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2008年02月02日

華のん企画/(財)としま未来文化財団『チェーホフ短編集』01/26-02/03あうるすぽっと

 あうるすぽっとで山崎清介さんがチェーホフ作品を演出するシリーズの第一弾です。今回はマイケル・フレイン翻案『くしゃみ』の中から6本を上演。

 お友達に誘われたので当日券で伺いました。終演後のトークに出演されていた翻訳の小田島恒志さんが面白かった~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『チェーホフ短編集

 上演されたのは「ドラマ」「外国もの」「たばこの害悪について」「白鳥の歌」「熊」「プロポーズ」の6本。ん~、残念ながら全体的に私には退屈でした。チェーホフの作品だと思うと、ついつい会話の奥にあるものを期待しちゃうんですよね。
 「熊」が一番良かったです。ストレートな愛の告白とかに弱い(笑)。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:山崎清介(演出)/小田島恒志(翻訳)

 小田島恒志さんの翻訳作品はよく拝見していましたが、ご本人がお話するのを見るのは初めてでした。相打ちのような突っ込みが鋭くって、とっても面白かった(笑)。“ウィットに飛んだ会話”は、こういうところに生まれるのかもと思いました。

 ここからネタバレします。

 旅芸人の一座の設定はいらなかったんじゃないかしら。家族という枠組みで充分だったように思います。

~マイケル・フレイン翻案『くしゃみ』より~
出演:伊沢磨紀、佐藤誓、山口雅義、戸谷昌弘、三咲順子、山田ひとみ
作:アントン・チェーホフ 英訳:マイケル・フレイン 翻訳:小田島恒志 演出:山崎清介 照明:山口暁 音響:角張正雄 美術:松岡泉 衣裳:三大寺志保美 演出補:小笠原響 舞台監督:堀吉行 制作:峰岸直子  主催:華のん企画/(財)としま未来文化財団
【発売日】2007/11/26 全席指定 一般/5,000円(前売・当日とも) 豊島区民割引/4,700円 としまみらい友の会/4,500円 全て消費税込・区民割引・友の会はとしまみらいチケットセンターのみ取り扱い
http://www.owlspot.jp/performance/080126.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。

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Posted by shinobu at 22:49 | TrackBack

NHKシアター・コレクション'08/文学座『AWAKE AND SING!-目覚めて歌え!-』02/02-03 NHKみんなの広場ふれあいホール

 すぐれた舞台芸術作品をその再演と放送を通して広く紹介する「NHKシアター・コレクション'08」のトップバッターです。今月発行のメルマガでもご紹介しました。

 『AWAKE AND SING!』は1935年にニューヨークで初演、2006年トニー賞最優秀リバイバル賞を受賞した作品で、日本では約70年ぶりの上演だったそうです(⇒2006年文学座アトリエの会公演)。上演時間は約2時間弱。

 CoRich舞台芸術!『AWAKE AND SING!-目覚めて歌え!-

 ≪あらすじ≫ 文学座公式サイトより
 1930年代のアメリカ大恐慌。舞台は、ニューヨーク市ブロンクスにあるユダヤ人のバーガー家。一家の家長、父(マイロン)は、若き日の思い出に浸っては今の自分を憂いている気弱な男。母(ベッシー)は、息子(ラルフ)や娘(へニー)に口うるさい。ベッシーは、家庭の品位と威信をかけて、ラルフの恋人の電話を盗聴したり、ヘニーを無垢な外国人(サム)に押しつけたりしている。戦争で片足を奪われた友人(モウ)は、へニーに惚れ込んでいる。祖父(ジェイコブ)は、カルーソーの「夢の国」を説きながら社会主義変革を夢見ている。そして主人公のラルフは、真面目でロマンチストであるがゆえ、自分の現状に苛立っている。そんなバーガー家にも徐々に大恐慌の波は、打ち寄せてくる・・・。不況下のアメリカで意味のある人生を求めて苦闘する家族を描く。
 ≪ここまで≫

 非常にオーソドックスなスタイルの翻訳劇。色んな伏線が最後の事件につながるのですが、厚みが感じられなかったな~。私には退屈でした。

 拝金主義に侵される家庭という視点は現代日本と重なりますし、自分や自分の家族のことを振り返って考える時間が得られたのは良かったです。
 ベッシー(母)とベッシーの弟モーティが、実の父親(祖父ジェイコブ)をなじり、馬鹿にするシーンは観ていて胸が傷みました。そういうシーンがもっとあればなぁと思いました。

 ここからネタバレします。

 しんしんと雪が降り注ぐラストシーンで、わざわざ舞台中央にスポットライトまで当てて、そこに登場人物(息子ラルフ)を歩み進ませるのは、あまりかっこ良くない気がしました。

