2006年05月17日
Bunkamura/フジテレビジョン『白夜の女騎士(ワルキューレ)』05/07-30シアターコクーン
野田秀樹・脚本、蜷川幸雄・演出でジャニーズ事務所の松本潤さんが主演する『白夜の女騎士(ワルキューレ)』、観てまいりました。上演時間は約2時間30分(20分の休憩を含む)。
たぶん私は全然意味がわかってないと思います。だけど面白かった!満足です!
前売りは完売です。当日券情報はこちら。
≪あらすじ≫ パンフレットより。(役者名)を追加。
神と巨人とコビトが三つ巴の世界。この世を支配するため、彼らはペニスの商人の最大の発明品である“ヒト”の争奪戦を繰り広げていた。神に追放された女騎士ワル!(山口紗弥加)、キュー(持田真樹)、レ?(濱田マリ)に拾われ育てられたヒトは、巨人の国、コビトの国、神の国さえも飛び越えていく---。
一方、今より少し前の日本。棒高跳びが得意なサスケ(松本潤)は引っ越してきた部屋で前の住人だという少女おまけ(鈴木杏)と出会う。彼女は自分が送ったはずの宅急便の宛先を間違えて、元の部屋に戻ってきてしまったのだ。そして彼女の兄は偶然にも、サスケのアマチュア無線の仲間、その後の信長(勝村政信)だった。何らかの事情を秘めていたその後の信長は、サスケを挑発し、富士山に登ろうとけしかける。まるでサスケの心に眠る闘争本能を呼び起こすように。そのころ、二人を捕らえるべく刑事や写真家ら追っ手も間近に迫っていた---。
≪ここまで≫
野田秀樹さんの夢の遊眠社時代の作品なんですね。私は今回が初見です。
野田さんのセリフは突飛なたとえやダジャレがいっぱいですし、ちょっとでも聞き逃したらダーッと進んでしまって置いてきぼりになっちゃいます。でもその言葉のシャワーが気持ちいい!って感じました。役者さんによっては声が枯れていたり聞きづらい発音だったりして残念でしたが、もう別に、そんなことちっちゃいことだゼ!って思えました。だって演出が面白いんだもの!
何を書いてもネタバレになりそうなので、これからご覧になる方はこれ以降はお読みにならないでください。・・・といっても、たいしたこと書けないですけど(苦笑)。
開場時間から舞台奥の搬入口が空いていて、着物にちょんまげ姿の人や黒いヘルメットを被った人など、色んな時代の日本人がわらわらと劇場内を歩いています。舞台上には飛行機の断片やはりぼての馬など、かなり大きな大道具(っていうのかな?)がまばらに置かれており、躍動感のある雑多さが強烈でかっこいいです。このムードが全編に通じており、何が起こってもおかしくない空間が開演前から完成していました。
そして始まると・・・ステージにいくつもの四角い穴があり、そこから人が出てきます。サスケ(松本潤)が飛ぶ(そう、飛ぶんです)シーンで穴から黒ヘルメットの男たちが赤い旗を振っていたり、本能寺の信長シーンで小さい穴から炎がいっぱいのぞいたり、もう至れり尽くせり、これでもか!っていう闘争の演出でした。意味がわからなくても、かっこいいし燃えてるし、私は満足でした。幕がバサッ!と降りてくるのが何度もあって、その度に違う絵が見られてものすっごく贅沢な気分でした。
終盤、グラスファイバーの棒(棒高跳びのポール)でサスケが空を飛んで、眠り姫と交信しあうシーンで涙ボロボロ。力強い!美しい!
字幕があったのがものすごく助かりました。難解なセリフの解説だけでなくト書きがどんどん出てくるので、ト書きの内容と演出の違いなども楽しめました。
役者さんはセリフを大切に話してくださる人が割と多かったので、ダジャレでもアハハ!って笑えたりしました。ただ、ちょっとでも対話が退屈だな~と思ったら、すぐにうとうとしちゃってる自分もいて・・・。最近の私、声がすっごく大事なんです。声が届かなかったり汚かったりすると、それだけで聞きたくなくなっちゃうんです。ごめんなさい。
パンフレットの蜷川さんのインタビューより引用します↓
「過去に実際にあった出来事も含めて、きちっと見せますよ。ゆるやかに言ってしまえば、変革というものを志した若者たちの挫折の物語に対して、そこから我々が何を汲み取って、何を痛恨の思いで見送ったのかということは伝えたい、と僕は思っている。」
2000円しましたけどパンフレットはすごく充実しています。ご覧になった方はどうぞご購入ください。お薦めです。『白夜の女騎士(ワルキューレ)』の後は『彗星の使者(ジークフリート)』、『宇宙(ワルハラ)蒸発』と続く3部作になっています。蜷川さんが全部演出されるのが楽しみです。
松本潤さん。きれいでした~。叫んでもむさくるしくない。麗しい美少年のまま。少しなよっとしているのがまた良いですね。
鈴木杏さん。この方もきれい~。動きにバネがあるし、声と体から大きなパワーが出てるのが感じられます。
勝村政信さん。松本さんと鈴木さんに囲まれてさすがの貫禄でした(笑)。舞台上ですっごく楽しそうなのが、観ていて嬉しいです。
