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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年10月31日

風琴工房『砂漠の音階』10/30-11/04シアター風姿花伝

 風琴工房は詩森ろばさんが作・演出される劇団です。前作『紅の舞う丘』が「CoRich舞台芸術まつり!2007春」にてグランプリを受賞し、今作はそのスポンサード公演です。

 メインのキャストが変わって初演とは違う味わいでしたが、じんわりと涙する優しい、おだやかな時間は健在でした。上演時間は約1時間40分。

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 ⇒CoRich舞台芸術!『砂漠の音階

 あらすじなどは初演レビュー公式公演サイトをご覧下さい。

 初日だったからか、前半は役者さんが硬い感じがしてちょっとハラハラしました。でも後半に入って中谷(なかや)先生の言葉を深く味わえる状態になると、じわ~っと温かい気持ちが沸いてきて、涙が込み上げました。数々の名言を、また生の声で聞けたことが嬉しいです。

 登場人物はまっすぐポジティブで、素直な人たちが揃っています。彼らの情熱にすすんで乗っかって行けば、曇りのない善意の世界を信じることができるような気がします。それはとても幸せな体験です。
 北海道大学のある研究室での1日を描くシンプルな会話劇ですが、研究室から飛び出していろんな国を旅した気持ちにもなりました。
 
 主役の中谷先生役が杉山文雄さんから山内健司さんに変わっていますので、初演とは全く違う作品のように感じました。杉山さんは弱々しいけれどひたむきで愛らしく、山内さんは男らしい力強さがあって、賢いゆえに優しい人に見えました。どちらかというと私は杉山さん演じる中谷先生の方が好みだったかも(初演の印象が強いだけかもしれません)。

 ここからネタバレします。

 中谷先生と秘書の津島さん(笹野鈴々音)が2人で雪について話すシーンで、一気に作品の中に入り込むことができました。観客に背を向けて中谷先生が語る言葉に聞き入って、何度も落涙。雪降りしきる平原が風の舞う砂漠に見えたり。「雪は弦楽器の音楽なのか、ピアノの音楽なのか、あぁたしかに弦楽器のなめらかさは合ってるかも・・・」と私も津島さんと一緒に考えたり。

 研究者の佐田役が岩崎裕司さんから北川洋介さんに変わっていたのも大きな違いでした。津島さんとのラブシーンの清らかさにうっとり。佐田のように、自分の研究の成果が日の目を見なかった多くの人のことを想像しました。

≪北海道2箇所、東京≫ ★CoRich舞台芸術!スポンサード公演
出演=山内健司(青年団)、小高仁、笹野鈴々音、松岡洋子、浅倉洋介、宮嶋美子、山ノ井史、北川洋介
脚本・演出・衣裳・宣伝美術=詩森ろば  美術=杉山至+鴉屋 濱崎賢ニ(六尺堂) 照明プラン=jimmy(フリーウェイ) 照明オペ=田原聖子 舞台監督=弘光哲史 スチール=鏡田伸幸 演出助手=木内美帆/津田湘子 舞台監督助手=渡辺景介 制作=森岡鞠子 企画・製作=ウィンディ・ハープ・オフィス 
【発売日】2007/09/19 前売3000円 当日3500円 大学生2000円 高校生以下1500円 障碍者1500円 その他割引あり
http://windyharp.org

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2007年10月31日 01:48 | TrackBack (0)