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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2006年02月19日

劇団Ugly-Duckling『改訂版 さっちゃん』02/17-19東京芸術劇場 小ホール1

 Ugly-Duckling(アグリーダックリング)は大阪の劇団で、これまでにも何度か東京公演をしてくださっていますね。私は初見です。
 う~ん・・・時流に乗ろうという気持ちがない団体のようですね。昔ながらの自分達のスタイルをやり続けているような。劇団名は「醜いアヒルの子」ですよね。ちょっとわかるような気がしました。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより引用。改行を変更。
 テントがある。
 それはきっと昔は演劇をするためのテントであったが、今となっては公園の砂場の横に、まるで浮浪者が住むような、匂ってくるようなテントと成り果てている。それでもまだそのテントは、公園のど真ん中に居座っている。
 そのテントで一人暮らす女<朝子>のもとに、役所で働く<八神>が訪れる。
 <八神>の仕事は、市民のための公園を占拠しているテントを撤去するために、我が物顔で暮らしている<朝子>を説得しなければならないのだ。
 しかし、どうやら<朝子>のほうが一枚上手のよう。<八神>が訪ねてくる度に、<朝子>は芝居のような、実体験のような不思議な話をするのだが・・・
 ≪ここまで≫

 舞台の中央にこきたない古道具などが積み重なった狭い部屋があります。部屋の奥に青いビニールシートが吊り下げられて壁になっており、どうやらホームレスの簡易住居のよう。そこに一人の女が居ます。オレンジ色のビニール傘をさして白いビニールの雨合羽を羽織った人々が10人ぐらい登場し、コロスのようにばらばらと大声でセリフを言います。

 うーん・・・何もかもが私の心に全く届いて来ませんでしたね。演技と演出が昔っぽいって言うのか、昭和っぽい、のかな・・・。アングラではないけど、それっぽいし、じゃあバンカラっていうのかな?? 私の感覚からするとものすごく古いタイプの手法で、「そんなしゃべり方をする人はいない」「そんな表情や動きをする人はいない」とつっこみたくなるような、想像上の語り口と動きばかりを見せ付けられました。しかめっ面で主張されても・・・。

 セリフは詩的というか、叙情的なものが多いと思いました。でも、言葉や音声の美しさよりも、意見や主張をガシガシと前面に押し出そうとしているように見えました。あまり良い効果を生まないんじゃないかしら。

 結成が1994年、旗揚げが1995年ですから、もう10年以上、劇団としての活動を続けられているわけです。きっと好みの方もいらっしゃるのでしょうね。

 カーテンを移動させて場面転換するのは『贋作・罪と罰』と同じでしたね。青いビニールシートの奥へと部屋が移動して(部屋のセットはもともとキャスター付きでした)、部屋があった場所がテントの外側に変化したのは面白いと思いました。 

≪大阪、東京≫
東京国際芸術祭・リージョナルシアター・シリーズ 参加作品
出演=出口弥生/中村隆一郎/吉川貴子/ののあざみ/村上桜子/中野聡/山田一幸(朱亜 shu-A)/後藤七重(WI'RE)/樋口美友喜/池田祐佳理     
作=樋口美友喜 演出=池田祐佳理 舞台監督=岡一代(TANC!池田意匠事務所) 照明=皿袋誠路((株)PAC) 音響=金子進一(T&Crew) 舞台美術=池田ともゆき(TANC!池田意匠事務所) 画提供=でぐちやよい 宣伝美術=野田智子 写真撮影=中島仁實(digital-connection) VTR撮影=武信貴行 制作=植田宏美 福井愛 制作補助=前川恵利子/浜本浩志/谷雅之 制作協力=岡本康子(TRASH) 専属トレーナー=木原敬司 主催=劇団アグリーダックリング/NPO法人アートネットワークジャパン/財団法人地域創造
全席自由・各回共通 前売2500円  当日2800円  ペアチケット4600円(劇団前売・予約のみ)※再入場(2回目)は1,000円で観劇可能。高校生以下フリーパス券1500円(前売・当日共・期間中何度でも観劇可能)
東京国際芸術祭=http://tif.anj.or.jp/
劇団=http://www1.vecceed.ne.jp/~ugly-d/

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Posted by shinobu at 23:38 | TrackBack

Hula-Hooper『何かのプレイバック』02/15-19OFF OFFシアター

 女の子ばかりが出演するHula-Hooper(フラ・フーパー)。団長は脚本・演出・出演される菊川朝子さんです。

 劇中劇のスタイルをとった、歌と踊りのレビュー的要素の強いエンターテインメント演劇でした。若い女の子の可愛さをしっかりと武器にして、ちょっとふざけたように見せながら、したたかに笑いを組み立てています。コントで、演劇で、歌謡ショーでした。私はめっちゃくちゃ笑わせていただきました。
 こまばアゴラ劇場で観るお芝居みたいでしたね。ぜひ進出していただきたいです。

 去年の7月公演の続編で『若草物語』をベースにしていますが、前作を観ていなくても全く問題なく楽しめます。原作の登場人物の名前ぐらいは知っていた方がいいですね。

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 あらすじは・・・特に書く必要がない気がします(笑)。劇場サイトの紹介文がしっくり来ます(下記引用)。
 ≪作品説明≫
 説明を投げ出したフレーズ。普通のオンナノコが生きる現実と延長の空気。踊りやら歌やら混じったポップでキッチュなパワー溢れる舞台。伝えたいのはいつも、愛のみ。
 ≪ここまで≫

