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しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年05月14日

DULL-COLORED POP『国境線上の蕎麦屋』05/11-14笹塚 Duo Stage BBs

 谷賢一さんが作・演出するDULL-COLORED POP(ダルカラード・ポップ)の第3回公演。ご縁があってこれまでの全作品を拝見しています(過去レビュー⇒)。
 学生劇団が少しずつ成長していくのを観るのは嬉しいことです。DM割引で1000円だったのもありがたかった。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 第二次世界大戦が終わり、東をソ連、西をアメリカに分割占領された日本。東西日本を分ける国境線、その真上に建つ老舗蕎麦屋「絶頂庵」では、昔ながらの二八蕎麦を出す職人気質の店主と東西日本兵が、日々小競り合いを繰り返していた…。
 実在した東西日本分割占領案をベースに、割といい加減にファンタジーを膨らませて描かれる蕎麦と戦争の物語。
 ≪ここまで≫ 

 本日夜で千秋楽ですのでネタバレします。

 韓国と北朝鮮のように真っ二つに分断された日本の、その国境線上にある蕎麦屋が舞台です。けっこうちゃんとした蕎麦屋さんが建てこまれていました。装置の構図は『ダークマスター』と似た感じ。舞台中央にどーんとカウンターがあって、店の客はカウンターに向かって、客席に背を向けて座ります。上手に店の出入り口があり、下手にはトイレ。下手奥は2階へと続く階段がある設定です。

 最後に登場人物がどんどこ死んでいくのが良かったですね~。敵同士であるはずの東西の兵士が一緒にご飯を食べるとか、機密をめちゃ簡単にバラしちゃうとか、信憑性にかけることばかり起こっていたので私は物語に入っていけていませんでした。だから、ありえないぬるま湯的世界が一寸の不信感でがらがらと崩れ去るのが痛快でした。人間が人間を殺してもいいと思った瞬間、無(む)がやってくるんですよね。私は漫画『MONSTER』でそれを学んだ気がしています。

 やっぱりギャグが面白いんですよねー。私はそんなに笑わない方なんですけど、特に前半は声を出して何度も笑わせていただきました。内輪ウケらしきものが多いのはちょっと残念ですが。

 オープニングは若者(出演者)が無邪気に浜辺で遊んでいる映像、エンディングは戦争をイメージさせるグラフィック映像が流れましたが、クオリティが低いんですよね。あれだけの長時間、スクリーンで舞台を隠すのなら、何か大きな転換があるのだろうと待ってたんですが、何もなかったですしね。必要性が感じられませんでした。

 富所浩一さん。東側の兵士・井原役(記者にネタを売るメガネ君)。動きが大胆で度胸もあるし、言葉も工夫があってはっきりしていて良かったです。前回は主役のユトリロを演じてらっしゃいましたね。
 清水那保さん。両親を殺されて蕎麦屋に逃げ込んでくる少女・愛子役。前回も印象に残りましたが、今回もやはり艶っぽい存在感があって可愛らしかったです。
 蕎麦屋の店長(実は東側の中尉)役は美形な役者さん(和知龍範)で目に嬉しかったんですが、自称ジャーナリストの脱東者(菅野貴夫)の父親にはとても見えませんでした。出演者が全員若い人ばかりですからね~。仕方ないといえば仕方ないんですが、もったいなかったです。

出演=岩藤一成/菅野貴夫/佐藤弘樹/清水那保/須崎千泰/高橋絵梨佳/滝井麻美/富所浩一/堀奈津美/和知龍範
作・演出=谷賢一 照明=松本大介 舞台美術=萩原未来 宣伝美術=谷賢一 ロンドン=新井宏美 制作=大藤多香子/横山由衣
前売り1500円、当日1800円 学生割引: 大学生以下、前売・当日ともに500円引き。
公式=http://www.dcpop.org/

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Posted by shinobu at 2006年05月14日 23:23 | TrackBack (0)