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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年11月14日

新国立劇場演劇『異人の唄ーアンティゴネー』11/14-12/02新国立劇場 中劇場

 ギリシャ悲劇を題材にした「三つの悲劇」三部作の第3弾。この作品でシリーズ完結ですね。『アルゴス坂の白い家-クリュタイメストラ-』、『たとえば野に咲く花のように』に続いて初日に伺いました。

 う~ん、私には演出意図がよくわからなかったかも・・・。上演時間は約2時間20分(途中休憩を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『異人の唄ーアンティゴネー

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 元旅芸人である淀江宍道(すまけい)と姪のアン(土居裕子)とメイ(純名りさ)は、ある漁村に身を寄せていた。奇跡を唄ったと言われる伝説の唄い手淀江サトの血を引く娘たちにも関わらず、叔父の宍道は唄をきつく禁じていた。行方不明の父母を待ちながら、認知症の宍道の面倒をみてこの地で果てようとする姉のアンと対照的に、妹メイはそんな生活から抜け出したいと歌手デビューをめざしていた。そんなメイの前に音楽会社のプロデューサー水上辰(小林十市)が現れ、社長である水上正悟(木場勝己)と会うことに・・・。
 ≪ここまで≫

 今回の舞台は土でできていました。中央に丸くて平たい部分があり、その周りはぐるりと土の山が囲んでいます。砂浜みたいだし、砂漠みたいだし、月面のクレーターみたいだし。3階建てのヤグラが寂しくそびえ、がらんとした印象。

 暗くておどろおどろしい空間で突然に大きな音が鳴ったりする、鐘下辰男さんらしい演出でした。でも何を一番大切にしているのかがよくわかりませんでした。
 たとえば音楽が流れる度に「え?こんな音なんだ?!」と意外に思いました。種類がさまざまで一貫していないんですよね。それは音響、照明、衣裳、ダンスや演技などなど・・・全体について感じました。

 井手茂太さんの振付で動くコロスの男たち8人は、まさにギリシア悲劇の「コロス」的な存在で、ちょっと新鮮でしたね。島の住民だったり、神の声だったり、カラスの鳴き声がバックに鳴っている時は死者になったり。でもダンスは作品に合ってるのかどうか、全然わからなかったな~。

 前半はついていけず。後半は言葉でしっかり説明してくれるので「あぁ、なるほど~」と興味を持ってお話を聞いていられました。
 終盤のあるシーンで待ちに待っていたことが起こり、スっと納得。あのシーンのおかげでギリシア悲劇だということがしっくり来ました。

 これでシリーズの3作品を全て観たことになります。ものすごくバラエティに富んだ作品群だったな~(笑)。ギリシア悲劇という1本の道にこれだけ毛色の違うものが乗っかるんですから、演劇って多様だと思います。

 ここからネタバレします。

 土居裕子さんと純名りささんが歌を歌うシーンがあったんです。もーほんとに終わりの方で。これがすっごく美しかった。歌詞も「わたしたちはどこへ行くのか」的なもので、メロディーも民俗音楽のような歌い上げるタイプで、しかもアカペラ。聞き惚れました。地球のどこかから宇宙のどこかへ、空間も無限に広がっていきました。歌の力は偉大ですね。

「三つの悲劇」ーギリシャからVol.3
出演=土居裕子/純名りさ/木場勝己/小林十市/すまけい/石本興司/山﨑秀樹/平松ゆたか/若松力/安倍健太郎/酒井和哉/野口俊丞/前田一世
作=土田世紀 脚色・演出=鐘下辰男 美術=島次郎 照明=中川隆一 音楽=久米大作 音響=井上正弘 衣裳=小峰リリー ヘアメイク=佐藤裕子 振付=井手茂太 歌唱指導=伊藤和美 演出助手=若月理代 舞台監督=白石英輔 総合舞台監督=矢野森一
【休演日】11/19、26 【発売日】2007/09/24 S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 ※料金は消費税込みです。Z席=1,500円/当日学生券=50%割引(公演当日のみボックスオフィスとチケットぴあ一部店舗にて販売。1人1枚、電話予約不可。詳しくはボックスオフィスまでお問い合わせください。)※「三つの悲劇」3作品特別割引通し券あり
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000034.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2007年11月14日 23:41 | TrackBack (0)