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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年11月18日

柿喰う客『傷は浅いぞ』11/14-26王子小劇場

 中屋敷法仁さんが作・演出(出演も)される柿喰う客。「T★1演劇グランプリ決勝大会・お台場SHOW-GEKI城」出場団体です。来年1月にはシアタートラムでの公演もあります。大忙しっ!

 王子小劇場での2週間公演は、日替わり演出やポイントカード企画などイベントが盛りだくさん。私が観た回はポスト・パフォーマンス・トークがありました。上演時間はたぶん1時間20分ぐらい。

 柿喰う客・史上初の追加公演が決定したそうです。
 11月24日(土)14:00~
 初回にもらえるポイントカード持参でリピーター割引(チケット代は800円)あり。※予約はできません。

 ⇒CoRich舞台芸術!『傷は浅いぞ

 ≪あらすじ≫
 売れっ子アイドルを目指すアユミ(深谷由梨香)は、生放送中に大失態をしでかして仕事が激減。しかし落ち目の彼女にも救いの手が!あるバラエティ番組への熱烈な出演オファーが来たのだ。しかしマネージャー(玉置玲央)は必死で出演を辞めさせようとする。なぜかって、その番組は・・・。
 ≪ここまで≫

 シンプルな円形の八百屋舞台。かなりの急勾配です。黒い空間でカラフルな衣裳の4人の役者さんが、大きな声で早口でしゃべって、走るし飛ぶし回転します(笑)。かなりの運動量ですしセリフも膨大で、ボリューム感のある4人芝居です。客席にぎゅんぎゅん直接的な熱さが伝わってくる、ちょっと懐かしい感じがする作品でした。作風は80年代の小劇場演劇に近いのかもしれません。

 客席に向いてガチっとポーズしながら叫ぶようにセリフを語っても、日常的な体の状態で現代口語のセリフを静かにこぼしても、そこから生身の人間の本気が伝わってくれば私は感動すると思うんですよね。スタイルに新鮮さがあろうがなかろうが、そこは変わらないと思います。だから今回の作品も特に古いとか新しいとかについてはあまり気になりませんでした。

 でも前回の『性癖優秀』に比べると、伝わってくるものがちょっと少なめだったかも。私がテレビ業界のお話にあまり惹かれないからかもしれませんが。
 タイトルにあるとおりテーマは“傷”でした。加速・過密化してくるストーリーと同様に、感情も深く濃くなっていき、恐ろしいところ(生々しい傷にまつわるシーンなど)はもっと恐ろしくなってくれたらいいな~と思いました。出演者が少ないですから、それぞれへの負荷が大きいですよね。長い公演ですので回を重ねるごとに進化していくことと思います。

 ここからネタバレします。

 自分がアイドルになれなかったためにアイドルいじめ番組を制作する、鬼プロデューサー・太刀花役のコロさんが素敵でした。

 番組の内容は、大食い競争でアイドルにゴキブリ入りモナカを食べさせるとか、クイズに不正解すると水深4mプールに落ちるんだけど、そのプールには水が入ってないとか、ありえない(笑)設定でした。なのに勝ち進んでしまうアユミと、彼女に敵対心を抱く太刀花との戦い。

 最後は夢落ち的なエンディングだったような。よくわからなかったですが。荒唐無稽なお話なので終わらせ方は難しいのかもしれません。個人的には小さく納まらず、広い世界にイってしまって欲しかったな~。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 覚えていることのメモ。

 出演:中屋敷法仁、玉置玲央、田中沙織(司会)

 中屋敷さんは脚本家、演出家、役者、劇団主宰、キャスティング・ディレクター、プロデューサーなど、柿喰う客において何役もこなしてらっしゃるそうです。しかも中屋敷さんの中で1役ごとに独立人格になっているとか。

 中屋敷「脚本家・中屋敷は、脚本が完成して演出家・中屋敷の手に渡った時に、死にます(笑)。だから脚本を書く時は演出のことは考えないし、演出を始める時は脚本を書いていた頃のことはすっかり忘れます。」
 中屋敷「今回は劇団主宰・中屋敷が“劇団員だけの公演をしたい”と思い、脚本家・中屋敷が“4人芝居を書きたい”と思ったため、劇団員の中からキャスト・オーディションをすることになりました。そして演出家およびキャスティング・ディレクターの中屋敷がこの4人をキャスティングしたんです。だからキャスト発表をした時、役者・中屋敷はものすごくへこみました(笑)。」

 自称演劇ヲタクの中屋敷さんの今後が楽しみです。

第11回公演
出演=七味まゆ味、深谷由梨香、玉置玲央、コロ
作・演出 中屋敷法仁 舞台監督:本郷剛史 舞台監督助手:佐野功 舞台美術:世多九三 音響:上野雅(SoundCube) 音響操作:佐藤春平(SoundCube) 照明:富山貴之 衣裳・小道具:半澤敦史 演出補佐:高木エルム 映像制作:高橋希望 記録映像:山川亨平 記録写真:渡辺佳代 宣伝美術:山下浩介 制作:田中沙織
前売券 2,200円 当日券 2,500円 学生券 2,000円(要予約・要学生証提示) 団体券 5,400円(要予約・3名様でご来場のお客様対象) 「早期割引」前売1,800円/当日2,000円
http://kaki-kuu-kyaku.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2007年11月18日 23:58 | TrackBack (0)