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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年07月29日

劇団、江本純子『常に最高の状態』7/28-8/2ギャラリーLE DECO 5F

 稽古場レポートを書かせていただきました、劇団、江本純子vol.2『常に最高の状態』初日に伺いました(⇒vol.0vol.1)。

 手の届きそうな(最前列なら絶対届く・笑)距離で、女優5人の爆笑演技合戦を堪能!笑いすぎました(笑)。上演時間は約1時間20分。

 演技スペースをぐるりと半円の形で囲む客席になっています。場所によって見えるもの(見えないもの)は全然違うと思います。どこに座っても見えないものはありますので、自分だけに見える何かを楽しめばいいんじゃないかしら。私は下手側最前列でした。整理番号順の入場なので開場時刻までにはぜひ到着を。

 ★全席完売でしたが、7月31日(金)14:00の回に追加公演決定!

 ⇒CoRich舞台芸術!『常に最高の状態

 ≪あらすじ≫
 前衛的な陶芸、絵画などのグループ展が催されている小さなギャラリー。その場の雰囲気にそぐわない中年女性が2人訪れ、ギャラリーにいた若い女性らとかみ合わないトークを繰り広げる。
 ≪ここまで≫

 稽古場にお邪魔したのが7/13(月)でしたので、あれからほぼ2週間。これほど変わるものなんですね~!会話とそれによって生まれる空気にさらなる工夫が凝らされ、大人VS若者、一般人VS芸術家、女VS女といった対立関係の密度も上がっていました。
 交わされる視線の間に生まれる気持ちのぶつかり合い、すれ違いから目が離せず、最前列で必死でキョロキョロ。女の愚かさをあけっぴろげにして、それを「馬鹿だね、でも可愛いよね」と慈しむように笑いに仕上げていく、江本さんの笑いのセンスが大好き。

 池谷のぶえさんと柿丸美智恵さんの、息の合った姉妹コンビにほっこり&にんまり。内田慈さんの暴れっぷりに仰天(笑)。内田亜希子さんは無表情と笑顔の切り替わりが可愛い(あんなキャラだったとは!)。安藤聖さんはいまどきのギャルらしい“天使”と“悪魔”の両面を見せてくださいました。

 表情が静止画のようにくっきりと記憶に残っています。バレエダンサーの熊川哲也さんが高いジャンプをした時に、空中でピタっととまったように見えたことがありまして、その瞬間に似ていました。芸達者で気骨のある女優の、気合の入った芝居が観られて、心底充実。こういう演劇を会社帰りに、友達と一緒にふらりと観られたらな~。贅沢すぎますかね。

 ここからネタバレします。

 ギャラリーでは現代美術のグループ展が開催中。可愛らしいクマの絵を展示しているのがリョウコちゃん(登場しない)。クマのキャラクターがハンカチにプリントされ量販店で販売されるなど、グループの中では一番の売れっ子アーティストです。その母親・靖恵(池谷のぶえ)と叔母・佳代(柿丸美智恵)がギャラリーに来たのですが、リョウコちゃんは不在。棺桶アーティストの美幸(内田亜希子)とその乱暴な友人しほ(内田慈)が、靖恵と佳代とトークバトルを繰り広げます。
 
 しほはグループの一員であるひーちゃん(ひとみ:安藤聖)に恨みがあるようで、なんと彼女の作品である陶芸の皿を、床に投げつけて割ってしまいます。脚本を読んで知ってたはずなんですが、ものすごく驚きました。だって目の前でコッパ微塵だし!ものすごい音だし!
 美幸としほに比べると、ずっと良い子(に見える)ひーちゃんに、靖恵さんはどうやら惚れてしまったようで(?)、積極的にアプローチ。“靖恵さんレズ疑惑”が取りざたされた後、リョウコちゃんとひーちゃんが恋人同士だという情報が暴露されて・・・。

 しほがひーちゃんに対して怒っていた理由が、なんとも・・・(苦笑)。池谷さんが「それ、レーズンでしょう」と深刻な面持ちで言うのに爆笑。レーズンはないでしょ、レーズンは(笑)。おんおん泣いていた内田さんの背中が、小さく丸まっていて可愛かった。

 終わりに流れたのはThe Cardigansの「Lovefool」。大好きな曲です。アンニュイな感じにアレンジされていて、酔っ払った女たちの喧騒を静めるにはぴったりでした。

劇団、江本純子 vol.2
出演:池谷のぶえ 内田慈 内田亜希子 安藤聖 柿丸美智恵
美術協力/【箱】牧かほり(http://www.k-maki.com) 南志保【ガラス】青木美歌(http://www.sing-g.net/)【クマの絵小さい額縁の方2つ】英保沙津紀【写真】安武はるか【イラスト】あべちほ(http://www.chihoabe.net/
作・演出/江本純子 美術/伊藤雅子 照明/吉岡靖 衣裳/中西瑞美 舞台監督/大島明子 宣伝美術/two minute warning チラシイラスト/辛酸なめ子 WEB/rhythmicsequences 制作/照井恭平 制作統括/樺澤良 企画製作/毛皮族
前売3,300円 当日券3,500円(整理番号付自由席)
http://www.kegawazoku.com/gekiemo/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年07月29日 14:58 | TrackBack (0)