【出演(初演と同じ)】ベッシー(母):寺田路恵 マイロン(夫):塾一久 ヘニー(娘):松岡依都美 ラルフ(息子):田中宏樹 ジェイコブ(祖父):林秀樹 モーティ(アメリカ商人):田村勝彦 モー(戦争で片足になった男):高橋克明 サム(外国人):中村彰男 管理人:鵜澤秀行
作:クリフォード・オデッツ  翻訳:黒田絵美子 演出:上村聡史 美術:石井強司 照明:金英秀 音響効果:藤田赤目 衣裳:伊藤早苗 舞台監督:加瀬幸恵 制作:伊藤正道 主催:NHK、NHKプロモーション
全席指定¥2.500
http://www.nhk-p.co.jp/event/theater_collection/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:12 | TrackBack

【稽古場レポート】新国立劇場演劇研修所・第1期生修了公演『リハーサルルーム』02/01リハーサルルームD

20080201_RR3flyers.JPG
リハーサルルーム・ちらし

 新国立劇場演劇研修所(NNTドラマスタジオ)の第1期生修了公演の稽古場にお邪魔しました。⇒『リハーサルルーム』公演詳細 ⇒試演会
 1期生は日本初の国立の演劇学校(2005年開講)のはじめての卒業生になります。演出は前・新国立劇場(演劇)芸術監督で、研修所所長の栗山民也さんです。

 ⇒個性キラリ 羽ばたく「俳優の卵」 新国立劇場演劇研修所(産経新聞)
 ⇒CoRich舞台芸術!『リハーサルルーム』※東京公演は完売。福岡川崎公演もあります。

 初日は2/8(金)ですが、2/1(金)の時点でもう通し稽古は6度目!お稽古は早いペースでとても順調に進んでいるそうです。↓稽古場写真
RR_keikoba.JPG

 13:00から2時間弱の通し稽古の後、1時間ほどのフィードバック(ダメ出し)をしてから、最後のシーンを3度ほど繰り返してお稽古は終了。短時間でとても充実しているように感じました。空気がキリっと引き締まっていて、皆さんが気持ちを集中させているのが伝わってきます。でも、ムードはあくまでも柔らか。研修生の皆さんはとても仲良しで、お互いを尊重しながらもきちんと自立されているように感じます。若者らしいきらきらした輝きも保ちつつ、内側に熱さを秘めた静けさも身に付けられたように思いました。

 『リハーサルルーム』の舞台は東京近郊にある公共施設の稽古場。ゼロからお芝居を作り上げていくワークショップに集まった、15人の一般市民を描きます。“芝居”という嘘を演じていく中から、登場人物それぞれの背景が浮かび上がってくる現代群像劇です。

 通し稽古が始まってすぐに、奇妙な心持ちになりました。目の前でセリフをしゃべっている若者(研修生)の演技が、いわゆる“演技”には見えなかったからです。まるでその人物そのものがしゃべっているみたい。でもセリフを話しているのは明らかですから、“演技”には違いないはず・・・。
 私は瞬間的に「舞台上に居るのは一体誰なんだろう?」「私は何を(誰を)観てるんだろう?」と、今の自分が何をしているのかがわからなくなりました。でも、そんな不安と同時に体に押し寄せてきたのは、わくわくドキドキの得も言われぬ興奮(笑)でした。おそらく、今までに観たことのないタイプの“演技”が、生まれてぶつかり合うのを観たのだと思います。

RRflyer.JPG
リーハーサル・ルームDの入り口

 演出は「実は、まさに“今”を描いている現代劇を演出するのは初めてかも」とおっしゃる栗山さん。『CLEANSKINS/きれいな肌』『ミュージカル「火の鳥~鳳凰編」』などでも拝見してきましたが、稽古場での俳優への演出はとてもきめ細やかで、簡潔で的確なダメ出しにはいつもユーモアが溢れています。
 今作は現代の若者が同じ年頃の現代人を演じる、比較的シンプルな会話劇です。でもいわゆる「静かな演劇」ではなく、栗山さんならではのダイナミックな演劇的演出も観られそうです。

 どこまでが本当で、どこまでが嘘(芝居)なのかがわからない。それが演劇の醍醐味の1つですよね。『リハーサルルーム』は芝居作りの裏側を見せる作品なので、舞台上で起こる出来事が事実なのか演技なのかがわからなくなる面白さがあります。研修生の演技がその多重構造をさらに豊かなものにしており、一筋縄ではいかない作品になっていると思いました。

 稽古終了後は栗山さんをはじめ照明、音響などのスタッフの方々が打ち合わせをされていました。耳に飛び込んできた言葉をご紹介します。
 栗山「彼ら(研修生)だから見事にやるよ。いつもバッチリだもの。」

出演:演劇研修所第1期生(内田亜希子 岡野真那美 河合杏奈 小泉真希 高島令子 二木咲子 眞中幸子 北川響 窪田壮史 野口俊丞 古河耕史 古川龍太 前田一世 三原秀俊 山本悠一)
作:篠原久美子 演出:栗山民也 美術:長田佳代子 照明:田中弘子 音響:河原田健児 衣装:宇野善子 音楽:後藤浩明 演出助手:田中麻衣子 舞台監督:三上司 研修所長:栗山民也 主催:文化庁 新進芸術家育成公演等事業 新国立劇場 演劇研修所の成果 制作:新国立劇場
A席3,000円 B席2,000円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000051.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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Posted by shinobu at 16:46 | TrackBack