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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年03月02日

新国立劇場演劇『コペンハーゲン/COPENHAGEN』03/01-18新国立劇場 小劇場

 2001年の初演で多数の賞を受賞した傑作3人芝居。劇作は英国人のマイケル・フレインさん(過去レビュー⇒)。疲れてしまった初演のリベンジのために、はりきって初日に伺いました。
 ※初演のレビューに上演時間は「4時間」とか書いてますけど、明らかに勘違いですね。約3時間です。すみません。

 やっぱり濃かった・・・。3人の役者さんに心からの拍手を!新国立劇場の初日には珍しく、カーテンコールが3度ありました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『コペンハーゲン/COPENHAGEN

 ≪ものがたり≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
ナチスの恐怖が欧州を覆う1941年のコペンハーゲン。盗聴器が仕掛けられた過酷な状況下で語られたボーア(村井国夫)、ハイゼンベルク(今井朋彦)、マルグレーテ(新井純)の会話の真相とは? 3人は死後の世界からこの「謎の一日」を再現しようとする。原爆製造への関わり、祖国への忠誠心、ヒューマニズム、物理学者のエゴとプライド、家族への思い。数々の記憶が蘇る。しかし相補性原理や不確定性原理といった彼らの理論そのままに、語れば語るほど記憶は曖昧なものになっていく。やがて謎を解く核心に迫るのだが……。
原子力エネルギーの実践に、探究心と倫理観との間で揺れながら、対立と理解を繰り返すボーアとハイゼンベルク。二人を時に優しく時に厳しく見つめるボーアの妻マルグレーテ。
スリリングな展開と知的興奮に満ち、エンターテイメント性にもあふれた『コペンハーゲン』にどうぞご期待ください。
 ≪ここまで≫

 死んでしまった3人が、ある一日のことを回想する形式です。この死者が語るという構成はすばらしいですね。何年後でもずっと上演できる作品だなと思いました。

 過剰な装飾はなく、ただ3人が語っていることだけで見せていきます。言葉が、身体や心とぴったり合わさってましたね。難しい学術用語や固有名詞、友人の名前(色んな国籍の名前)もばっちり。まるで私も知っているかのごとく想像できました。
 美術もやっぱりよかったな~。照明が映えるんですよね。これも演出力なのでしょうけれど。

 で、やっぱり私、体調が万全ではなく・・・(涙)、途中でうとうとしちゃいました・・・・。ほんとにすみません。「CoRich舞台芸術!まつり2007」関係でここのところドタバタだったので・・・無念。仕事でも観劇には支障がないようにしたいですね(あ、反対か)。

 私は原子の動きと人間の散歩の動きが重なるのに興奮。これは初演でもそうでした。
 言葉を発しあううちに、会話が色んな階層へと飛び回っていくのが刺激的です。スコープが変わるっていうのか、照準が自在に変化するんですよね、人間って。話している最中も目まぐるしく脳は動き続けています。そして互いに影響を与え、変化し続けている・・・。

 はっきり言って、話される内容は難しいです。量子力学とか核分裂とか、原子力についての研究用語がたくさん出てきます。そういうのが苦手な方もいらっしゃるかもしれません。現代に必要な倫理とは?、記憶とは?、人間とは?・・・など、人類への根源的な問いかけに満ちた、重厚で上品な作品です。でも、お時間あれば是非。

 ここからネタバレします。

 登場人物は品の良いスーツを着ていますが、全員の服に薄黒い染みが入れられています。古く汚れていることで、死者であることを表現しているように思いました。きれいでした。

出演=村井国夫/新井純/今井朋彦
脚本=マイケル・フレイン 演出=鵜山仁 美術=島次郎 照明=服部基 音響=高橋巖 衣裳=緒方規矩子 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=中野史朗 舞台監督=藤崎遊
一般発売日:2007年1月14日(日)10:00~ A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000120.html

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Posted by shinobu at 2007年03月02日 14:26 | TrackBack (0)