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2006年04月06日

あなんじゅぱす『んぐまーま』04/06-12こまばアゴラ劇場

 「ことばをうたうバンド」あなんじゅぱすの二本立てライブ公演です。『んぐまーま』は、初の こまばアゴラ劇場支援会員限定プレミアム公演ということで、わくわくしながら初日に伺いました。もう1本の『夏の夜の音』は、あなんじゅぱすの代表作だそうです。

 上演時間は1時間弱でした。最初の20分ぐらい、私は泣きっぱなしでしたね。ハンカチ忘れて参っちゃった。ティッシュで代用しましたけど対面客席だったから恥ずかしかったな~(苦笑)。

 こまばアゴラ劇場支援会員についての詳細はこちらメルマガ3月号でも宣伝しておりましたが、この機会にぜひ会員になっちゃってください!

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 当日パンフレットによると構成・演出の平田オリザさんの提案は
 「人が言葉を話し始める瞬間の驚きと寂しさを、人が立ち上がり歩き始める瞬間の危うさと冒険心を、ひとつのかたちに」
 だったそうで・・・私、こういうのに弱いんです・・・。もーダンサーの岩下徹さんが登場した途端、涙がボロボローっ!!まさに平田さんの提案どおりの世界が立ち現れていました。
 
 谷川俊太郎さんの詩は昔からあまり好きじゃないので、特に言葉だけに感動したわけではなかったです。音楽と言葉と歌声と、そしてダンスが、目の前に在ったってことが良かったんじゃないかしら。いや、どんな舞台でも「在る」といえば当然「在る」のですが、在り方がもっと観客に近いといういか・・・あぁどう言えばいいのか・・・。
 目の前のパフォーマンスが、私のことなんだって感じちゃったんです。それは岩下さんが現れた、あの瞬間に、既に。そして岩下さんは私と同じ人間だけど、私自身ではなく“他人”であるっていうことも同時に感じていて、その嬉しさと悲しさがまた、同時に起こっていたんですよね。

 ここからネタバレします。

 ダンスを踊る岩下さんが観客とアイコンタクトを取ったり普通に会話をしたり、咳をしてる観客の背中をさすったり、一緒に踊っちゃったりするのも、そんな岩下さんを眺める演奏者の只野展也さんがふんわり自然体だったことも、私が空間に溶け込めた大きな要因だったと思います。

 そして観客が支援会員限定だったことも影響してると思いますね。ライブパフォーマンスっていうものを進んで親しもうとする人がほとんどだったのではないでしょうか。だから岩下さんに気軽に話しかけたりする人もいたし、一緒に手を振ってイスに座ったまま踊ってた人もいたし。ものすごく幸せなアゴラ劇場でした。

 ただ、音楽のライブとしては私の好みではなかったですね。ひらたよーこさんが歌を歌われている姿が生々しすぎて、あまり見ていられなかったです。声はすごく自由で、よく伸びてステキでした。

 劇場中央に丸いステージがあり、客席はそれを囲みます。ピアノとキーボードは対角線上に配置されています。
 作品の流れとしては、まずひらたよーこさんがピアノの伴奏とともに弾き語りを始めて、キーボードの只野展也さんもそれに続きます。2曲目ぐらいで、ピアノの下から這いつくばって岩下徹さんが登場。
 下記、ダンスについての私の勝手な解釈です。かなりひとりよがりです。ご了承ください。

 ・まさに生まれたばかりの赤ん坊。何でも見て、触って、確かめる。
 ・生きるってことは面白い。楽しい。笑う。
 ・そして自分と同じ形をしている何かに気づく。それは他人。驚き。恐怖。好奇心。
 ・他人との係わり合い。喜怒哀楽。人生。
 ・そして死。
 死ぬ直前に地団太を踏むようにじたばたするダンスが良かったです。少しずつ動かなくなっていく体の部位を感じ、悲しみながら、必死でもがきます。そしてばったり。
 ・また生まれる。
 ・何かを手に入れようとする。上から垂れ下がったロープをひっぱり、高みを目指す。でも手に入らない。
 ・ステージに盛られた砂山の中を探る。何か宝が眠っていないか?山を掘る度に黄色や赤の小さくてきれいな粒々が吹き出す。そしてとうとう山の奥から何かを掴んで出してきたが・・・砂ばかり。手の指から空しく零れ落ちていく。

 最後は中央で、手を天に向けて少しずつ伸ばしながら立ち上がっていきました。
 何かを得ようとして、必死で生きること。得られるかどうかは問題ではなく、生きている瞬間そのものが人間だ、ということなのかなと思いました。

『んぐまーま』原作=谷川俊太郎 構成・演出=平田オリザ 出演=即興ダンス:岩下徹/作曲・歌・ピアノ:ひらたよーこ/音楽監督・キーボード:只野展也
※こまばアゴラ劇場支援会員の方に限定公演です。
『夏の夜の音』構成・演出 平田オリザ 出演=即興ダンス:岩下徹/作曲・歌・ピアノ:ひらたよーこ/音楽監督・キーボード:只野展也/ギター:サイトウミノル/朗読:福士史麻
『夏の夜の音』2月10日(金)予約開始 予約・当日共 一般2,500円/中学生以下1,500円(日時指定・全席自由・整理番号付き)
【両作品のスタッフ】音響=緒方春英・薮久美子 照明=岩城保 舞台美術=杉山至×突貫屋 舞台監督=熊谷祐子 あなんじゅぱすロゴデザイン=吉村麻衣子 写真=田中流 記録撮影=深田晃司 宣伝美術=秋+太田裕子 制作=足立誠《(有)レトル》・一條智子
公式=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_4/anapa.html

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Posted by shinobu at 2006年04月06日 23:10 | TrackBack (0)