2008年01月11日
青年団『火宅か修羅か』12/21-01/14こまばアゴラ劇場
青年団の第55回公演は、平田オリザさんの岸田國士戯曲賞・受賞後第一作の再演です。私は初見。
やっぱり、無言の瞬間に涙がぼろぼろ流れました。上演時間は約1時間30分。
年末から始まった公演もそろそろ終盤。完売しそうですので、ご興味のある方はお早めにご予約を!
⇒CoRich舞台芸術!『火宅か修羅か』
舞台は海の見える老舗旅館のロビー。濃いこげ茶色の柱に和洋折衷の家具がおしゃれです。
2つの応接セットで、バラバラに会話が同時進行します。聞きづらくても、なんとなく話される内容を理解できれば良いと思っていれば、平気。それも青年団のお芝居の個性ですし、楽しめます。
ただ、自然な演技をされる中で、脚本に書かれた順番にセリフを言おうとしているように見えると、途端に興ざめしてしまうんですよね。これは仕方がないことかもしれませんが。
ここからネタバレします。
2人乗りのボートに同乗していた友人が溺死し、そのことが忘れられない男(古屋隆太)と、幼い頃に母親を事故で亡くした作家の三女(荻野友里)が、離れた場所から初めて一緒に話を始めた瞬間、その2人の間にある何が見えた気がして、涙が溢れました。
最後のシーンは「海の底で、たき火みたいに」というセリフ(正確ではありません)がありましたよね。人間の深い悲しみや怒りは、深海のごとき暗闇の恐ろしい静けさの中で、蒼く燃えているのだと思います。身体にじーんとしみる震えとともに、それを想像できました。そして自分も海の底に沈んでいるように感じました。
第55回公演 ≪東京、富士見市≫
出演:志賀廣太郎、兵藤公美、島田曜蔵、高橋縁、能島瑞穂、しんそげ、古屋隆太、鈴木智香子、古舘寛治、井上三奈子、大竹直、山本雅幸、荻野友里、堀夏子、村田牧子、山村崇子
作・演出:平田オリザ 舞台美術:杉山至 照明:岩城保 舞台監督:中西隆雄 桜井秀峰 衣裳:有賀千鶴 宣伝美術:工藤規雄+村上和子 太田裕子 宣伝写真:佐藤孝仁 宣伝美術スタイリスト:山口友里 制作:佐藤誠 野村政之 企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【発売日】2007/10/20 前売・予約・当日共一般=3,500円/学生・シニア(65歳以上)=2,500円/高校生以下=1,500円(日時指定・全席自由席・整理番号付き)
http://www.seinendan.org/
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。
【お知らせ】「CoRich舞台芸術アワード!2007」発表!
CoRich舞台芸術!にて「CoRich舞台芸術アワード!2007」の投票結果が発表されました!
第一位はなんと・・・!!
意外といえば意外ですが(だってあの劇団をおさえてる!)、幸運にも観劇することができた私としては納得でもあります♪
九州地区 特別企画の副賞は、ぽんプラザホール1週間無料使用権という豪華さ!それもあってか、九州の投票が強かったみたいですね。今年は他の地域も一緒に盛り上がれたらいいな~。
KAKUTA『目を見て嘘をつけ』01/10-16シアタートラム
桑原裕子さんが作・演出・出演されるKAKUTAの新作です。桑原さんは『甘い丘』で2007年度の岸田國士戯曲賞にノミネートされています。『甘い丘』もシアタートラムで上演されたんですよね。
前半はちょっとぎくしゃくしていましたが、KAKUTAならではの柔らかな悲しみを、全力投球の優しさから生まれる笑いとともに味わいました。何度か涙しました。上演時間は約2時間10分。
⇒CoRich舞台芸術!『目を見て嘘をつけ』
KAKUTAのお芝居を観に行くと、劇団員の皆さんの素直な歓待の気持ちが伝わってきて、まず嬉しさが込み上げます。なんというか、とても初々しい感覚が自分の中に戻ってくるんですよね。
そして開幕すると、ちょっと照れたような人の良い笑顔の中に、ひたひたと波打つ悲しみが見えてくるように感じるのです。悲しみを湛えた控えめな笑顔・・・素敵じゃないですかっ!
劇団員の方々の演技がとても良いので、客演の方の毛色の違いが気になってしまいました。私は声優さんの演技が苦手なので、ちょっと集中しづらかったですね。
ここからネタバレします。
筒井真理子さんがおそらく性同一障害であろう男(見かけは女)を演じるというのは、とても面白いアイデアだと思いました。そう思って筒井さんを見れば、そう見えるから演技って怖いですね(笑)。
舞台は海が見える田舎町のそば屋。エセ占い師の父親(内海賢二)と店を継いだ次男(若狭勝也)とその妻(大枝佳織)、自分探しでふらふらしている三男(松田昌樹)という家族構成です。そこに、外見はすっかり女性になった長男(筒井真理子)が帰省してきて、傷害事件を起こした次男の友人(成清正紀)も居候を始めます。
長男に死んだ母親の面影があることで、男家族の中に心にひっかかるものが生まれるのですが、母親の存在がよく見えなかったためか、あまりピンと来ませんでした。
シアタートラム ニューイヤーステージ
出演:筒井真理子、成清正紀、若狭勝也、原扶貴子、佐藤滋、川本裕之、松田昌樹、大枝佳織、高山奈央子、横山真二、馬場恒行、桑原裕子、内海賢二、大塚あかね、高橋里枝、ヨウラマキ
作・演出:桑原裕子 舞台監督:野口毅 舞台美術:横田修(タテヨコ企画)/袴田長武+鴉屋 照明:西本彩(青年団) 音響:島貫聡 選曲:真生 衣装:山崎留里子 宣伝美術:川本裕之 宣伝写真:相川博昭 演出助手:田村友佳・野澤爽子 制作助手:宮崎由 制作:前川裕作 企画・製作:K.K.T. 主催:財団法人せたがや文化財団 フリーステージ実行委員会
【発売日】2007/12/02 一般3,200円/当日3,500円 ★平日サービス公演2,700円 ※学生2,500円(KAKUTAのみ取扱い)友の会会員割引 3,000円 世田谷区民割引 3,100円
※柿喰う客、KAKUTA、冨士山アネット、reset-Nの4公演セット券9,700円(4公演各1枚同時購入、劇場チケットセンター電話予約&店頭にて前売のみ取扱い)
http://www.kakuta.tv/
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/01/post_96.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。