 開場時間から役者さんは観客の前に姿を現している、というか、OFF OFFシアターの楽屋(舞台の上手スペース)が完全にオープンの状態なのです。楽屋でメイクしたり、おしゃべりしながら待機しているのがそのまま露出していて、皆でじゃんけんをしたり、舞台上のダンボール箱の中に入って一芸を披露したり、ぬる~くメタ芝居が続けられます。
 オープニングはNHKの人気テレビ番組「真剣10代しゃべり場」のパロディーでした。タイトルは「ふまじめ20代しゃべり場」。「これから前回の続編をやるのかやらないのか」「誰がどの役をやるのか」について、しゃべり場っぽく、青春ぶって熱く議論します。笑えました。

 やっとこさ本編が始まるかと思ったら、いきなりドリカムの曲がかかり、全員で歌って踊ります。これは・・・最初はドン引きしましたね(苦笑)。「まさか、ドリカムでいい気になって踊っちゃうなんて!?」と。ドリカムを芝居で使うって・・・けっこうチャレンジングですよね? でも、いわゆるポップス系のダンスを色目を使いながら踊る女の子達を眺めていると、「あ、これは意図的に茶化してるんだ」ってことがわかってきて、笑えるようになってきました。

 さて『若草物語』です。登場人物(メグ、ジョー、ベス、エミリー、お母さん、ハンナ、ブルック、ローリーなど)を、女優さんが代わる代わる演じていきます。人物名が書かれた名札が美術の柱に貼り付けられており、役柄が変わる度に該当する役名の名札を衣裳に貼り付けます。観客は名札を見て、今、誰が何の役を演じているのかを識別します。5人が舞台上に居る内、1人だけがジョーで他の4人が全員ベスだったりもします。これがすっごく面白かったです。

 メタ芝居風に全編ずっと演じられたのは『若草物語』だったのですが、この作品はめくるめくドリカム・カラオケ・ワールドでもあったんですね(笑)。「あぁ、ドリカムの曲って芝居なんだな~」って改めて確認しました。私も○年前ぐらいはよく聴いてたんですよ。
 「夢で逢えるから」という歌詞の直後に「もうあなたの夢は見ない」という歌詞を持ってきたり、いい感じに曲が盛り上がってるのに突然ブチっと切ったりすることも多々ありました。歌詞に合わせた振付も「そこまで歌詞どおりにやると可笑しいよっ!」と思うぐらい大げさで笑えました。自分達を客観的に観ることができていて、狙いが鋭くて、ウィットに富んでいると思います。
 
 演出家の菊川朝子として菊川さんが「面白ければ、何でもいいんだよ」というセリフを言うことが数回ありました。ほんとにその通りだなって思います。裏を返せば「面白くなきゃ何でもNG」ってことなんですよね。菊川さんが信じる「面白いこと」をこれからも極めていっていただきたいです。

 上演時間は1時間半ぐらいでした。短くて気持ちいいはずなんですが、体感時間は2時間だったんですよね。細かく暗転していましたし、コントのようにシーンがばらばらに存在していたからじゃないかしら。ちょっと損ですよね。あと、役者さんの技術のばらつきはやはり気になります。まあ技術というよりは心積もりとか覚悟とかの違いかもしれませんが。

 菊川朝子さん。ジョーの恋人役(名前は忘れました)など。ショートカットのヘアスタイルが素敵。男子役がやっぱりかっこいいです。最後のプロポーズのところなんてうっとりですよ。そして歌がとてもお上手です。
 梅澤和美さん。お母さん役など。演歌みたいに絶叫して歌ってらっしゃったのがすごかった。さすが、コントの呼吸がよくわかってらっしゃいます。
 上枝鞠生さん。ベス役など。わざと音痴に歌ったりしてました。キメるところはキメる演技に迫力がありました。クチパク歌が笑えました。
 山口奈緒子さん(明日図鑑)。メグの夫ブルック役など。ダンスも演技も、すべてにおいてしっかりとした意図があり、それが鮮やかに体現できている女優さんでした。21歳なんてすごい!

※2005年7月に上演された「何かのプレイ」の続編。
出演=梅澤和美/上枝鞠生/菊川朝子(以上、Hula-Hooper)/平川道子/田口愛/宮本奈津美/山口奈緒子(明日図鑑)/特別出演=吉田麻起子(双数姉妹)
原作っぽいもの=ルイザ・メイ・オルコット『若草物語』 脚本・演出=菊川朝子 照明=鈴村淳 音響=伝井幸洋 舞台美術=斎田創 舞台監督=小野哲史・渡辺陽一 衣装=竹内陽子 宣伝美術=菊川朝子 舞台写真=maru 制作=ふらぴすと 制作協力=日和庵 制作助手=沼田光弘・佐藤真義 
前売開始=1月8日 前売2500円/当日2700円(特別割引:若草割4名で8800円)全7ステージ
劇団=http://hula-hooper.com/

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Posted by shinobu at 01:49 | TrackBack