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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年03月10日

PME『生殖行為によって家族は作られる 』03/09-10東京キネマ倶楽部

 PMEは、カナダはモントリオールのパフォーマンス・グループです。チェルフィッチュブログ2の引力で観に行くことにしました。原題は“Families are formed through copulation”です。う~ん、タイトルの意味は露骨ですよね(笑)。
 ポスト・パフォーマンス・トークで舞台評論家の鴻英良さんが「チェルフィッチュの作品に(が?)構造的に似ている」とおっしゃっていましたが、確かにそうだなと思いました。

 東京キネマ倶楽部(←音が鳴ります)は元キャバレーだった会館で、すっごくムードのある空間でした。あそこに行けただけでも楽しかったですね。鶯谷(うぐいすだに)はちょっと遠かったですが。
 明日(3/10)の20時の回で千秋楽です。

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 3月はこのポストメインストリーム・パフォーミング・アーツ・フェスティバル2006と平行して東京国際芸術祭2006も開催中で、海外の舞台芸術に触れられる機会がとても多いですよね。できれば全部観たい!って気持ちなんですが、スケジュール的に難しくって・・・・悔しいなぁ(涙)。

 ここから概要を書きます。読んでから観に行かれても支障はないと思います。

 さて、今作は男1人と女2人が出演するパフォーマンスでした。大枠として第1部~第5部に分かれており、さらにその中にいくつかのパフォーマンスがあります。3人ともTシャツにジーンズという感じのラフな衣装で、どちらかというと日常的な体の状態で、舞台の上に居ます。普段の現代人のようにだらんとしてたり、ゆらゆらしてたり。マイクを持って客席に向かって告白をしたり、2人もしくは3人で動いたり踊ったり、レコードをかけたり楽器を演奏したり。

 読まれるテキストの日本語訳が舞台奥の大きなスクリーンに映し出されます。これがけっこうな量で読むのがちょっと大変なんですが、刺激的で、だけど納得できる意見ばかりでとても面白かったです。何かと皮肉っぽいんだけど、説得力があるんですよね。

 役者さんの舞台での存在の仕方は、演じている自分を演じている、というような、何をするにしてもしないにしても、常に客観的な視点を保った状態でした。「役を演じる&振付どおりの動きをする、ということを客観視する演技」をしているというか(説明が下手ですみません)。私にはそのあり方がすごく心地よくて、彼らが話す言葉がものすごくスムーズに私の心に届いてきました。だから字幕も英語もスポンジのように吸収できる気がして、そのシャワーを浴びるのが気持ちよかったです。ただ、言葉がない時の動きや演奏の時はちょっと眠くなったりもしましたけどね。

 ここからネタバレします。内容は覚え書き程度です。

第1部■親はサンドバッグ、子供は暴君。
 ・ヒッチハイク。むりやり○○○ジョブさせられた友達が自殺した。
  水をスポイドで目および顔にたらして涙を表現。
 ・自分はユダヤ人。ナチスの子孫である彼女を攻め立てた。
  でも彼女の親(ナチス)も、家族のために(ユダヤ人虐殺を)やっていた。
 ・悪いのはすべて親。子のせいではない。
 ・下手で箒(ほうき)が釣り下がっている。揺れる。

第2部■家族セラピー
 ・相互確証保障。ニヒルでぶっきらぼうなセリフのやりとり。
 ・巻尺で縄跳び。

第3部■皆さん、こどもを作るのをやめましょう。"People, Stop Having Children."
 ・上手のごみ袋が揺れる。がさがさ、もぞもぞと音が鳴る。
 ・ノートブック・パソコンが語る「子供を作るべきではないロジック」。
 ・私達が世界をだいなしにしてしまわないように祈る時間が必要だ。
 ・生まれてこないのは楽勝です。

第4部と第5部についてはタイトルを忘れました。分かれ目も曖昧。

 ・親に対して20ページの手紙(親を非難する内容)を送ったら、親から詫びてきた。
 ・下手の階段の上で、親が子供の腕に風船のようなものを丁寧につける。
  「子供は飛行機で、それをうまく飛ばそうとする親」のよう(私の個人的な感想)。
  でも子供は風船(=救命胴衣)を自分でどんどんはずしてしまう。
 ・透明プラスティックのグラスを高く積み上げていく。てっぺんのグラスに液体を入れる。
  その液体に何らかの薬(?)を足すと、液体が一瞬だけ青い光を放ち、すぐに消える。
  家族の共同作業かなと思いました。一瞬だけど、えも言われぬ奇跡のような美しさがそこにある。


 客席には演劇業界人(っていうのかしら)がいっぱい。ポスト・パフォーマンス・トークの出演者が豪華なのもあるでしょうが、このフェスティバルが注目されているからかなと思いました。トークの内容はこちら。

Postmainstream Performing Arts Festival 2006
創作・出演=ゲタン・ナド/ロー・オットマン/トレイシー・ライト
【PME側スタッフ】作・演出=ジェイコブ・レン(Jacob Wren) 美術・映像=ジャン=ピエール・ゴウチエ 振付=マルタン・ベランジェ 技術監督=マシュ・シャトゥラン 舞台監督=イザベル・ボドゥリ プロデューサー=リシャール・ドゥシャーム/シルヴィ・ラションス/ジェイコブ・レン
【日本側スタッフ】舞台監督=尾崎聡 技術監督=関口裕二(バランス) 字幕・翻訳=新井知行 字幕オペレーション=桑原綾子 プロデューサー=丸岡ひろみ/小沢康夫 制作助手=塚口麻里子 主催=国際舞台芸術交流センター(PARC)
前売り3.000円 当日3.500円 ワンドリンク付き
3月9日(木)アフタートークあり。出演=ジェイコブ・ウォレン(PME演出)×岡田利規(チェルフィッチュ) モデレーター=鴻英良(舞台批評家) 通訳=内野儀(演劇批評家)
公式=http://precog-jp.net/2006/01/224331_postmainstream_performi_1.html

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Posted by shinobu at 2006年03月10日 00:45 | TrackBack (0)