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2006年11月06日

新国立劇場/静岡県舞台芸術センター(SPAC)『イワーノフ』『オイディプス王』11/04-12新国立劇場小劇場

 昨日の『シラノ・ド・ベルジュラック』に続いて、今日も新国立劇場にお邪魔しました。こちらの『イワーノフ』『オイディプス王』の2本立ての方が、鈴木忠志さんのスズキ・メソッドがはっきりと表れているそうです。

 『シラノ・・・』の方が目にも耳にも優しかったし、わかりやすくて、私は好きですね。でも鈴木さんの世界を続けて3本体験できたのはすごくありがたかったです。何しろ16年間、東京では公演されなかったんですものね。12月には鈴木さん演出のモスクワ芸術劇場『リア王』も来日するそうです。

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 ≪イワーノフ(原作) ものがたり≫ 公式サイトより
 新しい社会建設のために理想と奉仕に燃えるロシア中産階級の知識人イワーノフは、ユダヤ人のアンナと結婚する。そして5年の歳月が経った今イワーノフは仕事や結婚への理想が破れ、自分の人生が失敗であったと感じている。妻は生活に疲れて胸を病み、借金を抱え、彼自身も健康を保つことができず、倦怠と憂鬱に襲われる日々を送っている。さらに若い恋人サーシャとの浮気がイワーノフの罪悪感に拍車をかける…。
 ≪ここまで≫ 

 下手のデスクに居るイワーノフと、上手には編み物をする女性。丸いカゴの中に入った、ヒゲめがねの男達が出てきて・・・もー何がなんだか(汗)。ユダヤ人差別のお話・・・なのかな?っていう程度しか頭に入れられませんでした。なにしろ音が怖かったんです。客席後方から徐々に舞台に近づいていく凝った演出もされていて、嗚咽なのか何なのか、いやがらせのような不快な音でした(苦笑)。私は気持ちを閉ざしてしまい、そして意味がわからないのでウトウト・・・。ごめんなさい。

 途中休憩の時間に、鈴木忠志さんが登場して今回の公演についての説明をしてくださいました。流暢な語り口で柔らかな物腰のダンディでした。かっちょいー。
 「ヨーロッパの世界を知りたくて(表現したくて)、そしてその上で日本人のアイデンティティを考えたいと思った。」
 「ヨーロッパと言うと、ギリシア悲劇、シェイクスピア、チェーホフ、ベケットかなと。」

 ≪オイディプス王(原作) ものがたり≫ 公式サイトより 
 テーバイの王オイディプスは、疫病に襲われた国を守ろうと、アポロンの神託を聞くために后イオカステの弟クレオンをデルポイの神殿に遣わせる。国を救うためには先王ライオスの殺害者を追放するか死罪にせよという神託を得て、オイディプスは直ちに殺害者の探索を命じるが、過去を追究するうちにライオスを殺したのはオイディプス自身であり、しかも自分はライオスの息子で、母とは知らずにイオカステを后にしていたという真実を知る。絶望の中でオイディプスは自らの目を突いて盲目となり、放浪の旅に出る。
 ≪ここまで≫ 

 舞台中央に車椅子に座ったオイディプス王。一人だけドイツ人のゲッツ・アルグスさんです。彼の周りを丸く囲む8人は日本人ですので、ドイツ語と日本語がまざった対話がなされます。ドイツ語については電光掲示板の字幕が上下(かみしも)に用意されていました。

 一人一人がはっきりと独立していて、まるで森の中の大木のよう。見ごたえがありました。特にゲッツ・アルグスさんはその立派な体格とドイツ語の大きな声に集中させられました。声は本当に凄かったですね~。怒鳴るように聴こえるのはドイツ語の特徴かもしれませんが、最後の最後の歌い上げるような細い声には身体がしびれました。

 『オイディプス王』は何度か拝見してストーリーがわかっているので、ちょっと退屈しましたね。上演時間は1時間だったんですが、もっと長く感じちゃったな。

 『シラノ・・・』でも感じたんですが、鈴木さんの舞台では女性がめっちゃくちゃきれいです。衣裳と照明の効果ももちろんあると思うんですが、生身の身体つまり裸体を想像させるような、生々しくて神々しい女らしさを肌から感じます。

新国立劇場/静岡県舞台芸術センター(SPAC)共同制作 「劇的な情念をめぐって」-世界の名作より-
(中劇場にて、『シラノ・ド・ベルジュラック』同時上演)
出演=ゲッツ・アルグス/蔦森皓祐/加藤雅治/三島景太/貴島豪/奥野晃士/藤原栄作/武石守正/植田大介/高橋等/藤本康宏/竹田徹/佐東諒一/佐藤嘉太/久保庭尚子/舘野百代/斎藤有紀子/齊藤真紀/高野綾/内藤千恵子/瀧井美紀/布施安寿香/三木美智代
『イワーノフ』原作:アントン・チェーホフ 翻訳:池田健太郎 作曲:ロジャー・レイノルズ
『オイディプス王』原作:ソフォクレス 翻訳:福田恆存(日本語) ヘルダーリン(ドイツ語) 
構成・演出=鈴木忠志 舞台監督=塩原充知 照明=丹羽誠/寺内敬博/川島幸子 音響=小林淳哉/内野彰子/西沢理恵子 衣裳=岡本孝子/塚本かな/満田年水/武田徹 舞台=村松厚志/山藤徳子/中野真希/深沢襟/小嶋純真 字幕=丹治陽 通訳=戸田史子 美術=戸村孝子 制作助手=上栗陽子 制作=SPAC(重政良恵/成島洋子/新井洋文/上野知里/海雲真由美) 制作担当=浅田聡子(新国立劇場)/茂木令子(新国立劇場)
一般発売9月10日(日)10:00~ S席5,250円 A席3,150円 Z席 1,500円
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000117.html

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Posted by shinobu at 2006年11月06日 22:47 | TrackBack (0)