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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2007年07月23日

劇団ダンダンブエノ双六公演『砂利』07/21-31スパイラルホール

 ダンダンブエノは近藤芳正さんを中心に結成された劇団です(過去レビュー⇒)。

 脚本:本谷有希子、演出:倉持裕という組み合わせに、主演が坂東三津五郎さんという豪華公演。びっちり満員のスパイラルホールでした。上演時間は約2時間10分(休憩なし)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『砂利

 ≪あらすじ≫
 北の地方のとある民家。男2人兄弟(坂東三津五郎&近藤芳正)が一緒に暮らしている。兄の身重の妻(田中美里)と肺病持ちの居候(山西惇)も同居していて、質素ながらも平和な生活が営まれている・・・ように見えるが、実は父親が死んでから、兄は“空っぽ”になってしまっていたのだ。
 ≪ここまで≫

 前半は「坂東三津五郎がこんなこと、あんなことヤっちゃうから面白い」みたいなムードを盛り上げているような気がして、ちょっと入って行きづらかったんですが、片桐はいりさんが登場して坂東さんと対話する頃からグっと面白くなりました。

 本谷有希子さんの脚本はやっぱり狂ってて面白いな~と思い、その脚本をイイ大人がはしゃぐエンタメ作品に仕上げた倉持さんも素敵だな~と思いました。ただ、私の好みの作風ではなかったですが。

 ここからネタバレします。

 心が空っぽの男(坂東三津五郎)とか、痛いと思った気持ちを箱の中にいれる男(酒井敏也)とか、誰かをダシにして暇を潰さないと生きていけない男(山西惇)とか、それぞれにおかしな性質をもった登場人物ばかりでしたね。でも深刻になりすぎず愛嬌があるので、好きになれるキャラクターばかりでした。

 「空しい!」とさけびながら砂利の上で地団太踏むのがすっごく良かったな~・・・。「全く何もない」と感じた時、そこから「空しい」っていう感情が生まれちゃうんだから、人間って可愛いですよね。
 必死で隠そうとしていた(酒井敏也さん演じる男の)箱の中身が実は“空っぽ”でした。ラストは箱の中に入っていたさまざまな“感情”が一気に外に飛び出して、男(坂東三津五郎)がそれを全身で味わっているように見えました。

 面白くなったり、怖くなったり、可愛くなったり、色んな存在に変化していらした、片桐はいりさんが素晴らしいなと思いました。

≪亀有、水戸、岐阜、愛知、山口、東京≫
出演=坂東三津五郎、田中美里、片桐はいり、酒井敏也、山西惇、近藤芳正
脚本=本谷有希子 演出=倉持裕 美術=松岡泉 照明=清水利恭(日高舞台照明) 音響=高塩顕 衣裳=今村あずさ 演出助手=山田美紀 舞台監督=村岡晋 宣伝美術=タカハシデザイン室  宣伝写真=清水博孝 宣伝=吉田由紀子 制作=藤野和美 制作協力=トータルステージプロデュース、トップシーン プロデューサー=近藤芳正 企画=劇団ダンダンブエノ 『砂利』オリジナル・サウンド・トラック=ハンバート ハンバート
【発売日】2007/05/06 前売6500円 当日6800円(未就学児童の入場不可)
http://www.dandanbueno.com/

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NEVER LOSE『廃校366.0【後日譚】』07/18-22東京芸術劇場小ホール1

 「CoRich舞台芸術まつり!2007春」の最終審査10団体に選ばれたNEVER LOSE『廃校366.0【後日譚】』の東京公演です。名古屋から東京へのツアー最終日に伺いました。

 メインのキャストが1人増えていたのがわかりやすい変更点でしょうか。名古屋公演のレポートはこちら(劇場写真などあります)。

 CoRich舞台芸術!⇒『廃校/366.0【後日譚】

 会場ロビーには公演の劇評などをまとめたファイルが置いてあり、自由に閲覧できるようになっていました。名古屋公演同様、会場でのホスピタリティおよび広報が行き届いていますね。春に名古屋でお会いした方々に、池袋でお会いできたのも嬉しかった。

 千種文化小劇場とは打って変わってプロセニアム(額縁舞台)の東京芸術劇場小ホール1。装置はほぼ同じで、やはり美しい空間でした。枯れ木が天井から垂れ下がり、散った桜の花びらがステージいっぱいに敷き詰められています。

 音楽が鳴るタイミングや大きさなど、音響効果の面での独自色が自在に出せていたんじゃないかと思いました。また、役者さんもリラックスして存在していたように見えて、長期間の企画ならではの落ち着きがあったように思います。

 2度観てあらためて感じたんですが、乱暴な言葉がよく出てくる脚本ですよね。なにかと「バカ」って言うし、怒鳴るし。「そういう言葉を話す人たちなんだ」と思うよう心がけたんですが、個人的に受け入れづらく、人物を愛するまでは行けなかったです。
 怒鳴り声がつらかったな~・・・。「なぜここで、こんな声で、いきなり怒鳴るのだろう?」という疑問が湧きました。役者さんの演技の質感にもよるのだと思います。私が観た回が特にそう感じるような演技だったのかもしれません。千秋楽でしたしね(私は千秋楽が苦手なのです)。

 ノリのいいロックの音楽と、無音の時間の対比がNEVER LOSEの特徴なのかなと思いました。これは好みが分かれるところだと思います。私は無音の時間が強調されすぎて、ちょっと引き気味になっちゃいました。

 ここからネタバレします。

 ストーリーについては名古屋で観た時と同じところで腑に落ちませんでした。殺人事件の現場にいた教師が今もその建物(廃校になった学校)の管理人をやっていること、「帰る」と言って去った人が何度も戻ってくることなど。これは仕方が無いので今回は気にしないように拝見しました。

 「帰る」とふてくされて去った人がなぜか戻ってくると、主人公のケンジ(谷本進)がぶっきらぼうに謝ります。それに対して怒鳴って返すんですよね(例:ケンジの妻)。このような、すぐに怒鳴って返答するという会話が受け入れづらかったです。

 最後はステージの下の蛍光灯が光って祝祭ムードになりました。やっぱりこの装置はきれいだと思います。

≪名古屋、東京≫
出演=谷本進/山本祥子/長谷川弘樹/戸枝政志/川渕優子(shelf)/舘智子(タテヨコ企画)/好宮温太郎(タテヨコ企画)/西山竜一(無機王)/代田正彦(北区つかこうへい劇団)/藤井義浩(P in uncH)/砂原かづき/フタヲカルリ/松本信一
作・構成・演出=片山雄一 舞台監督:佐藤恵 松下清永+鴉屋 舞台監督助手:柴田頼克 舞台美術:杉山至+鴉屋 照明:池田圭子 音響:飯塚ひとみ 音響協力:EAGLE SOUND 衣装協力:摩耶/JAM HOME MADE & ready made/MAMORU SHIMIZU anglasad/EMMETT BROWN 楽曲提供:POUND ROCK/GOOFY'S HOLIDAY/PATHFINDER  宣伝美術:オクマタモツ チラシ写真:西岡真一 写真撮影:ワタベマユミ WEB制作:櫻井晋 制作:松丸琴子 共同制作:矢野靖人(shelf) 主催:NEVER LOSE 
日時指定、全自由席、前売・当日券同一料金 一般3000円・学生2000円 小学生以下のお子様はご入場いただけません
名古屋公演公式=http://www.haikou.jp/index.php
東京公演公式=http://www.neverlose2007.info/
劇団=http://www.neverlose.jp/

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Posted by shinobu at 15:19 | TrackBack