出演=松本潤/鈴木杏/勝村政信/六平直政/立石凉子/杉本哲太/高橋洋/山口紗弥加/持田真樹/濱田マリ/たかお鷹/六角慎司/さとうこうじ/マメ山田/日野利彦/羽子田洋子/さじえりな/飯田邦博/塚本幸男/堀文明/福田潔/井面猛志/宮田幸輝/野片富三/神保良介/伊藤一樹/泉裕/川崎誠一郎/川崎誠司/助川顕太郎/田浦傑/戸上恭丞/横田透/安齋芳明/村松佳
脚本=野田秀樹 演出=蜷川幸雄 音楽 : 朝比奈尚行 美術 : 中越司 照明 : 原田保 衣裳 : 黒須はな子 音響 : 井上正弘 ヘアメイク : 河村陽子 振付 : 広崎うらん 殺陣 : 栗原直樹 演出助手 : 井上尊晶 舞台監督 : 白石英輔 企画・製作: Bunkamura 主催=Bunkamura/フジテレビジョン
S9,000円 A7,500円 コクーンシート5,000円 チケット発売日: 2006年3月19日(日)
公式=http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/valkyrie/index.html
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青山円形劇場プロデュース『MYTH(ミス)』05/11-28青山円形劇場
鈴木勝秀さんの脚本・演出で佐藤アツヒロさんが出演する青山円形劇場プロデュースというと、『LYNKS』を思い出します。
イイ男4人の静かなお芝居でした。全体的にちょっと堅い感じがしましたね。上演時間は約1時間35分だったと思います。
≪あらすじ≫
幼なじみ(中山祐一朗)と一緒にアールデコ調の豪邸に訪れた男(佐藤アツヒロ)に向かって、弁護士(陰山泰)が言った。「亡くなったお父上の法定相続人はあなただけです。お父上はこの家と家の中の調度品全てをあなたに残しました。」
男は、その家で不思議な人物(篠井英介)に出会う。彼は言った。「私はお前の父親だ」と。
≪ここまで≫
円形劇場をそのまま円形に使った、一見シンプルな舞台でした。全体のイメージは青と黒。床は豪華な装飾がなされていて、ちょっとした仕掛けもあります。照明が効果的でした。特に劇場の壁の上部を照らすのがかっこ良かったです。
鈴木勝秀さんのお芝居でよく流れる音楽がやはり開幕前にも流れていて、エンディングも聞き覚えのある感じ。私はけっこう好きです。
衣裳の靴がすっごくかっこ良かったです。高そうだな~。『LYNKS』の時も衣裳が良かったんですよね。
セリフはすべてはっきりと聞こえるし、目にも麗しい男優さんばかりなのですが、自由自在に動けているように見えず、残念ながら私は途中で少しうとうとしちゃいました・・・。お芝居の主題に興味がある人は集中できたかもしれませんが、私はそれほどじゃなかったんですよね。
中山祐一朗さんにはのびのびとしたライブ感覚があって、引きつけられました。
ここからネタバレします。
公式サイトより引用。
"Myth(ミス)"には、神話、伝説、つくり話、架空の人、という意味がある。人間は、生まれてきたからには、孤独ではない。
男(佐藤アツヒロ)は幼い頃に父親(篠井英介)に去られ、母子家庭で育ちました。「お前を生むつもりはなかった」と言い続けた母親は18歳のときに他界し、天涯孤独で海外を放浪する根無し草になっています。
死んだ父親(篠井英介)は財産を残すことで息子(佐藤アツヒロ)を呼び寄せ、現実世界から逃避するために息子が空想で作り出した別人格(中山祐一朗)を排除して、息子に真の意味での自立をさせようとします。
父親は、息子を救いたい、息子に自分のことを憶えていて欲しいという願いを最後の最後に叶えます。息子は強がっていてもやはり父親を求めていました。最後に息子は父親の愛を受け入れ、自分からも父親に愛を伝えることで、地に根ざした一人の人間として立つことが出来るようになります。佐藤アツヒロさんと篠井英介さんが寄り添うシーンにはじーんと来ました。
弁護士が最後に言ったセリフがチクっと胸に刺さりました。
「ローンを返すことが人生だとも言えるでしょう。だって我々は生まれた時にすべてを用意してもらっているのだから。」(セリフは正確ではありません)
出演=篠井英介/佐藤アツヒロ/陰山泰/中山祐一郎
脚本・演出=鈴木勝秀 美術=二村周作 照明=倉本泰史 音響=井上正弘 衣裳=尾崎由佳子 演出助手=長町多寿子 舞台監督=安田美和子 宣伝美術=永瀬祐一 宣伝写真=西村淳 宣伝ヘアメイク=松永英一/中俣明美 制作進行=相場未江 制作=大島尚子 制作協力=東京グローブ座 企画・制作=こどもの城劇場事業本部 主催=こどもの城
前売¥5,500/当日¥5,800 3月25日(土)発売開始。月曜休演。
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/promo/play/myth.jsp
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