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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年07月23日

【稽古場レポート】劇団、江本純子『常に最高の状態』07/13都内某所

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「常に最高の状態」

 劇団、江本純子は、毛皮族の江本純子さんが新たに立ち上げた演劇プロジェクトです。vol.0vol.1に続き、3ヶ月連続で新作を発表します。

 江本「9年間やってきた毛皮族はめちゃくちゃな、そしてアナーキーな娯楽です。毛皮族の手法に逆行するように、色んな要素を削(そ)いでいったのがこのシリーズ。娯楽を意識しないで、サービスじゃないことをやりたい。」

 『常に最高の状態』には、大劇場と小劇場を自在に行き来し、多彩に活躍する実力派女優が勢ぞろい。客席数70席のギャラリーでこのメンバーを見られるなんて、とっても贅沢♪

 作・演出の江本さんの提案に5人の女優があ・うんの呼吸で応える、笑いの絶えない稽古場でした。
  
 ■劇団、江本純子『常に最高の状態』⇒公式サイト
  2009年7/28~8/2ギャラリーLE DECO 5F
  ⇒CoRich舞台芸術!『常に最高の状態

 ≪あらすじ≫
 前衛的な陶芸、絵画などのグループ展が催されている小さなギャラリー。その場の雰囲気にそぐわない中年女性が2人訪れ、ギャラリーにいた若い女性らとかみ合わないトークを繰り広げる。
 ≪ここまで≫

 出演者が女優ばかりの稽古場に伺ったのは初めてでした。空気がさらっと澄んでいて、なんだかキラキラしてる♪

 まずは脚本に新たに書き加えられた部分の確認から始まり、さっそく立ち稽古へ。江本さんは自分で演技をして例を見せつつ、言葉の語気やイントネーションなどを細かく提案していきます。
 江本「そのセリフは相手に対してすっごい明瞭に」「うつつを抜かすように、『口にしてみただけ』って感じで」「例えば(台本の)この2行のセリフは言わないで、その2行分ぐらいをその気持ちで、うなづくだけとか」「生々しい視線でお願いします」

 セリフの言い方や会話のテンポ、ニュアンスなどは、脚本に書かれた時点で具体的なイメージがあるようです。でも演じている最中に、江本さんがその場で新しいセリフを追加していくこともありました。そのセリフがあまりに絶妙で、思わず吹き出してしまうほど面白い!

 【写真左から】池谷のぶえ、江本純子(作・演出)、内田慈、柿丸美智恵
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 セリフを増やす以外にも、セリフの順番を入れ替えて会話の構造を作り変えるなど、新しいアイデアを即座に試して採用していきました。江本さんの提案に素早く、柔軟に対応する、女優さんたちの適応能力の高さに驚かされます。
 
 江本「これまでは2人芝居が続きましたが、今回は成熟した人たちと未成熟な人たちがちゃんと会話をする芝居にしたいと思って、5人の女優さんに出てもらうことにしました。成熟した大人の女性役は、上手にコメディーができる池谷のぶえさんと柿丸美智恵さん。のぶえさんはシニカルな感じでイケる!と思って。柿丸さんはずっと一緒にやってきた仲間です。
 この2人と対峙する未成熟な若者を演じるのは3人のイケイケの女優さん。まずは年々パワーアップしてる内田慈さん。彼女はポツドール『愛の渦(再演)』で共演した“ソウルメイト”なんですよ。内田亜希子さんは商業演劇の世界からやってきたサラブレッド的な“姫”みたいな(笑)。そして安藤聖さんは“天使”。他の4人とはまた違うタイプですね。」

 【写真左から】内田亜希子、柿丸美智恵、安藤聖、池谷のぶえ
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 通し稽古が最後まで終わったところで、江本さんの「質問ありますか?」の問いかけに、池谷さんの手が上がりました。脚本に新しく加わった部分が、演じる人物の立場・性格を変える要素になったようです。
 江本「なるほど、どこからその気持ちになるのか、その人物にとっての辻褄を検証していきましょう。」

 芝居の中で女同士がおしゃべりをしている感覚が、フィードバック(ダメ出し)中もシームレスに続いているようでした。張りつめた緊張感はなく、のびのびとしたコミュニケーションが生まれています。

 【写真左から】安藤聖、柿丸美智恵、内田亜希子、内田慈、江本純子(作・演出)、池谷のぶえ
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 江本さんは気さくで、正直で、饒舌で、情熱的で、とてもサービス精神旺盛な方だとお見受けしました。すらすらとよどみなく、流れるようにつむぎ出される言葉は、くめども尽きない泉のよう。
 これらの要素がそのまま凝縮され、てんこ盛りになっているのが(笑)、このお芝居だと思います。つまり“劇団、江本純子”はその名のとおり“江本純子”そのものなんですね。

 女優5人がひっきりなしにしゃべり続けて、みっともなくも愛らしい女の本性をさらけだします。江本さんは「娯楽やサービスを意識しないで」とおっしゃっていましたが、毒の効いた笑いが満載のコメディーに仕上がりそうです。
 江本「私は女性は誰もが“魔界”だと思っていて。いくら“天使”でも本質は“魔界”。5人の魔界を観に来てください(笑)。」

劇団、江本純子 vol.2
出演:池谷のぶえ 内田慈 内田亜希子 安藤聖 柿丸美智恵
作・演出/江本純子 美術/伊藤雅子 照明/吉岡靖 衣裳/中西瑞美 舞台監督/大島明子 宣伝美術/two minute warning チラシイラスト/辛酸なめ子 WEB/rhythmicsequences 制作/照井恭平 制作統括/樺澤良 企画製作/毛皮族
前売3,300円 当日券3,500円(整理番号付自由席)
http://www.kegawazoku.com/gekiemo/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年07月23日 15:26 | TrackBack (0)