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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年05月18日

文学座+青年団『地下室』05/18-28アトリエ春風舎

 青年団の松井周さんが作・演出する文学座+青年団自主企画交流シリーズの1作。私は松井さんの作品を観るのは初めてです。
 もーーーーーーーー・・・笑いをこらえるのが大変!!いや、こらえなくて良かったんでしょうけど、あまりに誰も笑わないものだから肩をぷるぷる揺らしながら必死で我慢しちゃいました。隣りの席の方、気味悪かったでしょうね、ごめんなさい。

 ホントにも~前半は笑いっぱなしでした。だって、だって、だってーーーっ!! あ、でも笑えない人は笑えないかもしれません。ストレートなエンターテインメントでは全くありませんので。題材といい展開といい小道具といい(笑)、かなり刺激が強いので苦手な人もいらっしゃると思います。

 私の感覚で言わせていただくと、お芝居全体が壮大な、周到な、アイロニック・ギャグでした。笑いの意味でも演技の意味でも、役者さんたちは息苦しいほど自然にやりきって、見せきってくださいました。文学座と青年座との垣根も全く感じませんでした。
 上演時間は約1時間35分。平日は開演が夜8時の日もありますし、5/28(日)までやってます。大人向けです。ぜひ。ぜひぜひ(笑)。

 ≪あらすじ≫ あらすじは自動的にネタバレになります。
 特殊な“水”や健康食品・化粧品などを販売する小さな会社の店舗兼事務所。舞台はそのビルの地下。舞台中央奥にドラム缶型の“水”製造機が鎮座し、その前に会議用の大きなテーブルとパイプ椅子が数脚。壁際には棚やダンボールが積み上げられている。上手舞台奥には、外側から錠がかけられる金属製のドアがある。そのドアの向こうの部屋は若い男・森男(大竹直)の仕事場だ。
 取材に来たライター(征矢かおる)に店長(古舘寛治※「舘」は「舎」へんに「官」)が独自に開発した水の解説をしている。雨水をろ過して「有機の素」を入れるのだと。「有機の素」の製造方法は企業秘密。 
 店長がその組織のすべてを牛耳っており、強いリーダーシップを発揮している。社員たちはみなあだ名で呼び合う仲だ。ママさん(辻美奈子)、ぼうちゃん(頼経明子)、チャリさん(古屋隆太)など。全員住み込みで働いている。今は愛媛から来た研修員の安本さん(たむらみずほ)も加わっている。
 ある日、突然見知らぬ女(堀夏子)が地下まで入り込んできた。精神不安定な様相の女はいきなり言った。「ここで働かせてください!」 店員はみな戸惑って反対するが、店長の「いいでしょう。貧しい人を放って置けますか?」という一言で採用決定。いきなり同居し始める。
 ≪ここまで≫

 人間の世界における、思いつく限りのあらゆる汚いことが陳列された百貨店のような芝居でした。汚いものからきれいそうなものをつくり、それを体内摂取して排出し、また・・・という“リサイクル”の実態があぶり出されます。『マクベス』の魔女が言う「きれいはきたない きたないはきれい」って、現実世界ならまさにコレのことでしょう(笑)。
 とんでもなく不謹慎な事件がサラリと起こり、異常心理からくる変態行動が当然のことのように演じられて、静かな地下の一室に究極のグロテスクさがありました。ほとんどホラーの域だと思います。それをこんなに確信犯的に、「静かな演劇」風にきっちり作り上げるなんて・・・・おふざけが過ぎます!極めるにもほどがある!バカさ加減に乾杯!!です(笑)。
 いや、思いっきり本気で感服しているんですよ。きわどいことがこれ以上ないほどに集約されているから、強烈だし、ギャグとも取れるのですが、人間の集団性や個人と社会との関わり方など、誰もが経験したことのある普遍的な問題が織り込まれており、現代人のみっともない生態を素っ裸に暴き出した辛らつな作品だと思います。

 ここから完璧にネタバレします。これからご覧になる方はどうぞお読みにならないでください。後ほどアップします。

 ・・・と予告していたのですが、めいっぱい書き溜めた文字データがなぜか消えておりまして(涙)、断念。ごめんなさい。かろうじて下記の雄たけび↓だけ残っていました(2006/07/03加筆)。

 ぶり子とか、ぶり子とか、ぶり子とか!もーーーひどい!ひどすぎて爆笑!!
 もっと怖いのは“おしぼり”。 おしぼりて、オイ! オーイっ!!(松井周さんへのツッコミ)

 チラシの絵も、これがあの地下室の“水”製造機とつながっている煙突(水を集める管)だと思うと・・・シュールですね。

文学座+青年団自主企画交流シリーズ第一弾
出演(◎=文学座 ★=青年団)=大竹直★、征矢かおる◎、たむらみずほ★、辻美奈子★、得丸伸二◎、古舘寛治★、古屋隆太★、堀夏子★、山本雅幸★、頼経明子◎(※古舘寛治の「舘」は「舎」へんに「官」)
作・演出:松井周(青年団) 美術:杉山至×突貫屋 照明:西本彩 衣装:小松陽佳留 舞台監督:小林智 宣伝美術:京 制作:林真智子、武藤真弓 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共催:文学座・青年団
ポストパフォーマンストークあり。ゲスト=19日:山中隆次郎(スロウライダー)/24日:岡田利規(チェルフィッチュ)
予約・当日共 一般3,000円 学生2,500円(要学生証提示)※日時指定・全席自由・整理番号付 通し券 9,000円(取り扱い先は青年団のみ)
公式=http://www.seinendan.org/jpn/info/info060306.html

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Posted by shinobu at 2006年05月18日 23:11 | TrackBack (0)