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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年01月14日

劇団鹿殺し『2008改訂版・百千万(ももちま)』01/11-21駅前劇場

 大阪から東京に拠点を移したばかりの頃は、劇団員が一軒家に同居して路上パフォーマンスをしながら生活しているのが話題になった、劇団鹿殺し。新劇団員が増えて新体制になったようです。私は本公演を観るのは2度目です(関連過去レビュー⇒)。

 上演時間は2時間強。私が観た回は当日券が36枚も出たそうで、大入り満員でした。でも立ち見はなかったですね。まだ開幕したばかりなので今なら座れるぐらいの混み具合なのでしょう。

 「劇場へ行こう!~駅前劇場編~」に参加している公演です。DMに書かれたID番号があれば、参加団体のチケットを割引価格で予約できますよ♪これから上演されるMCR劇団フライングステージの公演が最低でも2割引!!(観たことがない団体に限ります)

 ⇒CoRich舞台芸術!『2008改訂版・百千万

 ≪あらすじ≫ CoRichより
 福井県美浜町の原発で事故が起こる。同じ年に生まれた少年、「エンゲキ」。彼の頭は肥大し、腸でぐるぐる巻きの体はがんじがらめの姿であった。
 母親は彼を産んですぐに失踪。父親は醜い息子「エンゲキ」を哀れみ、部屋に閉じ込めて育てる。
 しかし、ある日外に飛び出し鏡をのぞいた「エンゲキ」は自らの醜い姿を目撃。
 父親は言う。「外の世界など見なくてもいい。お前には何もできないのだから」
 「自分には何もできないのだろうか。なぜ自分が醜く、非力に生まれてきたのか、そのなぞを解きたい!」家を飛び出したエンゲキは不自由な体で長い長い旅に出る。旅の途中、さまざまな世界で力いっぱい生きる人々の姿に、生きること、一心に何かを突き詰めることの持つ力、メッセージを受け取り、、エンゲキは少しずつ、自分の中に芽生える野心や衝動を確認していく。はたして彼の長い旅路の果てにあるものとは何なのか……。
 ≪ここまで≫

 客席に向かって堂々と場面の説明をしたり、顔が白塗りだったり、水や食べ物がネタに使われたり、客いじりがあったり、全体的に私の好みではない作風です。もちろんお好きな方も大勢いらっしゃると思います。人気劇団ですものね。

 東京初の劇場公演に比べると、今回は元気さや、がむしゃらさが減り気味のように感じました。上京してからたった2年半ほどで新宿コマ劇場公演に脚本提供したり、スペース・ゼロで本公演を打ったりしていますから、こなれてきて当然なのかもしれません。でも、やっぱり荒削りなパワー全開なのが劇団鹿殺しの個性なんじゃないかな~とも思うので、ちょっと残念でしたね。

 映像のクオリティがとても高かったです。駅前劇場の広い間口いっぱいに広がって、お芝居ときっちり連動しているのは凄いですね。でも美術や衣裳などの質は(敢えて)低い目なので、アンバランスなのが少々気になりました。

 ここからネタバレします。

 “必要性が感じられない男性の裸体の露出”が個人的にかなり苦手な私ですが、『「銀河鉄道の夜」を演じる裸族たち」は受け入れられました(笑)。前張り芝居・・・(笑)。
 オレノグラフィティさんは若い男優さんならではの爆発力があるように思いました。鍛えられた身体もきれいですね~。

 魚の帽子を被ったシンガー・岸本啓孝さんの歌が良かったです。カニの“のんちゃん”役の谷山知宏さんもやり切ってくださって面白かった。

 チョビさんの衣裳が脳ミソがでっかい“エンゲキ”のまま、変化がなくて残念。へその緒を脱ぎ去る演出が欲しかったな~(勝手ですみません)。でも「(エンゲキは)頭頂部から見るとただれたキンタマに見える」は可笑しかった(笑)。
 チョビさんってハスキーヴォイスでワイルドな雰囲気もありつつ、コケティッシュでキュートなんですよね。そこが観たかったし、歌も聴きたかったな~。

 「想像力を働かせて・・・」というセリフが何度か出てきましたが、そうやって言葉にしてしまうことで、想像力の世界がしぼんでしまうように思いました。
 
劇場へ行こう!~駅前劇場編~ 参加作品
出演:菜月チョビ、丸尾丸一郎、オレノグラフィティ、橘輝、円山チカ、菅野家獏、坂本けこ美、佐藤輝一、しのだ藍郎、高橋戦車、傅田うに、道園遼一、山岸門人、岸本啓孝、谷山知宏(花組芝居)政岡泰志(動物電気)
作:丸尾丸一郎/構成:劇団鹿殺し/演出:菜月チョビ/劇中歌・チラシ・Web:李/舞台監督:佐藤恵・下井崇裕・杣屋昌洋/舞台美術:加藤まゆこ/照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.)/照明操作:吉村愛子(Fantasista?ish.)/音響:高橋秀雄(Sound Cube)/音響操作:楠瀬ゆず子/(Sound Cube)/衣装:赤穂美咲/映像:ムーチョ村松(トーキョースタイル)・西川友規・平野晶子/制作:遠山ちあき・内藤玲奈/制作統括:樺澤良/企画・製作:劇団鹿殺し/主催:オフィス鹿
【発売日】2007/11/24 前売り3,200円 当日3,500円
http://shika564.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 2008年01月14日 10:30 | TrackBack (0)