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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年11月15日

【レポート】the company「Robert Allan Ackerman Workshop 2007」11/12都内某所

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ボブさんと珠麗さん

 the companyが主催するロバート・アラン・アッカーマンさんのワークショップを見学させていただきました。紹介ページ⇒

 昼間と夜間の2クラスありまして、両方とも予定(3時間)より約1時間オーバーという、高密度・長時間の熱い1日となりました。

 ⇒the companyブログ

 アッカーマンさんのことは、みんながボブさんと呼びます。
 アッカーマン「日本ではみんなに“ボブさん”と呼ばれているので、そう呼んで下さい(笑)。」
 ※アメリカのお友達には“アキ”と呼ぶ方もいらっしゃるそうです(Ackermanから来てるんですね)。

 初日はオリエンテーション。参加者全員の自己紹介から始まります。これまでの演技経験(最近の舞台・映像出演など)、なぜこのワークショップに参加したのか、このワークショップに求めることは何なのかを、1人ずつ話していきます。⇒公式ブログ

 参加者の年齢層は20代前半からおそらく40代まで、一見したところ30代が多そうでした。昼夜ともに若い俳優がほとんどですね。おもに映像分野で活動されている方、舞台で活動されている方、モデルやダンサー経験のある方など、参加者の経歴はいろいろ。
 ボブさんのワークショップを受けたいと願っていた方、『BENT』に感動した方、『Angels in America』という戯曲に興味を持った方、今の自分の俳優活動に疑問を持っている方、ワークショップ参加者から刺激を受けたい方、the companyの舞台に立ちたい方・・・などなど参加した動機はそれぞれですが、真剣さは同じでした。

 そもそも約2週間のまとまった時間を確保することは、今の社会では誰にとっても簡単なことではありませんし、10万円というのも決して安い買い物ではありませんよね。この真剣さは、もしかすると切実さから来ているのかもしれないとも思いました。

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Robert Allan Ackerman Workshop 2007

 1人ずつがぽつりぽつりと正直な気持ちを語っていく度に、部屋に新しい感情が生み出され、関係が生まれました。人間の気持ちがうごめいて、共鳴しあって、それらが満ちたり引いたりを繰り返します。あまりに豊潤なコニュニケーション空間に酔いそうな気分になるほど。
 その1人1人に対して、ボブさんは優しく丁寧に気持ちを返していかれます。途中で大切な話題が出ると、それについて詳しくお話をされました。

 下記、私がメモしたボブさんの言葉です(意訳してる部分もあります)。ワークショップのさわりを紹介する程度にしかならないですが、俳優という職業の素晴らしさを、少しでも実感をともなう情報として伝えられたらと思います。

■ボブさんの言葉■
 「どんな小さなゴール(目標)でもゴールを持つことが大切です。目的を持って、ひとつでも達成して持って帰って欲しい。正しい研鑽を積めば、俳優は自分で自分を演出することができるようになるはずです。その手がかりを持って帰って欲しい。」

 「俳優とは英語でactor。これはactionと同じ言葉です。アクションという言葉は受動的(passive)の反意語。俳優は能動的に働きかけることをし続けて欲しい。」

 「本(戯曲)の読み方を学ぶことが大切。俳優にとって本はいのち(life)です。」※英語のlifeには命、生命、人生などの色んな意味があります(通訳より)。

 「演技は信じられることが大切。真実(true)であることが最も大切なことです。つまり俳優の仕事とは、真実(truth)を追究すること。」
 「俳優が自分の頭で考えてしまうと、それは真実ではなくなります。『考えること』のスイッチを切る唯一の方法は、『聞くこと』。舞台の上で聞くことだけをやれるようになることが大切です。でもそれには、おそらく何年もかかります。」
 「『良い演技の最大の敵は自意識である』と言った俳優が居ました(おそらくTom Hanks)。私もその通りだと思います。」

 「『演技』とは何でしょうか?自分でないものを生きること。他人になること(to become other person)。つまり、それはキャラクター(character)です。」
 「リアルに近づけるのが俳優の仕事。でもそれは決してリアル(本物)ではない。あなた自身ではない。つまりキャラクターですね。」

 「俳優にとって最大、最強の道具であり武器とは何ですか?俳優にとって最も有益かつ有効な道具であり武器であるものとは?」
 「それは想像力(imagination)です。俳優にはそれを意識的に使って欲しい。想像力に栄養を与えて、育ててください。想像するために必要なのは調査すること(research)。調べるためにあらゆる手段を使って、能動的に働いてください。それがWorkshopです(workは「働く」という意味)。」

 「私は皆さんを審査するために居るのではありません。皆さんを導くために、手助けするためにここに居ます。」
 「私は俳優が、俳優という生き物が、本当に大好きなんです。だって彼らは(あなたたちは)勇敢だから。」
■以上■

 薛珠麗さんの通訳も素晴らしかったです。ボブさんの言葉を参加者に伝えるのはもちろん、参加者の言葉も一言も逃さず、感情もすべて盛り込んでボブさんに伝えてらっしゃいました。愛情なくしては出来ない仕事だと思います。

講師:ロバート・アラン・アッカーマン(Robert Allan Ackerman) 通訳:薛珠麗 主催:the company
昼(13:00~16:30?)/夜(17:00~20:30 ※ほぼ退館時間まで)
公式サイト:http://www.thecompany-t.com/
公式ブログ:http://blog.thecompany-t.com/
紹介ページ1:http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0916173533.html
紹介ページ2:http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/1026115959.html

※注意を払って記事を掲載していますが、正確な情報は公式サイトでご確認ください。
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Posted by shinobu at 2007年11月15日 13:36 | TrackBack (0)