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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年04月16日

松竹『赤い城 黒い砂』04/11-26日生劇場

 蓬莱竜太さんがシェイクスピア作品をもとに脚本を書き下ろし、栗山民也さんが演出を手がけます。岸田國士戯曲賞を受賞した『まほろば』のペアですね。主演は歌舞伎俳優の片岡愛之助さん、中村獅童さん、そしてヒロインに黒木メイサさん。スタッフ、キャストともにとても豪華な公演です。

 1,358席の大劇場の、ご年配の方も多い客席で、さすがは松竹(株)のプロデュースだなぁと安心して鑑賞できる“娯楽演劇”でした。もちろん何も考えずに済むようなお手軽な作品ではなく、人間の争い(戦争)について、苦い気持ちにもさせられました。上演時間は約3時間(途中20分の休憩を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『赤い城 黒い砂

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。改行を変更。
 草原が広がる大地に二つの国があった。赤い国と黒い国。二つ国は絶えず戦争を繰り返していた。
 黒い国には、「黒い国の獅子」と謳われる二人の英雄がいた。冷静沈着な男ジンク(片岡愛之助)、自信家のカタリ(中村獅童)。二人は無二の親友として育ち、戦場では目を見張る活躍ぶりを見せていた。
 赤い国には、その勇猛さから「赤い国の魔女」という異名を持つ女がいた。王女ナジャ(黒木メイサ)。
 戦場で刀を交わす三人。ナジャの美貌とその剣技の美しさに配奪われるカタリ。運命の出会い。
 そこへ、突然の閃光 -訪れる静寂- 赤い国の兵器により、黒く焼き爛れた大地。そうして三人は、荒れ狂う運命に巻き込まれていく-
 ≪ここまで≫

 衣裳は赤、黒、青、白、緑(差し色)といった原色で、登場人物の背景を非常にわかりやすく示してくれています。装置も赤や黒の旗などで色分けして、そのシーンの状態(2つの国の情勢)が一目でわかります。

 登場人物の立場も個性もはっきりしていて、独白も多いし、ミュージカルになったらすごく面白いんじゃないかな~と思いました。2つの国の戦争を舞台にした、数年間にわたる男女の愛憎の物語は、とてもドラマティックですし。
 「二人の貴公子」だけではなく、他のシェイクスピア作品を思い出させるエピソードが数多くあり、それも面白かったですね。なんとも上手くまとまった脚本だと思いました。

 役者さんでは、ナジャの腹違いの姉を演じた馬淵英俚可さんが素晴らしかったです。中村獅童さんは役が当て書きなのか、とてものびのびしてらっしゃいました。魅力のある方だと思います。

 ここからネタバレします。

 ナジャ(黒木メイサ)は2人の男の間で揺れ動くはずなのですが、そのようには感じられず。ロングスカートを着ての殺陣は大変だと思いますが、ミスして欲しくないな~。さやが裾にからまったりしてました。獅童さんが終盤の大事なシーンで剣を落としちゃったり。残念でした。

 牢番の娘(南沢奈央)のろいで兵士が倒れていく、ファンタジーのような展開は意外で面白いです。疫病と聞いて、すぐに生物兵器を思い浮かべてしまいました(それだと怖すぎますよね)。

 武器商人モト(中嶋しゅう)はただ1人だけ青い衣裳を着ており、最後は赤い国の上に青い旗がバサっと落ちてきます。武器はただの道具じゃなくて生き物だよなぁと思いました。

≪東京、京都≫
出演:片岡愛之助 黒木メイサ 中村獅童 南沢奈央 馬淵英俚可 中嶋しゅう 田口守 中山仁 瀬戸摩純 川上彌生 井上恭太 児玉真二 西條義将 小椋毅 古山憲太郎 津村知与支 松原美穂 大野梨栄 中島愛子 松村沙瑛子 斉藤直樹 原田みのる 永田治 宮田幸輝 野口俊丞 齋藤裕亮 横山光一 平野亙 村岡弘之 嶋田翔平 芦原由幸 六本木康弘 山田貴之(パーカッション生演奏)
※津嘉山正種が急病のため降板。代役は中山仁。クジャ王役:津嘉山正種 → 中山仁
W.シェイクスピア/J.フレッチャー作「二人の貴公子」より 脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也 美術:松井るみ 照明:服部基 音楽:甲斐正人 効果:内藤博司 衣裳:前田文子 振付:夏貴陽子 アクション:渥美博 ヘアメイク:鎌田直樹 演出助手:川畑秀樹 舞台監督:姉帯修司 中島幸則 水戸部雅史 制作事務:桐ヶ谷香 制作:松本康男 真藤美一 伊東羊介 吉田実加子 製作:松竹株式会社
【発売日】2009/02/28 S席-9,500円/A席-6,500円/B席-3,000円
http://www.shochiku.co.jp/play/others/090411/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年04月16日 17:33 | TrackBack (0)