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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年02月14日

贅『煙の先』01/16-21ギャラリーLE DECO 5F

 イキウメの前川知大さんの脚本に役者さんの創作を加え、本番ではアドリブやハプニングも盛り込んで見せるという贅(ゼイ)の旗揚げ公演です(⇒プレビュー公演)。

 ゲスト出演者の内田慈さんが開演前に生っぽく前説されたところによると、「上演時間は45分から1時間40分ぐらいを予定しています」とのこと(笑)。本編45分に約1時間もの贅沢・贅肉をくわえたってことだったんですね。

 ⇒CoRich舞台芸術!『煙の先

 ≪ストーリー≫ 当日パンフレットより。(役者名)を追加。
 ある小さな地方都市。生花店で衝動的に万引きした奥寺(内田慈)は、店長の古橋(板垣雄亮)に見つかってしまう。万引きした花は高級品の希少花の鉢植えだった。従業員控え室で、古橋は奥寺を問い詰める。奥寺は常連とまではいかないが、店員の天野(瀧川英次)は彼女のことを覚えていた。天野は、花好きに悪い人はいないと情状酌量を求める。
 古橋は奥寺の家の室内を確認させることを条件に警察に届けないことにする。最近、転売目的と思われる高級花の盗難が少なからずあり、彼女の万引きが一回性のものであることを確認したかったのだ。
 古橋は奥寺の家で金田(岩井秀人)という男に会い、金田から奥寺の人となりを聞く。奥寺は無類の花好きで、大学院で植物生殖遺伝学を勉強している苦学生らしい。古橋は結局奥寺を見逃すことにするが、内心疑いを深める。
 古橋が思った通り、金田は奥寺の知識を利用し高級花の盗難と転売で荒稼ぎしているのだが、証拠がつかめない。奥寺への疑いを口にする古橋に、天野は感情的に反発する。
 そんな中、奥寺は天野に盗難の事実を告白する。天野は金田に利用される奥寺を救おうとするのだが…。
 ≪ここまで≫ 

 何度か拝見している役者さんばかりでしたので、「ここはどう来る?そうくるか!」という風に待ち構えて観ることになりました。
 プレビュー公演では、初めに戯曲全編をサラっと朗読して、次に本を持たずにアドリブやアイデアを盛り込んで見せるという形式でしたが、本公演は朗読はなしで、すぐに演技が始まりました。だからどこまでが原作なのかははっきりしいまま、探り探り観ていくことになりました。

 ここからネタバレします

 戯曲どおりのところと、戯曲に変更を加えているところとの差を、もっと味わいたかったですね。その意味ではプレビューの方が楽しめました。役者さんそれぞれの持ち味を出すというよりは、得意技を披露しているように感じたのが残念。達者な役者さんが揃っているとはいえ、やっぱり「演出家不在」というのは厳しいものだなぁと思いました。

 でもストーリーは面白かったです。タイトルの「煙の先」は、煙が立つその先には必ず火元(=原因)があるという意味。植物を万引きをする奥寺(内田慈)は、金田(岩井秀人)に操られていたとはいえ、本人にもそんな犯罪を犯してしまう動機(性質)がありました。それが少しずつわかっていくのが面白いです。

 天野は奥寺を救うために金田を襲いますが、「君が(助けてと)言ったんだから」と奥寺に確認してから、殴りかかります。何をするにしてもしないにしても、いつも誰かのせいにするってことですよね。「仕方ないから」とか「こうするしかないから」とか、全く根拠のない理由でぬるりと生きてしまう私自身を振り返りました。

 奥寺が、自分に優しくしてくれる天野に対して喜んでいるような素振りを見せながら、彼が去った後に「めんどくさい」と一言もらしたところが良かったです。
 演技では、寺田役の岩井秀人さんが怖くって怖くってたまりませんでした。ほんとにゾっとしました。また怖がらせてもらいたいです(笑)。

出演:板垣雄亮(殿様ランチ)/岩井秀人(ハイバイ)/瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)内田慈
作:前川知大 演出=不在 照明:松本大介(enjin-light)/富所浩一 音響:荒木まや 制作:原田瞳(tsumazuki no ishi)/永井若葉(ハイバイ)
前売り2000円 当日2500円
公式=http://zeiniku.net/

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Posted by shinobu at 2007年02月14日 21:42 | TrackBack (0)