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2007年11月27日

猫田家『ミーコのSFハチャメチャ大作戦~ベルンガ星人をやっつけろ!~』11/21-12/02アトリエヘリコプター

 猫田家tsumazuki no ishi所属の猫田直さんがプロデュースする演劇ユニットです。
 佃典彦さんの新作を岩井秀人さんが演出する、小熊ヒデジさんと猫田直さんの2人芝居ですから期待も高まります。

 チケット代が1000円とお得なプレビューは、剥きたてのゆでたまごみたいな、ぷるぷる・ひりひりした風合いでした(笑)。芸達者な出演者が揃った長い公演なので、終盤に向けてかなりの変化が見込めそうですね。

 ⇒公式ブログの舞台写真
 ⇒シアターガイド特集
 ⇒CoRich舞台芸術!『ミーコのSFハチャメチャ大作戦~ベルンガ星人をやっつけろ!~

 ≪あらすじ≫
 SSTはミーコ(猫田直)、ヒデ(小熊ヒデジ)、キンちゃんの3人組バンド。いわゆる一発屋でヒット曲は「夏の小さな三角形」だけ。今はキンちゃんがいなくなって、ミーコとヒデの2人だけで活動をしている。しょぼしょぼムードでツアーに出かけた2人は、長野県松本あたりのオニコベという村で奇怪な出来事に遭遇してしまう!
 ≪ここまで≫

 空き缶で額縁を飾った少々寂しげな舞台。ダンボール製の小道具がへなちょこ感をさらに増長します。
 上手脇には古代ギリシア人風の衣裳をまとった“演劇の神様”(安部康二郎)が鎮座し、わたわた・こまごまと働いているのがスパイシー。

 タイトルどおり“ハチャメチャ”な脚本でした(笑)。小熊さんと猫田さんにあて書きされたものでしょうね。普通に演技をしていてもちょっと濃い味なお2人が(笑)、技巧的な演技もするので、途中で何度も煙にまかれました。
 「いったいこの先どうなるの?」というストーリーの顛末への期待などはすぐに吹き飛んで、「この状況からどういう世界を作るつもりなんだろう?」と、作品の全体像を探る気持ちで観ることになりました。

 最後はぐるりんっと大きくくるむように、演劇ならではの演出でまとめてくださったように思います。ぞくっと寒気がするような、ちょっと怖い空気も感じました。

 「夏の小さな三角形」って曲は・・・すごい歌詞でした(笑)。さわやか路線でもの悲しげなメロディーも、コテコテで楽しめました。

 ここからネタバレします。

 あらすじ:地球征服をたくらむベルンガ星人に体をのっとられたヒデがミーコを襲う!・・・と思いきや、それは精神を病んで入院中のミーコの妄想だった。キンちゃんも失踪したわけではなかった。ミーコに横恋慕していたヒデが、嫉妬に狂ってキンちゃんを殺していたのだ。・・・というのはすべて、SSTのライブのMCネタとして上演された芝居だった。チャンチャン。
 ・・・というお話も「舞台で今演じられたお芝居なんですよ」と全てを入れ子構造にする演出が、最後に用意されていました。

 開演して数分後に制作さんが「これで終了です」と終演の挨拶を始めます。すると客席から1人の若い男性が「もう終わり?!それはないでしょ!」とクレームを言いつつ舞台の方に出てくるのです。
 開演前に「上演時間は90分です」と説明されていたので、それが演出であることは明らかですが、制作さんの話し方やサクラの役者さん(坂口辰平)の出てくるタイミングなどがとても曖昧(というか絶妙)で、ハラハラしちゃいました(苦笑)。
 「あぁ、仕込みなんだな」とわかってからも、坂口さんが、なんともとらえどころのないの話し方(脱力してるような・してなような、アドリブのような・そうでないような)をするので、引きつづき先が読めない状態に陥りました。完全に“してやられた”ってことなのでしょう。

 “演劇の神様”が照明・音響のオペレーションから小道具・大道具の移動、衣裳着替えまで全部を手伝います。あたふた困ったように動き回るのが滑稽で可愛いし、常に外側から作品を眺める存在として君臨しているのは大胆で面白い演出です
 “演劇の神様”は、最後の最後にヒデのギターを奪ってミーコのマイクも片付けてしまいます。“演劇の神様”から“神様”(=運命)になったのかなと想像しました。

 「夏の小さな三角形」歌詞:夏は私のビキニが小さい三角形/くちびるは小さな三角形/など

出演:小熊ヒデジ 猫田直 安部康二郎 坂口辰平(ハイバイ)
脚本:佃典彦 演出:岩井秀人 舞台監督:田中翼 美術:小林奈月 照明プラン:松本大介(enjin-light) オペ指導:富所浩一 音響:荒木まや(ステージ・オフィス) 宣伝美術:田岡一遠 宣伝写真:山崎のりあき 作詞:中原ミーコ(SST) 作曲:ヒデ(SST) 小道具:坂口辰平(ハイバイ) 衣装協力:永井若葉(ハイバイ) 制作:原田瞳(tsumazuki no ishi) ラインプロデューサー:赤沼かがみ プロデューサー:猫田直 企画/製作:猫田家
【発売日】2007/10/22 前売2,800円 当日3,000円 全席整理番号付自由席 ※但し21日のプレビュー公演は、限定50席 1,000円!(HPでのみ取扱い)
http://tsumazuki.com/necotake/

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2007年11月27日 21:07 | TrackBack (0)