REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2008年01月15日

【写真レポート】赤坂RED/REVOLUTION第一弾『東京』最終オーディション01/10赤坂RED/THEATER

20080110_akasakaRR_entrance1.JPG
赤坂レッドシアター入口

 赤坂RED/REVOLUTIONは、全キャストをオーディションによって選定する、役者さんにとっても観客にとっても垂涎モノの企画です(⇒告知、⇒fringe blog記事)。

 第一弾『東京』の作・演出はTHE SHANPOO HATの赤堀雅秋さん。昨年上演された『その夜の侍』が岸田國士戯曲賞にノミネートされている、若手で最も注目されている劇作家・演出家の1人です。

 応募者総数はなんと600人以上!その中からキャストに選ばれるのは15人です。白熱の最終オーディションを取材させていただきました。

 ★結果は本日(1/15)、公式サイトで発表予定です!

 まず書類審査で600人から300人に絞られ、1/7(月)から1/9(水)の3日間の第2次オーディションで、最終オーディションに進む56名が選ばれました。2次では7人ずつのグループで実技審査があり、1グループにかけられた時間は約30分間だったそうです。1人につき4~5分ですね。

 『東京』には15人の登場人物がいます。最終オーディションでは1人の登場人物につき2人~6人の候補者が残っており、その役が登場するシーン(脚本3ページ分ぐらい)を候補者の数だけ繰り返すという、とても丁寧な審査でした。数人の会話シーンを演じるので、他の役柄についても候補者が交互に演じていきます。

akahori_kamiya.JPG
赤堀さん(左)と上谷さん

 赤坂RED/THEATERチーフプロデューサーの上谷忠さんからお話を伺いました。
 上谷「東京で公演を打とうとすると、まず劇場を予約するところから始めざるを得ないんです。劇場費などの公演経費を考えて、確実に集客が期待できる人気俳優をキャスティングします。そうなると、キャストに合わせて戯曲を選ぶ(執筆依頼する)場合も出てきますので、常に戯曲のための最高のキャスティングができるとは限りません。心苦しいところなのですが、それが現実です。また、集客を出演者に頼ったシステムというのは、必ずしも演劇界全体のためになるとは思えないんです。」

 上谷「今の若い人の芝居がものすごく面白くてね。今回のオーディションでも非常に個性が濃い(笑)、才能のある若者ばかりが集まってくれました。だからものすごくわくわくしてるんですよ!一緒に面白い芝居を作りたい。真面目に、普通に作って、それが評価されて、演劇の観客が増えてくれたらと心から願っています。お互いに磨きあって、演劇界を盛り上げていきたいです。」

audience1_small.JPG
オーディション中の客席風景

 オーディション会場は公演会場でもある赤坂RED/THEATERの劇場内。実技はステージ上で行い、審査をする作・演出の赤堀さんや今企画のプロデューサーさんらと同様、オーディション参加者も客席に座って待機します。だから、役を競い合う相手の演技も見るし、自分も見られている状態なんですね。
 特に1つの役の候補が2人しか残っていない場合は、何度も交互に舞台に立つことになりますので、あからさまに“比較”されます。オーディションのシビアさをひしひしと感じました。

 オーディション開始前に、赤堀さんは参加者に向けてこんなお話をされました。
 赤堀「この企画は希有なものだと思います。こんなに純粋に、演じることを追求して活動している方々にお会いできて、参加して心底良かったと思っています。このオーディションには何の政治も働いていません。実力至上主義で選ばれ方々ですから、自信を持っていただきたいです。ここまで来ると、もう芝居の上手い下手で判断できるわけではない状況です。戯曲も登場人物も決まっていますので、見た目やバランスで選ばざるを得ませんから。」

stage_3persons.JPG

 確かにどなたにもモーレツな(笑)個性があり、自然と目が引かれる方々ばかり。大きな舞台や有名劇団公演でお見かけする役者さんも多く、セリフをすべて覚えている方もいらっしゃいました。
 会場に張り詰めた緊張感にシビれつつ、スタッフと参加者の皆さんの真剣さもじわじわと体に染みて来ます。見学者の勝手な立場からだと、スリリングで快感でもありましたね。

 お昼過ぎから夜までべったり見学させていただいてわかったのは、登場人物の対話がさまざまなキャストで繰り返し演じられることで、『東京』という作品が具体的に立ち上がってくるという事実でした。赤堀さんがオーディション中に演出を加えると、それに応える役者さんの演技が新しい化学反応を生み出します。その度に私は、演劇の力がぐるぐると重みを持ってうねりながら、劇場空間にのぼってくるように感じました。

 お芝居は、ある確定した企画のもとに全スタッフが集結し、公演初日にはじめて観客の目に触れるのが一般的です。赤坂RED/REVOLUTION『東京』は、骨組みが形づくられる前から600人以上の演劇人によって注目され、4日間の壮絶なオーディションを経てはじめて企画が確定されました。今の東京では稀な創作過程を経たことになります。
 オーディション参加者をはじめ、このプロジェクトを立ち上げ実行している方々の勇気ある挑戦を目の当たりにして、大いに刺激を受け、元気ももらえました。一観客としても公演初日がとても楽しみです。

 赤坂RED/REVOLUTION
 『東京
 作・演出:赤堀雅秋(THE SHAMPOOHAT)
 日時:2008年3月13日(木)~3月23日(日)全13ステージ
 会場:赤坂RED/THEATER

赤坂RED/REVOLUTIONプロジェクトメンバー:上谷忠(J-clip) 伊藤達哉(ゴーチ・ブラザーズ) 山家かおり(Me&Her コーポレーション) 石井久美子(石井光三オフィス) 田窪桜子
http://www.tokyo-red.net/

※注意を払って記事を掲載していますが、正確な情報は公式サイトでご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 2008年01月15日 01:42 | TrackBack (0)