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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年10月21日

THE SHAMPOO HAT『津田沼』10/13-22ザ・スズナリ

 赤堀雅秋さんが作・演出されるTHE SHAMPOO HAT。公演の度に必ず伺いたいと思う劇団です。
 今回はシャンプーハットならではの1シチュエーション喜劇でした。チラシの写真もそうですが、タバコ、たばこ、煙草・・・(笑)。この匂い、味わいがシャンプーハットなんだよな~とシミジミ。『アメリカ』を思い出します。ただ、物足りなさも感じました。

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 レビューをアップしました(2006/10/22)。

 ≪あらすじ≫
 舞台は古いめのアパートの一室。場所は津田沼。美術に変化はないままで、10年前と現在が行き来します。
 高校生の哲也(日比大介)は弟と二人暮らし。両親は同じアパートの隣りの部屋に住んでおり、のびのびと好き勝手し放題。哲也は同級生の恵美子(滝沢恵)に告白しようと、友人の伊東(黒田大輔)、栗田(多門勝)の協力を得て彼女を部屋に呼ぶのだが、なぜか不良の先輩・丸山(野中隆光)がやってきて、無関係の中学生2人(大和貴&武田有史)まで連れて来てしまう。何もかもが哲也の予定どおりに立ち行かない中、さらに得体の知れない男(福田暢秀)が部屋に入ってきて・・・。
 10年後の哲也は恵美子と結婚して、同じ部屋で二人暮し。哲也は耳鳴りとは違う、小さな音に悩まされており、不動産屋(児玉貴志)と自治会副会長の二瓶(赤堀雅秋)に部屋を調べてもらっている。そこに津田沼から東京へと出て行っていた、伊東(黒田大輔)がやってきて・・・。
 ≪ここまで≫

 “不良”が、いっぱい出てきました・・・懐かしい!(笑) リーゼント(野中隆光)とか短ラン(多門勝)とか、すっごく可愛らしく見えちゃいました。
 自堕落なやさぐれムードの中に、せつなさとおかしみがあるのがシャンプーハット作品の大好きなところです。独特の温度と湿度が肌で感じられるのも劇団ならではのものだと思います。今回は下手のベランダの窓から差し込む日光と、柔らかな風に揺れるカーテンも良かったですね。
 それにしても登場人物がよくタバコを吸います。日比大介さんがタバコを吸う仕草は『アメリカ』で初めて観た時からすごく印象に残っていて、今回もあの時と同じ感じでした。それもまた懐かしい・・・。

 10年前と現在とを行ったり来たりするのですが、照明や音響の変化はおそらくなかったと思います。観客は登場する人物の違いで今か昔かを判断することになるので、きっかけの瞬間に登場する人物の人選や、出てくる場所とタイミングに、転換の全てがかかっているのです。その方法(演出)がかっこ良かった~。

 オープニングとエンディングの曲が良かったです。どこかで聞いたことがあるな~と思ったのですが、シャンプーハット公演ではずいぶん昔にしか使っていないそうです。他のお芝居で聞いたのかしら。

 ここからネタバレします。

 10年前のシーンは、便所に○ン毛を溜めるとか、暴力で脅して恵美子と伊東にセックスさせちゃうとか、部屋にガスを充満させてライターの火を点けられるかどうかを賭けるとか・・・じとじとした部屋で爆発が起こるような、怖い不良(ヤクザ?)の世界でした。対して現在のシーンは同じくじとじとしていながら、いわゆるニートとか引きこもりとか、もっと内面の方へと閉じられているように感じました。これは時代の変化でもありますよね。

 哲也も伊東も別々に10年を生きてそれぞれの道を歩んできましたが、お互いパっとしない人生だったようです。哲也は高校時代と変わらず親の世話になっていて、高校時代の彼女と結婚して子供が出来て、ずっと津田沼暮らし。伊東は東京に出て演劇をしているが有名にはなっていません。津田沼に帰ってきても実家には顔を出さないし、おそらく親と会いたくないような生活状況なのでしょう。
 二人とも10年前に漠然と夢見ていた未来とは違う人生になってしまっているけれど、でも、まだ今も同じように「夢を見ている」のだ、ということかなと思いました。そしてその「夢を見て生きている今」を肯定するエンディングだったと思います。

 哲也は衣裳(上下揃いのスウェット)が変化しないので、彼だけが舞台に居るときは、現在か過去かの判別が難しくなります。もしかしたら彼だけは時空を超えた存在なのかも?と、想像を膨らますことも出来ますよね。最後に哲也が伊東に向かって言う「お前も夢見てるんだよな」というセリフとも意味が重なります(セリフは正確ではありません)。
 でも私は、このお芝居全てが哲也の想像(夢)であったとは受け取れませんでした。そんな風に考えられたら、もっと豊潤な舞台体験になったんじゃないかな~。現実だとも夢だとも受け取れるような演出が、そこここに散りばめられていても良かったんじゃないかと思います。

 自治会副会長の二瓶(赤堀雅秋)のヘンタイっぷりには唖然、ですね(笑)。あんなに白いブラジャーがハマる人っているのかしら。「ムヒある?」と聞いてそれを胸に塗るという(ブラが痒いのでしょう・笑)、細かいこだわりがまた素敵。

出演=日比大介/児玉貴志/多門勝/野中隆光/福田暢秀/黒田大輔/滝沢恵/赤堀雅秋/大和貴/武田有史/岩堀美紀
作・演出=赤堀雅秋 舞台監督=高橋大輔+至福団 照明=杉本公亮 音響=田上篤志(atSound) 美術デザイン=福田暢秀 舞台製作=F.A.T STUDIO 宣伝美術=斉藤いづみ 宣伝PD=野中隆光 舞台写真=引地信彦 舞台収録=♀GUCCI♂(帝斗創像) 小道具製作=渡邉亜沙子 衣裳協力=戸田京子/山本有子 演出助手=岩堀美紀/大和貴/武田有史 WEB製作=野澤智久 演出部=川除学 当日運営=森千江子(イマジネイション) 制作=HOT LIPS 武田亜樹 三谷郁奈 協力=エースエージェント ダックスープ 東京書籍印刷 西田圭吾 後援=(株)UZアドベックス 企画制作=THE SHAMPOO HAT
9月3日発売 指定席=前売り3,300円 当日3,500円 自由席=前売り3,000円 当日3,200円 *平日マチネ(10/19 14:00の回)指定席=前売り3,000円 当日3,200円 自由席=前売り2,800円 当日3,000円
公式=http://www33.ocn.ne.jp/~shampoohat/

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Posted by shinobu at 2006年10月21日 16:45 | TrackBack (0)