
作・演出=三谷幸喜 美術=堀尾幸男 照明=服部基 衣裳=黒須はな子 音響=井上正弘 ヘアメイク=河村陽子 舞台監督=松坂哲生 宣伝美術=高橋雅之 宣伝写真=細川晃 製作=伊東勇 プロデューサー=佐藤玄 制作=毛利美咲 企画=(株)コードリー プロデュース=(株)パルコ
一般料金 9,000円(全席指定)※プレヴュー公演11/27,28,29 8,500円(全席指定)
公式=http://www.parco-play.com/web/page/information/yasasii/

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Posted by shinobu at 2005年12月28日 00:02 | TrackBack (0)