2007年07月21日
子供のためのシェイクスピアカンパニー『夏の夜の夢』07/16-23東京グローブ座
大、大、大好きな子供のためのシェイクスピアカンパニー♪夏休みのお楽しみです。東京グローブ座に子供がいっぱいでした。
※過去作品のレビュー→2001年、2002年、2003年、2004年、2005年、2006年3月、2006年7月
『夏の夜の夢』といえばつい先日、新国立劇場で観たばかりだな~。
⇒CoRich舞台芸術!『夏の夜の夢』
オープニングがいつもと少し違ってて楽しかったっ!!上手な客いじりと演劇ならではの導入で、子供も大人もすっかり気持ちよくなって、『夏の夜の夢』の世界に入っていけました。雰囲気もすごく良かったんですよね。「好き」の気持ちが光って放射されているように感じて、こまつ座のオープニングを思い出しました。
シェイクスピアならではの長いセリフを1人で言うのではなく、黒マントの数人も含めて分けて語るのが良かったですね。とてもわかりやすかったし、子供でも飽きずに聞いていられると思います。
前半は面白かったんですが、後半はちょっと・・・。妖精のシーン(おもにパックとオーベロン&黒マント)は楽しかったのですが、御前芝居などの人間のシーンはあまりうまくいっていないように感じました。
いつも可愛らしい衣裳ですが、今回はちょっぴり疑問アリ。特にハーミアが履いていたピンク色のブーツは不恰好じゃないかな~。
ここからネタバレします。
最初からイエローヘルメッツが登場しました。工事現場の人々の会話に『夏の夜の夢』で御前芝居をする町人のセリフが混ざってきたかと思ったら、パックがひょっこり顔を出し、徐々に現実から離れた世界へと連れて行ってくれます。最初にパックの口上があったのも素晴らしかったですね。
ハーミア(キム・テイ)、ライサンダー(土屋良太)、ヘレナ(伊沢磨紀)、ディミートリアス(戸谷昌弘)のシーンが笑えない作りになっていたのが意外でした。そういう意図だったのでしょうけど、私の好みではなかったですね。ヘレナが深刻に暗いキャラクターで、伊沢さんの演技も真に迫ったものだから、どうしても気持ちが落ちる方向にいきます。人間たちの醜い戦争を表しているのかな~と思いました。「人によって幸せがこうも違うとは」という言葉は良かったです。
御前芝居のシーンは、シーシアスとヒッポリータなどの観客がチャチャを入れて、原作どおりに劇中劇の入れ子構造を生かす方がいいんじゃないかな~と思いました。ドタバタなだけではちょっと退屈しちゃうんですよね。
パック役が大内めぐみさんだったことにプチびっくり。だってヘレナかハーミアかと思ってたんですよ~。笑顔の輝きと澄んだ声が素敵でした。
≪埼玉、茨城、東京、香川、大分、茨城、山口、福岡、三重、愛知、神奈川、滋賀、韓国≫
出演=伊沢磨紀、福井貴一、佐藤誓、山口雅義、戸谷昌弘、土屋良太、キム・テイ、大内めぐみ、山崎清介
脚本=ウィリアム・シェイクスピア 演出=山崎清介 照明=山口暁 音響=角張正雄 衣裳=三大寺志保美 演出補=小笠原響 舞台監督=堀吉行 主催=華のん企画
【発売日】2007/05/07S席4800円(1,2階席) A席4000円(3階席) 子供3000円(中学生以下・各席同料金) ジーンズシート(学生割引)3500円 ※当日のみ取り扱い(要学生証)・3階両脇各回10席
http://homepage1.nifty.com/j-ishikawa/c-ro.html
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【情報】「T★1演劇グランプリ」申し込み締め切りは7/24(火)!
TOKYO★1週間7/3号
フジテレビ・TOKYO★1週間・こりっちによる「T★1演劇グランプリ」の公募が始まっています。
「CoRich舞台芸術まつり!2007春」は公募締め切り日にアクセスが殺到しました。参加を検討されている団体の方には、お早めのご登録をお薦めします。
★ただ今の応募総数は37団体。締め切りは7/24(火)です!
