REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2005年09月12日

パパ・タラフマラ『三人姉妹』07/02-03, 09/10-11スタジオSAI

 『三人姉妹』なのに「エロくてすごい!」というキャッチコピーに驚き。7月は逃したのですが、追加公演があったので行けました。これから12月にマカオでカウントダウン公演、1月は大阪、3月は福岡&仙台、そしてまた東京にも戻ってくるそうです。

 勝手に「お芝居」を期待して観に行ったら、「ダンス・パフォーマンス」でした。サイトにもチラシにもちゃんとそういう意味のことが書いてあるのにね。『三人姉妹』=「お芝居」っていう思い込み。すごいものです。

 ★人気ブログランキングに参加しています♪

 古い建物の四角い小さなスペースの中に観客が満員状態。80人ぐらいは入ってたかな。立見も5~10名。その回はポストパフォーマンストークもあったからでしょうか。でも4ステージが全席完売なんですね。

 3人の女性パフォーマーが激しく踊り、時にはマイクを通してセリフを言ったり、歌ったり。小道具を使って具体的な意味が生じる演技もします。表情も非常に豊かなのでダンス作品としてだけではなく、お芝居として観られます。

 最初は引きました・・・「エロい」と銘打っているとはいえ、いかにも女性が自ら発情している姿って見苦しいんですよ。でも(これは終演後のトークのゲストだった葛西薫さんと全く同じ感想ですが)、だんだんと引き込まれていって、踊りにも演技にも集中できるようになり、恥ずかしさや不可解さ等を乗り越えてパパ・タラフマラの『三人姉妹』の世界に入ることができるようになりました。

 チラシビジュアルにもありますように、肌を極端に露出する衣裳も身に着けます。でも、身体を包む部分が大きい衣裳の方が明らかにエロティックでした。踊り疲れた時の彼女達は情事の後のようで、意識が離れて投げ出された体がセクシー。

 ここからネタバレします。

 衣裳はぽっこりとふくらんだ牧歌的なスカートとブラウスなどの乙女チックなものから、黒ボンデージへと変化。そしてまたワンピースへと戻ります。色合いがとても良かったです。歌を歌ってらした関口満紀枝さん、ヘアスタイルが変わるだけであんなに変貌するとは。女は怖いですね。

 私が感じた『三人姉妹』の流れはこのようなものでした↓
 人形のようにあまり何も考えずに生きていた少女たちが、ある時、自分の感情のままに行動しはじめ、気持ちも身体も開放していきます。強い主張。激しいダンス。そして体力・精神の限界に達した頃から、自分というものを意識的に見つめるようになります。みっともなくて、恥ずかしくて、でも「何かをしたい」「何かが欲しい」という願望は確かに自分の中にあって、それを消すことはできない。そこに気づいた彼女たちは「(それでも)生きていかなければ」という境地に達します。
 
 ≪ポストパフォーマンストーク≫

 作品が良かっただけに非常に残念なトークでした。お話の内容がつまらなかったわけではありません。トークの進め方に問題があったためです。ゲストの葛西薫さんがとても有名なアート・ディレクターで、今回の観客はそれを目当てで集まったのだという決め付けが原因だったのではないかと思います。

 観客はチケットを購入して作品を観に来ているのであって、トークはあくまでもオマケです。オマケを渡す前に(トークを始める前に)、オマケがいるかいらないかを観客に選択させることが必要です。また、どんなに規模が小さな公演だろうが、一般にチケットを販売している時点でファンの集いではないのです。

 トークの直前に次回公演のCMが、プロジェクターで壁に大きく映し出されました。おそらく15秒だったと思いますが、テレビで流れているCMのように完成度が高く、「こりゃ観に行かなきゃかな?」と思わせる素晴らしいものでした。

出演=あらた真生(長女)/白井さち子(次女)/関口満紀枝(三女)
作・演出・振付=小池博史 音楽=松本淳一 衣裳=久保薗美鈴 オブジェ=山口百合子 照明オペレーション=渡部宏平 舞台監督=浅井香 制作=楢崎由佳 菊地理恵 橋本礼 南波冴 浅井香 中島智紗子 山本麻紗子 大久保有花 主催=パパ・タラフマラ 企画・制作=SAI Inc.
公演のトークゲスト=9/10(土)谷川俊太郎(詩人)/9/11(日)葛西薫(アート・ディレクター)
【料金】前売:2800円/当日:3000円
公式=http://www.pappa-tara.com/3sis/

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
●○●人気blogランキングに参加中!ポチっとクリックしていただけると嬉しいです。●○●
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。

メルマガを発行しております。過去ログはこちら
 毎月1日にお薦めお芝居10本をご紹介し、面白い作品に出会った時には号外も発行いたします。
 ぜひご登録ください♪
 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』(ID:0000134861)

↓↓↓メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。


登録フォーム






解除フォーム




まぐまぐ


『まぐまぐ!』から発行しています。

Posted by shinobu at 14:20 | TrackBack