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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年09月05日

ホリプロ『ヴェニスの商人』08/17-09/30天王洲銀河劇場

 市村正親さん、藤原竜也さん、寺島しのぶさんというスターを揃え、RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)のグレゴリー・ドーランさんを演出に迎えた本格的なシェイクスピア、なはず。

 上演時間は約3時間15分(15分の休憩を含む)。長かったな~。開場時間に仮面の人々がロビーを練り歩きます。写真撮影もOK!

 ⇒CoRich舞台芸術!『ヴェニスの商人

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 舞台は、貿易都市として栄えた16世紀末のヴェニス。アントーニオ(西岡徳馬)は、この街で貿易商を営む裕福な紳士。ある日、彼の元に、年下の親友バサーニオ(藤原竜也)が借金の申し込みにやって来ます。ベルモントに住む才色兼備の令嬢ポーシャ(寺島しのぶ)にプロポーズをするために。が、あいにく全財産が海を渡る船の上にあったアントーニオは、自らが保証人となり、バサーニオにユダヤ人の高利貸しシャイロック(市村正親)を紹介します。そんなふたりにシャイロックが出した条件は、「もしも3カ月の期限までに借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドをもらう」というもの。常軌を逸した申し出にアントーニオはたじろぎますが、期限内に船が帰還すると信じる彼は、この条件を承諾。おかげで、金を手にベルモントへ旅立ったバサーニオは、難しい結婚の条件をクリアしてポーシャと結ばれます。そんなとき、アントーニオの輸入品を積んだ船が難破。借金返済の目処が立たなくなった彼と、約束どおり1ポンドの肉を要求するシャイロックの闘いは、法廷の場に持ち込まれることに……。
 ≪ここまで≫

 ドーランさんっぽい空間だな~と思いました(過去レビュー⇒『夏の夜の夢』『オセロー』)。役者さんがしゃなりしゃなりと歩いてきてハタと立ち止まったら、そこはその役者さんの世界。場面転換のための大掛かりな美術の移動や暗転などはほぼありません。

 んー・・・フツーに不愉快な話ですよね、『ヴェニスの商人』て。思いっきり人種差別肯定してますから(笑)。原作に忠実なのでしょうけど。
 日本人が日本語でやってることの違和感が大きかったな~。ドーランさんがRSCでやることをそのまま輸入してきただけなんじゃないでしょうか。それだと無理が出て当然ですよね。メインキャストが長いセリフを言っている時に、まわりの人々が笑うんですが(面白いことを言っているから)、明らかに嘘っぽい笑いなので妙な空気でした。

 衣裳がきれいだった。ポーシャ(寺島しのぶ)をはじめ女優さんのドレスが特に。藤原竜也さんのクリーム色のスーツ姿は新鮮。でも美術や照明も含んだ全体の調和はあんまり。
 生演奏は耳に心地よかったですが、当たり障りのないBGMの域を超えていなかったようで、ちょっと物足りなかったです。

 役者さんの演技は・・・それぞれバラバラで、どう感じていいのやら。一辺倒に怒鳴るのは聞いてられなかったな~。
 市村正親さんは差別されるユダヤ人として思いっきり孤立されているのが良かった。本当に別世界の人みたいだった。
 寺島しのぶさんは緻密な演技でしっかり説明してくださるのが、いつもながら素晴らしいと思います。でも賢すぎるのはあまり可愛くないような。まあ、ポーシャは才女なのでしょうけど。
 藤原竜也さんは力を抜いて笑ったり困ったりする、普通の若い男の子らしい演技が可愛かった。劇画調なのはちょっと・・・。
 道化役の大川浩樹さん(ですよね?)は、1人でしっかりとムードを作ってくださったので、ダジャレもダジャレとしての楽しみがありました。

 ここからネタバレします。

 ポーシャが男に変装して法廷で活躍し、バサーニオの指輪(ポーシャがあげたもの)をまんまと奪います。そして自宅に戻ってきてから、指輪を誰かにあげてしまったバサーニオを責めるという、商業演劇っぽいわかりやす~い喜劇部分が良かったです。

 シャイロックの娘(京野ことみ)とその恋人はいったい・・・・。衝撃を受けるほど通じ合ってなかったです。

出演=市村正親、藤原竜也、寺島しのぶ、京野ことみ、廣田高志、大川浩樹、小林正寛、横田栄司、樋浦勉、加門良、椿真由美、鈴村近雄、遠藤好、今奈良孝行、菅原さおり、樋口浩二、佐川和正、藤沼剛、豊田茂、佐藤仁美、団時朗、西岡徳馬
作=ウィリアム・シェイクスピア 演出=グレゴリー・ドーラン 翻訳=河合祥一郎 美術=マイケル・ヴェイル 照明=隅尾良一 衣裳=小峰リリー 音響=高橋巖 ヘアメイク=武田千巻 演出助手= 技術監督=堀内真人 舞台監督=森下紀彦 宣伝美術=永瀬祐一(BAT DESIGN) 宣伝写真=設楽光徳 主催=ホリプロ・天王洲 銀河劇場 共同制作=Thelma Holt Ltd.
【発売日】2007/06/09 S席10,500円 A席8,400円 立見券(2階客席 最後列両サイド)5,000円
http://www.gingeki.jp/index.html

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Posted by shinobu at 2007年09月05日 10:28 | TrackBack (0)