第1次審査(8/3結果発表)で選ばれた20団体が第2次審査(観劇審査・脚本審査)に進み、その中から約10団体がフジテレビ社屋にあるマルチシアターで行われる決勝大会「お台場SHOW-GEKI城」へと進出します。
本広克行監督がお薦め劇団を紹介する連載
※フェスティバルの詳細は公式サイトをご覧下さい。
※「お台場SHOW-GEKI城」の内容に関するお問い合わせについてはTOKYO★1週間編集部(03-5395-3474)までお願いします。
私は第1次審査と第2次審査の審査員をさせていただきます。大手マスコミの方々が演劇に興味を持たれ、支援してくださることを嬉しく思い、微力ながらお手伝いさせていただくことになりました。
昨年の「お台場SHOW-GEKI城」に出場した団体の中には、お台場での公演がきっかけで執筆や出演の仕事につながった方もいらっしゃいるそうです。ご興味のある方は、ぜひ応募してみてください。
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ブラジル『天国』07/18-22ザ・ポケット
ブラジリィー・アン・山田さんが作・演出されるブラジル(過去レビュー⇒1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12)。ご縁があって4年前から拝見してきました。今回の『天国』は色んな作風を経てここに到達したんだな~と感じられる作品でした。「ブラジルの演劇」としての成熟を見せていただけた気がします。
上演時間は2時間・・・より短かったような。すみません、うろ覚えです。
⇒CoRich舞台芸術!『天国』
≪あらすじ≫
自動車工場で働く男たちが美人女将(山田佑美)目当てに毎晩のように通う居酒屋。厳しい肉体労働に耐える男たちには、それぞれに人には言えないワケがあるようだ。女将にもどうやら秘密があるようで・・・。
≪ここまで≫
まず、リアルな舞台装置にプチびっくり。絵に描いたような居酒屋です(絵じゃないけど)。
身体をはったアクロバティックかつアドリブ的な演技・演出と、綿密に練り上げられた脚本とが組み合わさっていることに、ブラジルのオリジナリティを感じました。「わぁ、そうなるんだ~♪」と何かが起こる度にその面白みを味わいました。
前作『恋人たち』では役者さんの個性と個性のぶつかり合いが目玉の一つでしたが、今回は役者さんの息を合わせたアンサンブルを楽しめて嬉しかったです。
たとえば幕開け最初の、居酒屋で安酒をあおりながら、とりとめもないことをしゃべって笑うブルーカラーの男たち・・・というシーンがすごくリアルで、一瞬でその世界を信じることができました。
先の見えない男たちの吹き溜まりのような場所で、暗い話題ばかりがのぼるのに、常に明るくおどけたムードがありました。また、悲惨な状況におかれた登場人物みんなを愛することができました。
最後のひとことと、その幕切れのあっけなさが素敵。
ここからネタバレします。
マコト役のこいけけいこさんはモデルもしていらっしゃる背が高い女優さんです。ほかのキャストとの対比のためにか、さらに背が高く見えるワンピースを着て、ハイヒールを履いているのがあからさまで面白かったです。
元野球選手のコウサカ(諌山幸治)が「インターネットっ!!!」って叫んだのが可笑しいし悲しいし。
金を持って逃げた女将をサトウ(西山聡)が追わなかったのが良かったです。「追いかけても・・・」と言ってちょっと笑った西山さんの顔には、あきらめなのか安堵なのか、色んな気持ちが入り混じっていて、「あぁ、人間って可愛いな」と微笑ましい気持ちになりました。そこでサッと暗転して終幕したのもかっこ良かったです。
出演:辰巳智秋、西山聡、諌山幸治、若狭勝也、中川智明、山本了、山田佑美、こいけけいこ、本間剛
【脚本・演出】ブラジリィー・アン・山田【照明】シバタユキエ 【音響】島貫聡 【舞台監督】主侍知恵(HOZO) 【舞台美術】仁平祐也(HOZO) 【衣装】中西瑞美 【宣伝美術】川本裕之 【宣伝写真】名鹿祥史 【演出助手】岡崎貴弘(アンティークス)・伊藤雅典(劇団ガンダム) 【票券管理】スギヤマヨウ(QuarterNote) 【制作】恒川稔英・池田智哉(feblabo)・ブラジル事務局
【発売日】2007/06/16 前売2,800円 当日3,000円 ※初日・平日マチネ割引 前売/当日2,400円(全席指定)
http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
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