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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年03月14日

加藤健一事務所vol.65『特急二十世紀-TWENTIETH CENTURY-』03/14-28本多劇場

 加藤健一事務所の第65回公演。海外戯曲の新訳での上演です。毎回すごいなと思います。次回の6月公演『モスクワからの退却』の宣伝が開幕前からありました。ポスターもチラシも揃ってて、すごいな~。鵜山仁さん演出でStudio Lifeの山本芳樹さんが出る三人芝居っていうのも、すごい。

 装置が豪華で、転換も楽しませてくださいました。上演時間は休憩なしの約2時間5分。でもカーテンコールを合わせたら2時間15分ぐらいだったかも。

 ⇒CoRich舞台芸術!『特急二十世紀

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。改行を変更。
 「何としてもスター女優と契約を!!」
 崖っぷちのプロデューサーに演劇の女神は微笑むのか・・・?!
 興行が立て続けに失敗――失意を胸にシカゴ発ニューヨーク行きの特急二十世紀号に乗り込んだ有名演劇プロデューサー、オスカー・ジャッフェ(加藤健一)。奇しくも同じ列車に、オスカーに愛想をつかし、ブロードウェイの舞台を捨て、映画界の華となったスター女優、リリー・ガーランド(日下由美)も乗車。降って湧いた偶然に、オスカーは演劇界の頂点へ返り咲くため、リリーと契約を結び、再び自分のステージに立たせることを思いつく。
 乗り込んだら最後、特急列車はイチかバチかの運命をかけて一直線!「何としてでもリリーと出演契約を結びたい!」奮闘するオスカーが巻き起こす、抱腹絶倒劇の結末はいかに・・・?!
 シカゴ発ニューヨーク行きの豪華なコンパートメントで繰り広げられる傑作フルスピード・コメディー!!
 ≪ここまで≫

 加藤健一事務所公演で加藤健一さんが主役ですから、加藤健一さんのお芝居だと思って観るのが正解ですよね。いつもの元気な加藤さんにお会いできて良かったなと思います。

 演劇という魔物に取り付かれた人々のキチガイ沙汰。自分が輝くためなら、自分がやりたいと思う演劇のためなら、どんな嘘もつくし人も裏切ります。血も涙もないプロデューサー(加藤健一)と女優(日下由美)の、戦友のような関係が面白いですね。こういう友人関係、怖いけど実際にあるよねって思いますし、ちょっとうらやましかったりもします(笑)。

 海外戯曲ならではの細かい比喩があるセリフが楽しかったです。「まるで~~みたいな顔の」とかの。忘れちゃったけど。有名な作品(ギリシア悲劇とかシェイクスピアとか)の引用もいっぱいで、演劇ファンならより楽しめる戯曲ですね。「ブレヒトに書かせよう、あ、イプセンも、あいつ生きてたっけ?」とか。

 “世紀の大女優”役を演じるのって、女優さんにとって結構プレッシャーだと思うんです。その点、日下由美さんはかなり堂々とやり切ってくださって、笑えるところまで見せてくださいました。何しろきれいだわ~。肌白!腰細!足細!そして豊かな胸元が拝める白いドレス姿も素晴らしかった(私、女なんですが、そういうところに弱い・笑)。

 私はまぁ、今さら言うまでもありませんが(そうか?)、文学座の浅野雅博さん目当てで初日行脚(笑)。女優の恋人(てゆーかツバメ)役。もー満足です。なんてみずみずしい人なんだ!と、いつも思います。今回は真っ直ぐ破裂するように怒ってて新鮮でした。

 ここからネタバレします。

 舞台は1933年のアメリカ。20世紀号という名前の高級列車の車内です。豪華コンパートメントとバー・コーナーが広々と作られています。それがなんと左右にスライドするんです。コンパートメントが中央に来たり、バーコーナーが中央に来たり、見えてなかったB客室がドドンと出てきたりですねぇ、そりゃもう嬉しい限り。駅を出るシーンでは、車窓から見える風景もちゃんと奥で演技をして見せてくださいました。

出演:加藤健一 ・日下由美・浅野雅博(文学座)・さとうこうじ・小川輝晃・福島勝美(道学先生)・江間直子(無名塾)・前田こうしん・一柳みる(昴)・新井康弘
原作:ベン・ヘクト・チャールズ・マッカーサー 脚本:ケン・ラドウィッグ 訳:小田島恒志 演出:久世龍之介 美術:大田創 照明:五十嵐正夫 音響:松本昭 衣裳:加藤豊美 ヘアメイク:馮啓孝 舞台監督:鈴木政憲 製作:加藤健一事務所
1月21日(日)前売開始 前売:5,000円/当日5,500円(全席指定) 高校生割引:2,500円(学生証提示・当日のみ)
公式=http://homepage2.nifty.com/katoken/

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Posted by shinobu at 2007年03月14日 23:02 | TrackBack (0)