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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年06月16日

アロッタファジャイナ『錆びた少女』06/13-18ザムザ・阿佐ヶ谷

 アロッタファジャイナは映画のお仕事をされている松枝佳紀(まつがえ・よしのり)さん が作・演出される劇団です。第6回公演なんですね。私は初見です。
 今まではチラシのビジュアルが女の子のヌードだったのが恐ろしくて避けて来ました。今回は可愛い女の子の手の込んだ撮影(&加工)ビジュアルだったので気になっていまして、そして運良く観劇レポーターに当選したので伺いました。

 驚いた・・・開幕して音楽が鳴ったとたん「げげっ、NODA・MAP!?」と思ったんですが、進んでみたら、思いっきりアングラ・テイストでした。何度も書いてますが、私はアングラが苦手なのです(涙)。

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 開演10分で退出したくなったのですがザムザ阿佐ヶ谷なので・・・出入口側の席でない限り、お客様の迷惑を考えると出られない・・・。1時間45分、ほとんど舞台の方に顔を向けることはできず。声と音のシャワーを受けるだけで精一杯でした。

 ここからネタバレします。

 舞台はザムザ阿佐ヶ谷のステージをそのまま使っていました。舞台下手に置かれているのは白いラジオ。その裏に大人が数人隠れられるほどの大きさです。他には白い紙で包まれたイスやショベルなど。

 まず、役者さんがぞろぞろと舞台に登場して段取りどおりの前説(携帯の電源を切ってください等)をするのですが、ものすごいぎこちなさ。そしてサザンオールスターズの曲に合わせて全員が踊ります。誰もが客席に背を向けるか、うつむいているかのどちらかでした。客席を見られないのは役者さんに自信がないこと(=未熟なこと)の表れです。

 オープニング映像は音楽のプロモーション・ビデオみたいでした。演出が映画関係のお仕事をされている方だからこそのクオリティかもしれませんね。今から考えると作風に合っているとは思えませんが。

 “パッヘルベルのカノン”(Wikipedia)が何度も流れる中、言葉遊びの多いポエティックなセリフをトリッキーな発音で複数人が交互に(順番に)叫ぶ・・・NODA・MAP『カノン』と完全に被りました。そうかと思えば銃声、爆音と一緒にアングラ名物の6/8拍子のメランコリックな音楽が流れ、白い衣裳の若い男女の役者さんが客席の方へ正面切って叫びます(客席の方を向くといっても、宙を見て心ここにあらずの状態)。

 母親メイ(大島朋恵)に虐待を受けるリンネ(広澤葵)が主人公。父親による母親殺し(だっけ?)/なぜか戦争中/「望まれないのに生まれちまった子供」はラジオ工場で働き、ラジオにされてしまう/ラジオの予言どおりに殺人/人類の滅亡/・・・/最後は虐待母の生い立ち話から娘との新たな出会い、和解/罪悪のカノン(=繰り返し)の中にも、未来への希望を見出す・・・? 盛り込みすぎというよりは散漫です。そしてそれを全て正面切った長いセリフ(ほぼ独白状態)で説明してしまいます。形式としてセリフのキャッチボールはありますが、役者さん同士がコミュニケートしないので対話(ダイアローグ)がありませんでした。
 
 耳に残った父親のセリフ↓(言葉は完全に正確ではありません)
 「戦争は誰にも止められない。だから家族で思い出を作ろう。」
 万が一このような気持ちが頭にあったとしても、口に出しては言わないと思います。そういう、セリフのための言葉で溢れていました。

出演(私が拝見したのはAキャスト)=/広澤葵(バウンドプロモーション)/大島朋恵(月蝕歌劇団)/野木太郎/上田喜美/池亀未紘/坂井里会/石橋拓也((有)J-beans)/藤澤よしはる/鈴木よさの/ナカヤマミチコ/森陽太/津留崎夏子
脚本・演出=松枝佳紀 舞台監督=小林英雄(AnjutaArts) 照明=柳田充(Lighting Terrace LEPUS) 音響=石井ゆうた(SoundCube) 宣伝写真=岩切等 特殊メイクデザイン=藤原鶴声 衣裳=伊藤祥子 スチル=石井飛鳥/古住慎治(虚飾集団廻天百眼) 映像=天野邪子 選曲・美術=松枝佳紀 制作=中山美智子 製作=アロッタファジャイナ
5月1日チケット発売開始 全席自由席 整理番号付 前売2,800円 当日3,300円
公式=http://www.alotf.com/

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Posted by shinobu at 2006年06月16日 00:21 | TrackBack (0)