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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年04月19日

新国立劇場演劇『マテリアル・ママ』04/19-05/04新国立劇場 小劇場

 シリーズ「われわれは、どこへいくのか」の第2弾は岩松了さんの新作で、仲村トオルさんが新国立劇場に初登場です。岩松さんといえば不条理劇とか、日本のチェーホフなどと呼ばれたりされていますが、今作はいかに?・・・と期待して伺ったのですが、まだまだ役者さんに迷いがあるようで、満足とはいえない初日でした。
 前売り完売ですので当日券(Z席)をご利用ください。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。「都会で」を「海外で」に変更。
 その初老の女性(倉野章子)は郊外の一軒家にひとり住んでいる。彼女の一番大切な日課は“車の世話”。その車とは、今は海外で働く一人娘が置いていったものなのだ。そんな彼女のもとに足繁く通う車のセールスマン(仲村トオル)は、いつしか新車のセールスを忘れてその車の面倒をみるようになり・・・ ※サイトのあらすじと内容が異なるようですので、引用はここまでにします。
 ≪ここまで≫

 出演者は作・演出の岩松さんを含めて5人。残念ながら役者さんの戸惑いが前面に出てしまっていました。意味や意図がわからなくても楽しめる岩松さんの作品ですが、今日は未完成であることが露呈してしまっているように感じ、私は集中しづらかったです。
 意味的に不連続な言葉や意外なアクションがあふれ、素っ頓狂な演技がよく見られましたが、役者さんの個性を生かそうとしている演出(アイデア?)もありました。ただ、それが上手く舞台上に現れていなかったです。もうちょっと後の方で観に行く方がいいかもしれませんね。

 当日パンフレットの冒頭に岩松さんとチェルフィッチュ岡田利規さんとの対談が掲載されています。読み応えがありました。THE LOFT企画はパンフレットが薄いので300円です。お買い得。

 ここから少しネタバレします。読んでから観に行かれても問題ない程度に。

 舞台はこげ茶色の木造の一軒家。本来ならガレージにあるはずの車が、畳の部屋の中に置かれています。回り舞台になっており、畳の部屋の裏側は赤いソファとテーブル&イスがある居間です。2つの部屋がぐるぐる回って転換します。小さな空間なので回るスピードがすごく早く感じました。

 何度も繰り返されるメランコリックな音楽と、それに合わせて語られる独白に近いダイアローグ(対話)は、観客の方を向いてしゃべらない唐組みたいでした。途中でギャグなのかな?と思ったのですが、繰り返すことが多かったのでそうでもないのかな。

 ここからネタバレします。

 初老の女性の隣りに住んでいる中年の男(岩松了)は母親の介護をして暮らしています。女性に片思いをしているので、セールスマンの存在をあまり快く思っていません。セールスマンの妹(伊藤歩)は、女性に兄を取られたように感じ、兄を取り戻すために女性の家に訪れます。どうやら兄と妹は近親相姦の関係のよう。女性は娘と連絡を取っていると言いますが、いっこうにその娘は現れないので、もしかしたら嘘なのかもしれません。そう考えると、何が本当なのかは全然わからずじまいな作品でした。

 パンフレットで岡田さんが「岩松さんの舞台は、観たあとに話の内容を憶えてられないんです。憶えやすい形をしていない」とおっしゃっていますが、確かにそうですね。断片的なイメージや一言のセリフが、なぜか消えずに心に残っていたりしたら、それだけでいいと思います。近作は残念ながら特にコレといったものは残りませんでしたが、敢えて言うなら仲村トオルさんと伊藤歩さんのかみあわない近親相姦関係は眺めていて可笑しかったですね。あと、倉野章子さんがセクシーでした。

※追加公演チケット発売日:4月2日(日)10:00~
THE LOFT シリーズ「われわれは、どこへいくのか」(2) "MATERIAL MAMA"
出演=仲村トオル/伊藤歩/早船聡/岩松了/倉野章子
作・演出=岩松了 美術=池田ともゆき 照明=沢田祐二 音響=藤田赤目 衣裳=勝俣淳子 舞台監督=藤崎遊
20ステージ (月)休演 2/25(土)前売開始 全席指定5,250円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000100.html

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Posted by shinobu at 2006年04月19日 23:34 | TrackBack (0)