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2006年05月31日

【レポート】Actors Worksのワークショップ見学05/30@新代田

 柚木佑美(ゆうき・ひろみ)さん が主宰する“Actors Works(アクターズワークス~俳優の仕事~)”のワークショップを見学させていただきました。一対一の役者さんの生き生きとしたコミュニケーションに、わくわくどきどきの3時間でした♪
 ★現在、今年7月のエクササイズクラスが募集中です。
  期間:7/15~8/5(予備日:8/6、8/9、8/12)
  回数:全10回(1回3時間)
  料金:35,000円+年会費3,000円

 柚木さんは、ニューヨークのネイバーフッド・プレイハウス(The Neighborhood Playhouse School of the Theatre)という演劇学校出身の、キャリー・ジベッツ先生からサンフォード・マイズナー・システムを学ばれました。私はネットワークユニットDUOのコラムで藤野節子さんの記事()を拝見しており、「いったいマイズナー・テクニックって、どんな方法なの?」と興味津々だったんです。
 ※藤野さんはインパルス・カンパニー(Impulse Company)でマイズナー・テクニックを学ばれています。学校によって同じ“マイズナー”でも種類が違うようですね。詳細⇒スコットのマイズナー・テクニック

 ●マイズナー・テクニックについて。ネットワークユニットDUOのコラム(9/8, 2005)より引用↓

 マイズナー・テクニックは型にはまりがちな演技をしてしまう人や、「演技をしよう、しよう」とする俳優たちから不自然さを完全に取り払うことに有効なテクニックです。
 マイズナー・テクニックは,スタニスラフスキー・システムを初めてアメリカで学んだグループの一人・サンフォード・マイズナーが始めました。「作られた状況下を真実に生きる」ことを目指したトレーニングです。基本エクササイズであるリピティション・ゲーム(言葉の繰り返しゲーム)を使い,本来私たちが持っている動物的・直感的な感覚を磨き,相手に反応する/その一瞬一瞬に反応することを会得します。

 文章からもすごく魅力的な訓練方法のように受け取れるのですが、実際のところ一体どうやるのか、何が起こるのかは全然想像がつかなくって・・・そこで「百聞は一見に如かず」の精神で、あつかましくも見学をさせていただいたわけです。

 私がお邪魔したクラスの生徒さんは男3人、女2人の合計5人でした。皆さんが柚木さんのもとである程度の経験を積んだ方々だったので、かなり充実した空間を味わうことができたみたい。その日はリピティション(言葉の繰り返し)という基本エクササイズを見せていただくことになりました。

 ●リピティション(Repetition)ついて。ネットワークユニットDUOのコラム(11/27, 2003)より引用↓

 基本エクササイズはリピテーション・ゲーム(Repetition Game)と言って、二人向き合って座り、相手をじっと見て、何か具体的に相手について気がついたことを言葉にして言う。すると相手はそれを繰り返す。また最初の人がそれを繰り返す。これを続けて、もしどちらかが新しく何かに気がついたら言葉を変えて同じことをする。

 感じたままを言葉にどんどん出していくんです。「面白い」とか「いらいらする」とか。そして相手の言葉を繰り返すのが基本的なルール。自分の中に新しく感情が生まれたら、その感情を言葉にします。質問したり返答したりの会話はしません。
 ルールは一見簡単そうなんですけど、まず「思ったままを口にする」ってものすごく勇気がいりますよね。日常生活ではありえません。だってそんなことしたら・・・・社会的な人間の生活は絶対にできませんから(笑)。あと、相手も思ったことを口にするので、相当ショックですよ。だって「ムカつく」とか「そばに来ないで」とか言われちゃうんだもの!これがほんっとに衝撃的!でも・・・観てる方は超面白いんですよね~(笑)。こんなの観ていいの?って少し罪悪感を感じるぐらい、スリリングでエロティックでした。

 一組のエクササイズが終わると必ず“フィードバック”が行われます。柚木さんが「今のはどうでしたか?」とたずねて、自分がどういう状態だったのかを一人ずつ振り返るのです。この“フィードバック”を初めて見た時、すごく驚きしました。一瞬前まであんなに怒鳴りあったり、探り合ったり、キスしちゃったり(!)してた男女が、すっかり冷静になって客観的に話をしはじめるんだもの。かなり戸惑いました。でも・・・演技ってそういうことですよね。舞台の上で人を殺したり真剣に恋したりして、でも幕が下りたら普通の人になるんですものね。

 ■私が今回のリピティション(Repetition)を見て感じたことは↓
 ・本当の感情を起点にした動きには説得力がある。
 ・感情は瞬間的に(1秒もかからずに)変化する。徐々にではなく、突然変化する。変化の方向に規則性はない。
 ・自分が居て相手が居る環境で、お互いに影響を与え、受け合うことによって、不毛の荒野のような二人の風景が、突然一面のお花畑のような豊潤な空間に変身する。その逆も然り。
 ・例えば「こんにちは」というセリフを発する時、「こ」から「は」に到達する間に、感情はどんどん変化することが可能。だから演技は文節や言葉ごとに区切られるものではない。また、言葉の意味に頼ってそれに感情を当てはめると、リアリティのある演技になりづらいのではないか。
 
 ■マイズナー・システムを体験したら、こんなオトクなことがある(と思う)。
 ・自分の本音を知ることが出来る。たまんなく恥ずかしいけど!(笑)
 ・自分の感情に名づけをすることになるので、感情の種類を認識できる。つまり感情の種類が増える。心のヒダが増える。
 ・自分の感情にも、他人の感情にも敏感になる。他人の心がわかる。他人に対して寛容になれる。

 演劇のワークショップを見学する度にいつも思うんです。日本の学校の授業に取り入れて欲しい!!痛切に願います。

 ※今回のクラスには、自分の力で“開いている状態=感情の交流が出来る状態”になることができる方々が集まっていました。「エクササイズコースに3回通ってから、このクラスに参加できるようになった」とおっしゃる方もいらっしゃいました。

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Posted by shinobu at 2006年05月31日 17:25 | TrackBack (0)