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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年06月05日

流山児★事務所『戦場のピクニック・コンダクタ』06/03-12本多劇場

 燐光群の坂手洋二さんがご自身の作品を改訂書下ろしされて、流山児祥さんが演出。ク・ナウカの美加理さんが出演されるので気になっていました。

 幕が開いた時から、頭の中にはてなマークの連続でした。本多劇場であの殺風景な舞台装置じゃあつらいなぁと思います。もっともっと小さい劇場ならば、あの大きな木のセットも映えたんじゃないでしょうか。

 ここからネタバレします。

 お話の内容、ほとんど覚えてないです。なぜ?とか、どうして?とか、何のために??とか考えるばかりになってしまって、後はうつらうつらとなってしまって・・・ごめんなさい。上演時間は1時間45分ぐらいだったと思うのですが、最後の15分間ぐらいは面白く拝見いたしました。「ピクニック・コンダクタを探していたのだが、それは自分自身のことだった」というのに引き込まれました。あらためて戯曲を読んだらいいのかな。

 もともとの作品名は『ピクニック・コンダクタ』なので、今作品では『戦場の』が追加されていますね。戦場を想像させる衣裳、小道具、音響、演出などが沢山ありました。でも、全体から見るとアイデアどまりだった印象です。
 塩野谷正幸さんと保村大和さんがペアになって演じられていた「自分で自分が何をしだすかがわからない」二人が面白かったので、もっと活躍してくれたらなぁと思いました。

 インドネシアとのコラボレーションというのは、舞台上で楽器を演奏をされていた方がインドネシアの方だったと思うのですが、なぜわざわざインドネシアの音楽家と一緒に創作をしたのか、意図がわかりませんでした。KONTAさんのサックス(だったかしら・・・それも曖昧)は聴き応えがありましたけど、音楽が作品と合っていたとは思えなかったです。あと、水色のドレスを着て踊ってらした女性がもしかするとインドネシア人の出演者のIndah Pancaさんなのかしら。ダンスは力強くてお上手だったかと思うのですが、作品に必要だとは思えませんでした。

 美加理さんは相変わらず動きも声も美しくて、じーっと彼女ばかり見つめていました。

日本・インドネシア コラボレーション企画Vol.1
脚本:坂手洋二(1991年「ピクニック・コンダクタ」改訂書下ろし)  演出:流山児祥 
出演:若松武史 KONTA 塩野谷正幸 美加理(ク・ナウカ) 保村大和 小川輝晃 伊藤弘子 横須賀智美 木内尚 小林七緒/Indah Panca(インドネシア) 瓜生正美(特別出演)
音楽・演奏:Yennu Ariendra (インドネシア)+KONTA 演奏:Muhammad Arif Purwanto(インドネシア) 振付:北村真実 衣裳:羊屋白玉(指輪ホテル)舞台美術:水谷雄司 照明:沖野隆一 音響:島猛(ステージ・オフィス) 舞台監督:北村雅則 宣伝美術:サワダミユキ 宣伝写真:村田憲治 制作:米山恭子
前売り4,200円 当日4,500円 学生2,500円
流山児★事務所:http://www.ryuzanji.com/

Posted by shinobu at 23:47 | TrackBack

フェニーチェ歌劇場日本公演2005『真珠とり』05/18, 20オーチャードホール

 火災から完全復活したイタリアのフェニーチェ歌劇場の来日公演。主要歌手だけでなくコーラスもオーケストラも全てやってくる、いわゆる引越し公演です。世界の有名歌劇場の引越し公演がこんなにいっぱいあるのって日本だけらしいです。久しぶりに劇場前でダフ屋さんを発見。

真珠とり』はビゼー作曲のフランスオペラです。ビゼーは『カルメン』が有名ですよね。
 あらすじはこちらでどうぞ。村の頭領ズルガと漁夫ナディールが、巫女のレイラを取り合う三角関係の悲恋物語です。

 休憩が1回だけでそれほど長くないオペラでした。なのに前半は寝ちゃったんですよね・・・ごめんなさい。コーラスは素晴らしいんだけどソロがあんまり・・・でも前半の最後のソプラノ(アニーク・マッシス)のアリアは素晴らしかったです。上品でしっとり、抑制の効いた優しい歌声でした。今後の彼女の来日公演は観に行きたいかも。

 後半はストーリーも山場を向かえ、ソプラノがさらに大活躍。泣けちゃいました・・・。これだからオペラは止められないんですよね、チケットが高くても。声だけで体が震えて、頭が熱くなって、涙が出ちゃう。
 そうそう、コーラスが凄かったです(引越し公演だからこその醍醐味)。きっとコーラスとして出演している一人一人の歌い手さんが相当な実力のある方々ばかりなのでしょう。大合唱の時のあの声量には圧倒されました。ギリシア悲劇のコロスみたい。

 ストーリーは王道の悲恋ものだったんですが、最後のどんでん返しに完全にヤラれました、私。「ええ!そ、そうだったの!」って。そして頭領ズルガが孤独にたたずむラストシーンは美しかった。
 演出は全体的にちょっと地味かなと思いましたが、バレエダンサーが数人で踊るシーンが多く、そのダンスが巧かったのでそれだけでも楽しめました。

 私が座ったのは下手際の2階席だったんですが、ずずいと前方にせりだしている3階の客席の陰になって舞台のおよそ3分の1が見えませんでした。舞台中央にテンプルのような建物があるのですが、それがほとんど見えなかったんです。なのにS席なんですよ!これは・・・苦情を言いたくなります。

 Bunkamuraの公演ページは本当に充実していてありがたいです。これがアーカイブとして半永久的に残ってくれれば最高!

≪大津・東京・名古屋≫
指揮:ギヨーム・トゥルニエール 演出・装置・衣装:ピエル・ルイージ・ピッツィ
レイラ:アニーク・マッシス(ソプラノ)  ナディール:中島康晴(テノール)  ズルガ:ルカ・グラッシ(バリトン) ヌラバッド:ルイージ・デ・ドナート(バス)  ほか
主催:朝日新聞社・TBS・Bunkamura
S席43000円 A席38000円 B席33000円 C席28000円 D席22000円 E席16000円 F席9000円(税込)
フェニーチェ歌劇場日本公演2005:http://www.bunkamura.co.jp/orchard/event/fenice/
『真珠とり』:http://www.bunkamura.co.jp/orchard/event/fenice/perl.html

Posted by shinobu at 12:13 | TrackBack