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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年10月18日

タカハ劇団・演劇村フェスティバル参加『モロトフカクテル』10/15-18座・高円寺1

 タカハ劇団は劇作・演出家の高羽彩さんのソロ・ユニットです。オーディションで選ばれた出演者とともに、座・高円寺1という本格的な劇場で、2007年初演の『モロトフカクテル』を再演。第2回演劇村フェスティバル参加作品です。

 う~ん、初演の印象が強すぎた感あり。初演の会場だった学生会館は、いわば絶好の借景だったんですね。上演時間は約1時間50分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『モロトフカクテル

 ≪あらすじ≫ 劇場サイトより。
 ……わたしたちは あの時代を なつかしむことはできない
 弱体化した日東大学学生自治会は、ある日突然、当局から自治会室閉鎖命令を突きつけられる。なすすべもなくうろたえる学生たち。そんな彼らを静かに見つめる一人の中年男性の姿があった……。
 すれ違い続ける想いは一体どこに行き着くのだろうか。
絶対に越えられない人と人との隔たりの向こう側で、「連帯」の幻想は苦く、限りなく甘い。
 ≪ここまで≫

 私が拝見したのは10/18(日)の昼公演。声を枯らしている役者さんが数人いたのがとても残念でした。そんなにステージ数多くないのに・・・。
 最初からそういうブルーな気持ちで観てしまったのもあると思いますが、面白さを感じられたのは始まってから1時間後。

 舞台となるのは大学内の部室です。どうも空間がスカスカしている印象。客席も含め、やはり座・高円寺1は広いんですよね。役者さんについても、空間の大きさが気にならない存在感だったのは、大学職員・吉田役の有馬自由さんだけでした(私にとっては、ですが)。

 モロトフカクテルとは火炎瓶のこと。自分の心の中に、炎が燃えているかどうかを自問する登場人物に共感します。高羽さんがこの戯曲を書かれたのは20代前半の頃で、2作目の戯曲だったそうですから、やはり早熟の劇作家だと思います。

 ここからネタバレします。

 最後に吉田(=モロトフカクテル)が火炎瓶を投げようとするのを、若者が止めるシーンで、やっぱり感動してしまいます。あの瞬間に、50代と20代の日本人が、本当の意味でつながったと実感できるからじゃないかと思います。

タカハ劇団第5回公演
出演:有馬自由(扉座)/畑中智行(演劇集団キャラメルボックス)/広澤草/恩田隆一(ONEOR8)/奥田ワレタ(クロムモブリデン)/石川ユリコ(拙者ムニエル)/山口森広/酒巻誉洋(elePHANTMoon)/浦井大輔(コマツ企画)/西地修哉(726)/こいけけいこ(リュカ.)/小沢道成(虚構の劇団)
脚本・演出:高羽彩 舞台監督:藤田有紀彦 舞台美術:稲田美智子 照明:吉村愛子 音響:角張正雄 音響操作:田中亮大 衣裳:車杏里 演出助手:棚瀬巧(至福団) 演出部:桜井健太郎 アンダースタディ:石塚みづき photographer:Atso Hashisto フライヤーデザイン:サノアヤコ 舞台写真:田中亜紀 運営:安田裕美・たけいけいこ 制作統括:赤沼かがみ(G-up) 制作協力:ヴィレッヂ 提携:座・高円寺/NPO法人劇場創造ネットワーク 後援:杉並区 杉並区文化脇会 企画製作:タカハ劇団
前売・当日とも 3,300円(全席指定) 学生割引 2,500円(観劇当日学生証拝見・タカハ劇団のみ取扱い) 当日学生券 1,000円(予約不可・中高生のみ・タカハ劇団のみ取扱い)
http://takaha-gekidan.net/

Posted by shinobu at 2009年10月18日 16:56 | TrackBack (0)